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2006/03/29

『バッテリー』/あさのあつこ

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あさの あつこ


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 読中、顔から火が出るほど恥ずかしいという思いをした。巧の言動が、「ダメだなあ」と感じるのだけれども自分の言動とすごく似ているのだ。偉そうな物言いや、情のないところとか。巧は天才野球少年だからまだしも、・・・

読中、顔から火が出るほど恥ずかしいという思いをした。巧の言動が、「ダメだなあ」と感じるのだけれども自分の言動とすごく似ているのだ。偉そうな物言い や、情のないところとか。巧は天才野球少年だからまだしも、自分は何も優れたものがないから救われない。自分がよくないと思っている自分の性格のほとんど は、子供から成長していないということだと思い知らされた。例えば、「誰に対しても自分の内にあるものを言葉にして語りたいとは思わない」。
 巧は自分の力量の大きさを知っているからある種傲慢になっているが、それは周りが見えていないのと同じでもある。洋三には繰り返し野球はひとりでやるも のではない、と諭されるし、弟の青波について、「知っている。知っている。知っている。いや、青波のこと、ほとんど知らなかった。知ろうともしなかっ た。」と言うように、周りに関心を持とうとしていないのだ。その分自分の中で突き詰めることはするのだろうが、外の世界に関心を開かないのはやはり稚拙だ ということだろう。
 その一方で、外の世界に関心を開かないというのは、常に「終わり」と背中合わせの覚悟を背負っているから、とも言える。少年性は、簡単に捨て去れる残酷 性とも言えると思うが、巧は江藤がくれたポケベルをいとも簡単に捨ててしまう。僕はそこまでの少年性はもう持ち合わせていないような気がする。それでも、 成長しなかった部分をうまく昇華させていかなければいけない。何かを大事にすることが、いつでも「終わり」を迎える覚悟が出来ていることとつながれるよう にならなければ、何のために歳を重ねてきたのか分からない。

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