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2005/05/04

『チェンジ・ザ・ルール!』(Eliyahu M. Goldratt/ダイヤモンド社)

チェンジ・ザ・ルール!
エリヤフ・ゴールドラット 三本木 亮

ダイヤモンド社  2002-10-11
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 SEという職業に就いている人間として、非常に有益でなおかつ面白い小説。   SI(System Integration)に限らずおよそIT業界の作業工数は、未だに「人月計算」が幅を幅を利かせる。「人月計算」というのは、システムを構築するのに どれくらいの費用が必要か見積もる際、その金額をSE一人当たりの月額費用X月数で算出する手法を指す。この手法は完成するシステムの価値と全く関係性が ない上、一人当たりの月額費用が丸見えで損益分岐点の存在が明白、顧客に対してコストをそのまま提示しているようなものだ。  このように 損益管理がまるでできない新興業種であるIT業界が、先輩他業種の厳しい利益追求姿勢に応えることが出来るのか?今、この業界に求められているものの模範 解答が、本書ではソフトウェアベンダー・SIer・クライアントの現実的な3tierで多層的に展開されてる。  本書で展開されるストーリーは、原作が書かれた米国でも相当理想的に進んでいるほうだと思うけど、日本ではこのストーリーのように進展することは尚困難 に違いない。なぜそう感じるのだろう?   本書では、自社ソフトウェア商品が実現できる利益向上とその方法をとことんロジカルに追求し、その実現に向けてエネルギッシュに邁進する。3tierそれ ぞれが、ロジカルに証明された結果を受け、個々にとっての利益を考えつつ、ロジカルに全体最適に進んでいくダイナミズムがすごく面白いストーリーになって いる。そのストーリーに触発され、自分もビジネス上の技術的な課題やクライアントの課題解決にあたって、粘り強く徹底的にロジカルに考え抜き行動しようと いう気概が湧き上がってくる。  ところが翻って日本で、これほどまでにロジカルに物事を進展する土壌が果たしてあるか?と考え込んでしまう。既成手法を上回るとロジカルに証明された手 法に、果敢に挑戦する土壌が果たしてあるか?その手法を実現するためには、既成ルールさえ変更しなければいけない事態なのに。  そもそも、日本ではチェンジできるほど確立し遵守されるルールがあるか?ビジネスにおいてルールを遵守する姿勢などあるか?ルールといえば「原則」と断 り書きを入れ、端から「例外」を想定するような風土ではまず「メイク・ザ・ルール」から始めなければならない。

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