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2006/03/22

『みずうみ』/よしもとばなな

みずうみ みずうみ
よしもと ばなな


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 まず、どうも文章が堅い感じがした。読んでいてすんなり情感が頭に入ってこない。中島くんには何かあるのだろう・・・とは思いながら読み進めるんだけど、どうにも気持ちが追いかけていかない。

 いちばん引っかかったのは、・・・

 まず、どうも文章が堅い感じがした。読んでいてすんなり情感が頭に入ってこない。中島くんには何かあるのだろう・・・とは思いながら読み進めるんだけど、どうにも気持ちが追いかけていかない。

 いちばん引っかかったのは、「読み取れる感受性だけが、宝なのだ。」という一文。普通ならこの一文に異を唱えることはない。思いやりの心を持っているかどうか、そういう人たちと過ごしたい、そういうことだから。
  しかし、中島くんとそれを取り巻く特殊な状況を考えると、そんなに無邪気に取れなくなってくる。中島くんがおかれてしまったその状況も、けして悪意に満ち たものとしては描かれていない、ただ少し「感受性」の方向が違うだけのように描かれている。そういった「多様」な感受性を認めつつ、ある感受性だけが中島 くんのような人を救うことができる、と読めてしまう。

 ばなな作品というのは、どんな奇跡的なことが書かれても、どんな奇跡的な能力を持つよう書かれても、それによって起こった出来事の力や感動が、 すっと読むほうの心に入ってくるような、そういう不思議な力を湛えていたと思う。そんなマンガみたいな・・・とは言えない力が漂っていたのだ。ところが 『みずうみ』は文章の堅さもあって、そういう力を感じることがどうしてもできなかった。これは、生まれながらにして何か「特殊」なものを持ってる人の英雄 譚だ。そう感じてしまったのだ。

 唯一、救いだったのは中島くんのお母さんの話だった。難しいところだが、僕は中島くんはちひろよりもお母さんによって救われて欲しかった。ちひろは特殊過ぎる。ちひろの父母の成り立ちからして、特殊さを生まれながらにして与えられ過ぎている。

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