2017/10/21

『ユダヤ教(FOR BEGINEERSシリーズ)」/チャーレス スズラックマン

4768401007 ユダヤ教 (FOR BEGINNERSシリーズ)
チャーレス スズラックマン 中道 久純
現代書館  2006-06-01


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数年前からのイスラム教が関わるニュースや、個人的にキリスト教に触れる機会があって、宗教について考える時間が多くなっていた中、ふと「何も知らない」と気づいたのがユダヤ教。そこでFor Beginnersを見つけて読んでみた。

  • 最も印象に残ったのは、柔軟性。「生死に関わる可能性が少しでもあるならば、シャバットの法を犯すことは義務なのです」。この生き延びることを最優先する姿勢がユダヤ教の性格のように映った。安息日があるのも、生命力は無限に放出し続けられないから、一定のサイクルで休息を(強制的に)とる必要があることを理解していたかのよう。同じ”悪”の本性を想定しても、それを極限までの鍛錬で超克するか、別の方法で超克するかという違いが興味深かった。
  • 書き記されたトーラと口伝のトーラ。この教えの運用の仕組みがすごくよくできたものだなと感じた。置かれた時代や状況に応じて、書き記されたトーラに対する解釈としての口伝のトーラを揺り動かしていくところ。
  • ブントの発生起源と衰退のところが今一つ理解できなかった。

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2017/10/01

『学生を戦地へ送るには 田辺元「悪魔の京大講義」を読む』/佐藤優

4104752134 学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む
佐藤 優
新潮社  2017-07-31


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  • 明治維新の評価について。どう考えてもテロじゃないか、とか、なぜ尊王で攘夷で、簡単に開国に転向したのか、とか、素朴過ぎると自分自身で思っていた疑問にひとつの明快な解を得ることができた。中途半端だったがブルジョア革命だったという見方。
  • 全体主義と普遍主義の理解。個人をアトム的に見るかどうか。新自由主義は普遍主義と通底している。都市部は新自由主義に簡単に相容れる。新自由主義は格差を必ず生み、絶対貧困は国家の保障を求めるところからファシズムを受け入れる。
  • 沢山の主義・イデオロギーが解説されるが、救いのないのはどの主義・イデオロギーも選んでも未来が見えないと感じたこと。どの主義・イデオロギーも今の日本の政治団体に当てはめられる対象があって、そこでふと思ったのは今回の選挙は正に消去法というか、こういった状況にあっても何かを選ぶということこそが政治に参加するということなのだということ。
  • 忘れずに書くと、田辺元というのは本当に最低最悪の日本人だと思う。安全地帯からモノを言う人間が嫌いだというのは私は学生時代から変わらないし、その感覚に更に自信を持った。
  • 一回くらいじゃ消化できない。もう一度読む。

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2017/09/17

『終わりの感覚』/ジュリアン・バーンズ

4105900994 終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)
ジュリアン バーンズ Julian Barnes
新潮社  2012-12-01

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 男はいつも「やり直せる」と思っている。頭では、口では、「もう年を取ったから」と言っていても、だ。主人公のトニーはその男の滑稽なセンチメンタルを冷静に存分に発揮してくれるが、その結果教えてくれるのは「取り返しがつかないものは取り返しがつかず、取り返しがつかないことに気づくのも取り返しがつかなくなってからだ」という、あまりにも「哲学的に自明」の事柄だ。

 あまり若いうちに読んでも得るものの少ない小説だと思う。この歳になっても文学に触れる意義があることを、この歳だから触れることで意義を得られる文学があることを、バーンズが知らしめてくれた。

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『フクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ』/日野行介 尾松亮

440924115X フクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ
日野行介 尾松亮
人文書院  2017-02-20


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 筆者が問いかけると、 「偏りも何も僕らは中立機関でも何でもない。僕らが支援をやるに当たって知りたいと思った情報、政府の施策推進に当たっ て参考になる情報を得るための出張だ。出張報告なんてすべて公表するルールはない」 菅原氏は新年7月、事務次官に昇任。 ついに位人臣を極めた。 これまで紹介したとおり、支援法は悲惨な末路をたどった。


 文字通り「愕然とする」記載だった。森友疑惑の渦中の佐川宣寿氏の国税庁長官栄転と同じことが、東日本大震災の支援活動の中でも起きていたのだ。それも国の負担を減らすための改悪の方向で。アベノミクスが続いてほしい財界が安倍政権が倒れないように佐川氏を支援し、同じく政権が倒れてほしくない財界と原子力技術者の国外流出の防止を建前に振り回す財界が菅原氏を支援する。

 国際科学技術センター(ISTC)が核技術者・関係者の立場の保護と、核技術者の非核保有国への流出を防ぐため、原子力利用が下火にならないように、フクシマの被害を過小評価するキャンペーンを張った。政府はそれに乗った。東芝がメモリではなく原発事業を守らなければいけないのもたぶんここに通底するのだろう。

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『世界を破綻させた経済学者たち:許されざる七つの大罪』/ジェフ マドリック

415209558X 世界を破綻させた経済学者たち:許されざる七つの大罪
ジェフ マドリック Jeff Madrick
早川書房  2015-08-21


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フリードマンによれば、経済モデル - フリードマンの最もよく引用される業績を例に挙げれば、GDP とマネーサプライの関係に関するモデルなど - の土台をなす仮定は、論証される必要もないし、常識にかなうものである必要もない。別の言い方をすれば、マネーサプライがどのような理由でGDPに影響を及ばすかを明らかにする必要はないとされる。 マネーサプライの増減がGDPの変動と緊密に結びついていて、 一方の変動から他方の変動を予測できることを示せれば、それで十分だというのである。

ここが自分にとってずば抜けて大きな課題だった。このフリードマンの言い分は、そっくりそのままビッグデータに当てはまる。古くはデータウェアハウスのマーケティングにも使われた言い分だった。機械学習はパターン-相関関係を見つけ出すだけで因果関係は解説しない。フリードマンはそれでよしとして、世界を破綻させたということになる。機械学習は確かに結果への直線距離だけれど、それで捨象したもののー正確に言うと捨象したものを見つけるために従来行ってきた行為の中にー”間違わないために”必要だった要素がないのだろうか。

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