2019/06/04

『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』/ナシーム・ニコラス・タレフ

有限責任というのはよくできた酷いシステムなんだなあと改めて認識した。インセンティブベースと言って、アップサイドはあってもダウンサイドはないというのが諸悪の根源というのはよく理解できる。失敗したってお咎めはないのだ。「脆さを移転する」。こういうことをやりますよ、と言ってお金を集めておいて、失敗しても返さなくてもいい。その代わり、成功したら配当しないといけないと言ったところでマイナスにはならない訳で。とにかく何でも足して足して…という思想から脱却しないといけない、というのは強く感じた。起業家など、リスクを取る人を讃える傾向にあるけれど、起業家にも様々なタイプがいて、高揚感を感じられるからその起業家がよい起業家と言えるのか、事業は着実に進められるからその企業家がよい起業家と言えるのか、それはまた別の話なのだ。そして、その起業家を支援する投資家もまた、リスクをとっているようで実は脆さを移転しているだけで、大きな経済が大崩れしないことが最重要なので倫理に反する政治状況や社会状況であっても安定しているのであればそれを支持するのでよいとは言えない。彼らも脆さを他者に移転しているだけなのだ。

ただ、前編の感想でも書いたけど、『FACTFULNESS』的な世界観と全く相容れない。どちらも正当性がある。だから、個々人自分のなかで落とし前をつけないといけない。

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2019/05/27

『シンプリシティの法則』/ジョン・マエダ

なんでもシンプルなほうがいいと思っていて、提案書でも何でも物量で攻めるのをちょっと見下しているので、「シンプリシティの法則」というのが、僕ごときが思うようなシンプルを遥かに超えてどこまで徹底されているのだろうという期待で読んだ。次は、このシンプリシティを使って、様々な局面で勝たなければならない。

 

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2019/05/04

『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』/ナシーム・ニコラス・タレフ

脆さの反対は頑健ではなく「反脆さ」。もうこれだけで、これまでの日本の道の誤り方の大半に名詞をつけてもらった感じ。日本の問題への対処方法は、エスカレートするしか能がなかった。でもそれは実は頑健になってなくて脆さを強めていっているだけ。防波堤をどんどん高くするだけ、と言う感じ。なんでその高さで安心ということになるの?という違和感。そして、反脆さのキーポイントになる「非線型性」。上巻を読んだ印象は、「何事にも柔軟でないといけないよ」と言われてきた処世術に理論が与えられた感じ。今まで起きなかったからといって、これから先も起きないと言っていいのだろうか?ーこの問い。ただ、昨今のIT業界のデータ万能主義と、反脆さとはまったく相反で整合できない。どちらをどう取り込み説明つけるようにできるかが課題。

 

 

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2019/05/02

『いま世界の哲学者が考えていること』/岡本裕一郎

カトリーヌ・マラブーの『明日の前に』をプッシュしたジュンク堂難波店店長本気の一押しを見て調べて以来、有限性とか後成説とか、概念の概要の概要くらいを知る程度で止まっていたのを、書評で本著を見たのをきっかけに急にいろいろきちんと読みたくなってまず本著を。カンタン・メイヤスーとマルクス・ガブリエルあたりまでがある程度「こういうふうな読みが標準です」というのが固まっている最前線なのかなーという印象。マラブーはどういうふうに今読まれてるんだろう?いくら読み直すといってもやっぱり一旦先に進んだ論考を引き戻すのはなかなか難しそうだけど…。実在論的転回は、過去のすべての「相関主義」として切って捨てるのはともかくとして何が「実在」するのか、という観点ではとても理解しやすかった。自然主義的転回に関してはニューラルネットワークとの関連性と、今読んでいる、それを否定しようとする「反脆弱性」との関連性を考えているけれどなかなか自分の理解に至るのは難しい。

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2019/04/21

『amazon 世界最先端の戦略がわかる』/成毛眞

半年以上前に予約していて順番が回ってきてタイミングよく受け取れた(結構、順番が回ってきても出張とかでタイミングを逃すので流してしまうことが最近多かった)。アマゾンが実は物流の会社であるとか、その利益の大半はAWSであるとか、我々にとってはある程度既知の情報を、整理して復習できたのが利点。ただ一点、昨年後半から今年にかけて、アマゾンのその圧倒的に利便性の高い物流の仕組の「悪用」が目立つようになってきたという報道が続いていて、かつ、自身もその「悪用」の直面を経験して、今のところアマゾンは「なにか困ったことがあったら全額補償しますよ。それで何か?」というスタンスをずっと貫いているけれど、この辺が実はこれからアキレス腱になるんじゃないかな、という感覚を持っている。確かにそれで何も困らないけれど、どこかで確実に時間は失われているし、その「機械的」な対応は、UXの観点では単に「利便性」のレッテルだけになり得る。

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