「情報大爆発」というタイトルに引き付けられて手にしたものの、「宣伝会議」に少し躊躇。読んでみた感想は、「『情報大爆発』というタイトルは適当ではない」。サブタイトルの「コミュニケーション・デザインはどう変わるか」が内容を表してる。インターネットが普及した時代に、マーケティングや宣伝の効果的なやり方はどういうものか、というのが本書の内容で、情報が過剰になった先に情報処理や社会や人々の意識がどのように変容していくのか、ということは論じられません。IT系の人間が「情報大爆発」と聞くとそういった内容を連想すると思うので、少し期待はずれ。
そして、読み進めていくとどうもGoogle AdWordsやAdSenseのような、テクノロジーによる広告をいったん持ち上げておいて、最終的には「広告やマーケティングはクリエイティビティーだ」と、テクノロジーによる広告を低くしているところがある。広告がどうあるべきかというのはさて置いて、本書のいう「これからの時代は、消費者の欲しいものを作ってくれる生産者を選択する時代」というような、「消費者主権の時代」というのは、もう何十年も言い続けられていることだ。何か新しいテクノロジーやパラダイムが起きたとき、常にそれでもって「消費者主権の時代が来る」という言説が流布されながら、一向そんな時代が来ていないのはなぜだろう?
同じことはITの世界でも言える。古くはMIS、現在ではBIと、手を変え品を変え、経営に有用な情報を提供するシステムとして持ち上げられながら、その理想はあまり実現していない例が多い。なぜ実現しないのか?「これは売り込める」と純粋に売り込むことだけを考えてきたIT業界のほうが、「これだけではどうにもならないのにね」とほんとのとこは判っていながら(十分な金を出さない相手には)まるで出来るかのように振舞ってきた広告業界のほうが、数段タチが悪いのではないかと思う。
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選択可能情報量
マイクロチャンクを肯定するか?
何をよりどころとするのか?
よりどころをやっぱりほしいと思う人たちの症状
ほんとうはよりどころを根拠に商売していながら
よりどころなんていらないよと吹聴する輩
アテンションは何を言い換えているか?←成り立ちを考える
p39 mixiのリアルな会員数は?←チェーンビジネスのダミーユーザ
p53 ターク
p69 過剰の経済学では、常に探し回るためにやってみなければならない
p113 品質の安定-意思・権限の介在とやりがい
p115 21世紀型軍隊では、司令部の持つ情報の質がより重要になる
p162 グループ・ダイナミクス=オープン系 or スケールアウト
p173 AIDAモデルに帰る?
p180 フィルターの共有(アテンションの節約)=本を読むこと
p200 IT系の人が広告を語ると…
無理やり違いを捏造する産業だ