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2005/05/04

『十二番目の天使』(Og Mandino/求龍堂)

十二番目の天使
オグ マンディーノ Og Mandino 坂本 貢一

求龍堂 2001-04
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 すごく困難な何かに立ち向かう気力を奮い立たせるのが、物語の大切な役割だとしたら、この物語はその力を確かに持っている。写実的なわけでもなく、身近なわけでもなく、びっくりするほど意外な展開があるわけでもないが、迸る説得力を持っている。
 よくあるいい話だねと言ってしまえば簡単だけれど、気楽に読めば誰でも泣けてしまうシーンがあるのも事実。だから、この本がいろんな書評で取り上げられていたり、「泣ける」とオビが連呼していたり、本屋の売れ筋コーナーに陳列されていたり、そういう売り手側面はとりあえず忘れて、いろんな人がこの物語を気楽に読めるような時代になればいいのにと思う。
 この物語の不思議な説得力は、ひとえに簡潔な表現力が生み出してると思う。登場人物の死といった大きな事件を、半ページに満たない表現で片付けてしまう。かといって、本筋にさほど関係しないリトルリーグの戦況を必要以上にリアルに語ることもしない。抑制された文体で、ごくベーシックに書き上げられている。誠実にビジネス界を歩んで成功してきたジョン・ハーディングや、どんなに野球が下手でもまったく諦めないティモシー・ノーブルの姿以上に、この物語の形態そのものが人生に対峙する気力を、無言のうちに読み手に伝えてくる。

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