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2005/05/04

『老いてこそ ゆるやかな坂道の途上で』(Maurice Maschino/原書房)

老いてこそ―ゆるやかな坂道の途上で
モーリス マスキノ Maurice Maschino 高野 優

原書房 2002-04
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フランス人教員兼文筆家の筆者が、67歳で執筆した「老い」と「死」に対する洞察とエッセイ。
 「老い」と「死」がテーマというだけで、荘厳で重々しい筆致を暗に想像していたけど、本書は少なくとも言葉使いは軽妙でユーモアもある。まずこの事実に、自分が「老い」と「死」に対していかに貧相な、画一的な視点しか持っていなかったかを思い知る。
  次に、例えば「死は決して訪れることはない。なぜなら死んだとき、もう自分はいなからである。"死"を自分が感じることはできない。だから"死"を恐れる 必要はない。」といった、非常に冷静で論理的な思考をそのまま実践してしまうところに、筆者が文筆家であるから可能なやり方のように思えてしまう。
  しかし、やり方はどうあれ、はっきり判るのは「老いは想像上の問題ではありえない」ということだ。まだ「老い」がはっきりとは身に降りかかってなくて、あ くまで想像するしかできない僕からすると、その想像とはかなり食い違うやり方がいくつも述べられている。それはやはり、実際に老いた身でなければわからな いことなのだ。
 最初から最後までこんな感じで、まだ「老い」が我が身の問題でない人間からすると、その「軽やかさ」と「深刻さ」のズレの違いに 驚き続けることになると思う。それは、「老いをそれほど恐れることはない」という単純な勇気付けでもないし、奇妙なまでに深刻に老いを考えることを勧めて いる訳でもない。「今のあなたにできることは、そこから逃げ出さないということですよ」と淡々と諭されているような、そんな気分になる。

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