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2006/10/08

『赤い指』/東野圭吾

4062135264 赤い指
東野 圭吾
講談社  2006-07-25

by G-Tools

 自分の母親と反りのあわない妻・八重子とろくに口もきかない年頃の息子・直巳に日々疲れている昭夫。ある日直巳が自宅で小学生の女の子を殺してしまう。親としていったいどうすればいいのか、意見が合わず言い募りあう昭夫と八重子。そして-。
 いろんな書評で「少年犯罪問題と老人介護問題に踏み込んだ作品」と読んでいたので期待していたけど、そのどちらにも深みを覚えることが出来なかった。…

…昭夫が自分の母親をあんな目にあわせようとするのは相当異常なことのように思うのに、いちおう本人がもったいぶって「いいのか、こんなことをして」と逡巡 の言葉が記されるだけで、どうしようもなく懊悩しているふうでもはたまた異常と判らないくらい疲弊して麻痺しているふうでもない。掘り下げるならここを掘 り下げて欲しかった。老人介護で疲れ果ててしまったなら、良識の欠片さえどうでもいいやとなってしまうのだというところに踏み込んで欲しかった。昭夫の中 途半端加減がリアルと言えばリアルなのかも知れないけれど、そういう切迫感と突き詰め方には満足できなかった。

 老人介護問題よりも胸に迫ったのは妻・八重子の態度だ。古くからある過保護問題の典型で、無償の愛を勘違いしている姿がはっきり描き出されている。その 愛が何を思って出てきたものなのか、子どものためを思うのではなく自分の身がかわいいだけだということが誰にも指摘されないのが悲しい。少年犯罪問題が論 じられるとき、父親の不在ばかりがクローズアップされるが、実は父親だけが原因ではなく、母親の独りよがりな愛情が原因であることを示している。

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