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2005/05/04

.『かもめのジョナサン』(Richad Bach/新潮文庫)

かもめのジョナサン
リチャード・バック 五木 寛之

新潮社 1977-05
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 Dragon Ashってこんなカンジだよな。ふとそう思った。
 前半と後半で全然違う。前半は洗練された寓話なのに、後半は妙に説教臭い精神論になる。1970年代、西海岸のヒッピーに回し読みされた後、突然爆発的に売れたというのも、なんとなく理解できる。規範を外れてる者達、 規範を外れた生活に真実を見出す者達が、結局は拠り所としてしまう焼き直された規範のバイブル。そんな感じがする。
 「正しく生きる」「よりよく生きる」そんな当たり前の古臭い規範を、 例えば「チャン」という中国人っぽい名前の老カモメが語る。その程度のことで、ヒッピーは受け入れてしまう。つまらない精神論なのに、そこに今まで見たことの真実があるような気になる。
 言ってしまえば、この物語の魅力は「孤高」ということに尽きる。「食うこと」にのみ捕らわれる「群れ」カモメと、「飛ぶこと」に拘り続ける「ジョナサン」。物語は終始、導くジョナサンが、「自分は特別ではない。」と群れに訴え続ける。群れはジョナサンを「神だ」「悪魔だ」と噂しあう。最後にはジョナサンの後継者が現れ、物語は終わる。
 「群れ」を低く身ながら、「群れ」そのものがひとつの「システム」として再生産され続ける、あくどい物語だ。「群れ」が皆「孤高」になることなど、はなから期待していない。そんな道筋もつけられていない。「群れ」は、ジョナサンに憧れて終わりだ。この物語が、1970年代のアメリカで大ヒットしたということは、人々はそんな世界を求めていたということだろうか?アメリカに遅れること何年かで同じ現象の起きる日本でも、そんな世界が来たのだろうか?「遂にオレたちの代弁者が現れたんだ」週刊漫画誌の読者欄にそんなふうに書かれていたDragon Ashが、この物語とシンクロしてしょうがない。

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