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2007/03/25

『ぬるい眠り』/江國香織

4101339236 ぬるい眠り
江國 香織
新潮社  2007-02

by G-Tools

 『きらきらひかる』の続編『ケイトウの赤、やなぎの緑』を含む短編集。著者が二十代前半に書いたものが中心。
 江國香織の小説は、奇抜だけれども緩やかな雰囲気が好きなんだけど、この短編集は痒いところに手が届いてるような届いてないような、正に隔靴掻痒の間を禁じえません。まだ若い頃に書かれた作品だからかなとも思いますが、多分、書いてるテーマが判らないからというよりも、判り過ぎるからだと思います。奇抜な設定で、奇抜な展開で、でも・・・

それによってどういうことを表現したいかはすぐに判ってしまう。奇抜な設定と固有名詞ならどうしても村上春樹を想起してしまうし、そうすると「もっとテー マについて推理させてくれよ」と頭が不満を持ってしまう。「どう考えたって、これがテーマだよなあ」と納得できてしまうから。
 例えば『放物線』は、正にコンパ芸の放物線で学生と学生以後の時間を詳らかにして見せて、最後は「忘年会」で締めくくる。誰にも思い当たる一こま。疑いようがないのです。

 そして、そういう些細な「何か」のピックアップが鼻についてしまう最たるところが、『ケイトウの赤、やなぎの緑』の一文、「人生は、手に負えないものになりつつあった。」
 江國香織の小説の登場人物は、人生は手に負えるものであるべきだという大前提を持って生きてきて、挫折したりそうではないと気付いたりする。けれど僕は、そもそも人生は手に負えないものだと思ってるから、大げさだなあと思ってしまうのです。

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