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2007/09/01

『強運の持ち主』/瀬尾まいこ

4163249001 強運の持ち主
瀬尾 まいこ
文芸春秋  2006-05

by G-Tools

 就職した会社を半年で辞め、収入のため占い師の仕事についてルイーズ吉田(本名吉田幸子)。訪れるお客の様々な問題に向き合うお話。短編連作集の形態なので、一話一話で内容は独立していて読み進めやすいです。TVの連続ドラマ的。

 ルイーズ吉田は占いについて、「お客さんに前向きになって帰ってもらうためのもの」というポリシーを持っていて、これが凄く高いプロ意識に見える。占いだからもちろんよくない内容が出ることもあるけれど、それをそのまま伝えるのではなくて、お客さんがどうしたいのかを見極めて、なるべくそちらに導いてあげることを旨としている。「それじゃ占いじゃないじゃないか」という声もあると思うけど、… 

…「人は何のために占いに来るのか」を考えると、ルイーズ吉田のやり方がいいんじゃないかと思う。本筋から離れてしまうけれど、日々お客様と向き合い仕事をする身としては、自分の仕事で本当に大事にしなければならないのは何か、という視点を改めて意識させられました。

 最後の話『強運の持ち主』で、ルイーズ吉田は恋人の通彦の身の振り方に悩み、最終的に大事なのは自分たちがどうしたいかという直感だと再確認する。占い では市役所を辞めてITベンチャーに転職したほうがよいとでるけれど、ルイーズ吉田の感覚は、通彦がIT企業に勤めるのは想像できないし、市役所勤めが似 合ってる、と思う。そして師匠の言葉と自分の占いの経験から、自分たちがよいと思う方向に進んでいくのが最善なんだ、という自信を得る。僕はこういう、自 分の運命を自分で切り開いていこうというようなスタンンがとても好きで、いい話だなあと思いました。

 それと、これこそ本筋と関係ないけど、師匠のジュリエ青柳が、ルイーズ吉田がアシスタントを雇うと言った際、「自分と全く違う人を選ぶのがいい」とアド バイスしている。このアドバイスはいいアドバイスと思ったけれど、誰でもそうやってうまくいく訳じゃない。そう考えると、自分ができることは誰でもできる と考えるのはまずいことだと思った。相手のレベルを見てアドバイスしたり意見を言ったり接したりしないといけない。「なぜできないんだ?」と怒り嘆く前 に、相手のレベルを見極めなければならない。これは働く者としてとても大切なことだと思った。

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