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2005/05/04

『ハゴロモ』(よしもとばなな/新潮社)

ハゴロモ
よしもと ばなな

新潮社 2003-01-20
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 言葉には不思議な力が宿っているってことを、すんなり信じさせてくれる。よしもと ばななの物語はいつもそうだけど、この『ハゴロモ』jも、8年の愛人生活を一方的に打ち切られ、ほぼ生活全面に渡る喪失から立ち直るきっかけを掴めないで いる主人公のほたるを通して、言葉の持つそんな力を深くそれと知れず静かに実感させてくれる。
  ほたるにはミツルくんとの出逢いやるみちゃんとの再会や、そこから始まる奇跡的な出来事があって、ゆらゆらと浮上してくるきっかけを掴む。それは余りにも 奇跡的過ぎて、どう考えたって現実世界の人間には何の足しにも気休めにもならないくらいバカバカしい絵空事の物語のはずなのに、言葉の持つ不思議な力がこ の物語ではありったけ発揮されていて、現実世界にいる読み手にもちゃんと湧き上がる力をくれる。「私にもほたると同じような出来事が起きたら立ち直れる」 とか、「きっと起きるんだ」と信じるような、そういう力じゃなくて、ちゃんと自分の心の力で動き出せるような湧き上がる静かな力。読んでいる最中も読み終 えた後も、バカバカしいなんて全く思わない。頭の中の冷静な部分ではちゃんと絵空事とわかっているにも関わらず。
  ほたるが、奇跡的な出来事の助けを貰いながらも、「そして突然、わかった。」と大事なことには自分自身でひらめくように気づいたように、読み手にとっては この物語が奇跡的な出来事となって、大事なことに自分の力で気づいてゆくことができるはず。そういう言葉の持つ力を、ほんとうにすんなり信じさせてくれ る。

 それにしてもよしもとばななの物語は、大好きなんだけど本当に感想を書き辛くて、「『ハゴロモ』も読んでから一月くらいして何とか書いたけどそれ でもこの程度。今までどんなこと書いたんだろうと、『NP』の分を読み返してみたら、やっぱり同じようなことが書いてあって自分のことながらおかしかっ た。

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