『ミステリアスセッティング』/阿部和重
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ミステリアスセッティング 阿部 和重 朝日新聞社 2006-11 by G-Tools |
歌い声は罵られ、泣き声は人を魅了する。そんな自分の持つ矛盾に気づかないまま、吟遊詩人として生きていくことを選んだシオリの誠実で薄幸な奇譚。
これは早い!早いです。さすがケータイ小説。ケータイで読まれることをきちんと考慮すると、こういう文体になるだろうなあと納得できます。だいたいのストーリーの提示が、「xxだった。なぜなら・・・」という倒置になっていて、一度に目に入る文字量が制限されているケータイでも無理なくストーリーを頭に残しながら読み進めることができます。その分、大きな展開の少ない前半は、若干論文を読んでるような感覚もありました。
前半はシオリとノゾミの姉妹の話が中心で、自分は幸福感に包まれていてその幸福感が湧き上がった結果歌が口から出て行くのに、その歌は…
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