『ヴァイブレータ』/赤坂真理
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トラック運転手と出会い、自分の言葉の喪失を思い出した主人公は、だからと言って「ヴァイブレータ」を失くすことはないでしょう。それまでとは似て非なる「ヴァイブレータ」。
病気だとはっきりしてもらえるものやしてもらえない(が故に余計辛い)もの、そういう精神の危機が、直に触れていると苦しいと感じるくらいに読むことがで きて、そういう危機の根源のひとつが本作中にあるように、子供時代の親および言葉との関わりにあるとしたら、本作はこの主人公の「親」の世代にぜひ読んで ほしい。けれど「ヴァイブレータ」が編み出した言葉では「親」の世代には届かない。彼らの見たことも聞いたこともない言葉で理解できない。そこに「ヴァイ ブレータ」はないのだろうか?
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