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2005/05/04

『キッチン』(吉本ばなな/角川文庫)

キッチン
吉本 ばなな

角川書店 1998-06
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 改めて読んでみて、「2」がよく出来てる。2モノは不出来が多いけれど、『キッチン』は「2」があることでますます心を揺さぶられる。

 みかげに肩入れしてるか、えり子さんに肩入れしてるかで、そのときの自分の調子が現れるんじゃないかなあとふと思った。 親切な人々に支えられ素直に感謝しながら、回復していくみかげ。至極まっとうなロジックで行動し、みかげの回復に一役買うえり子さん。
 初めて読んだときは、親切な人々に支えられ素直に感謝しながら、みかげが回復していくのを好ましく思いながら読み進めていたから、言わば、その頃の僕は「素直な自分」が日々の課題だったのだろう。
  今回は、えり子さんに肩入れしていたようで、至極まっとうなえり子さんのようなロジックで行動するためには今の自分はどうしたらいいのだろう?とただ感服 していた。人生の一大事にえり子さんや雄一のような人が現れたみかげは確かに羨ましいけれど、羨むよりも、もし自分がえり子さんの立場になることが必要な 状況に遭遇したら、迷わず自分に出来る限りのことができるようになりたい、そういう気持ち。もちろん、えり子さんはあのまっとうなロジックで人生を過ごし 続けて身につけたのだから、僕が一朝一夕に身につけられるような代物ではないって判ってる。今の僕には「強い自分」が日々の課題なのだ。

 いろいろと悲しい辛い難しい出来事に出くわしても、みかげのように面と向かいたい。誰かがそんな出来事に直面していたら、えり子さんのように力に なれる人になりたい。だけど、もしかしたらみかげとえり子さんは同じことなのかも知れないなと、「2」のみかげの身の施し方を見て思った。
 雄一 との距離を無理をすれば縮められるかも知れないときに、みかげは歯を食いしばる。そうしたい思いをぐっと堪え、今はその時ではない、今するべきことはそう ではないと、至極まっとうなロジックを実践する。そうしてみかげと雄一は再びその時期を得る。 奇跡は起きるべくして起きる。

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