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2005/05/04

『権現の踊り子』(町田康/講談社)

権現の踊り子
町田 康

講談社 2003-03-26
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 初めて、どういうテンションで感想を書けばいいのか判らず、amazonやReview Japanで他人のレビューを先に読んだ。というのは、町田康がほんとうにそんなに受けているのかわからなかったから。こういう、いかにも「かしこそう」 に振舞っている小説が、今指示されるものなのかどうか、それと、今時文学を手に取るような人間が、こういう持ち上げにくいけれどもバカにもしにくい小説 を、どういうテンションでレビューしているのか、皆目見当がつかなかったから。

 人間の持つ情けなさや不甲斐なさが顔を覗かせる一瞬を巧みに掬い取って文字に焼き付けるのは正に文学。その焼き付かせるための道具である”言葉” も、落語や浪曲などの雰囲気を持つ漢語を多用し、なおかつ退廃感溢れるストーリーを縦横無尽に使い切る。猥雑な言葉の森から溢れんばかりに撒き散らされて いくその文体で、強烈な印象を残される。

 ただ、表面的には猥雑で退廃的で破壊的だけど、読んでいて「小さく纏まってる」感を拭うことができなかった。作者自身が猥雑で退廃的で破壊的か、 まったくそんなことはないけれども猥雑で退廃的で破壊的な文体で小説が書ける、そうだったら「小さく纏まってる」感は恐らく生まれないんだけど、町田康に は、ファッションとして猥雑で退廃的で破壊的なイメージを着ているような印象がある。なんかあったらそのイメージをすぐに捨てて違うイメージに着替えるよ うな。本気で、猥雑で退廃的で破壊的な人生を送るだけの根性はないような。そんな印象。
 だから、町田の小説は、読者からも批評家からもオエライ 方からも一歩引いて、「僕って賢いでしょう」とそれとは判らないように、けれども判らないって言っちゃうと言った方がバカにされるような書き方をした、優 等生の小論文みたいなまとまり方をしている。それも安全地帯から差し出すような。

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