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2008/01/02

『箱』ジ・アービンガー・インスティチュート

4890361383 箱―Getting Out Of The Box
ジ・アービンガー・インスティチュート The Arbinger Institute 冨永 星
文春ネスコ  2001-10

by G-Tools

 『”やぎっちょ”のベストブックde幸せ読書!!』さんで知った本です。「自己欺瞞」との向き合い方がテーマの本で、人にオススメできる良書だと思います。

 唯一心配な点をあげるとすれば、どちらかというと善良な人で行き詰っている人がこれを読むと、更に追い込まれるのではないかという点。そういう意味ではこれは「基本的に人はみんな悪いもんだ」という西欧的な人間観がベースにあってそれがほぼ通用するような社会で有効なのかも知れません。
 なので逆に言うと、日本的と言われる「思いやり」も、実は日本にしかないものではなく、世界中どこにでも存在できる可能性があると言えるし、日本では教育の一環として(これまでは)身につけられていたものが、アメリカではこんなふうに「自己欺瞞」を用いて解明し納得させてていかないと身につかないということもできる。いずれにしても「これは日本独自」「これはアメリカ独自」と決め付けず、良い点をどのように取り込んでいくかという視点が大切。

  • 騙す相手にはどう対処するか?→社内にも騙そうとしてくる相手はいる
  • ファンドと経営者の違い(もしくは同一性)
  • ”リソース”という考え方→自分が何が出来るか?
  • ”正しくない”相手に対する対処法

p30「ゼンメルヴァイス」
p31「我々が『人間関係の問題と呼んでいる、・・・これらを引き起こしているのは、たった一つの原因なんだ。」
p55「一番目の場合には、人は自分を他の人々に囲まれた一個人だと感じているのに対し、二番目の場合には、物に囲まれた一個人だと感じている。」
p58「トム、君と会ったときの相手の気持ちを想像してみてくれないか。」
p63「少なくともわたしの場合、相手の名前に関心がないということは、一人の人間として相手に関心がないということだ。」
p82「ローラ、どうしてそうなんでもかんでも、ややこしくしてしまうんだ。ただ、どうしてるかなと思って電話しただけなのに」
p100「これらはすべて自分への裏切りなの。人のために何かをすべきだと思いながら、それをしない」
p111「妻にはそういう欠点があったにも関わらず、わたしは起きて妻に力を貸してあげなくてはと感じていた。自分の感情に背くまで、妻の欠点はわたしが手を貸さない理由にはなっていなかったんだ。」
p134「自分が自己正当化イメージを持ち歩いているんじゃないかと疑ってみるのも無駄ではないと思う」
p137「そうなんだよ。自分は何でも知っているという自己正当化イメージを持っている場合、その人は、ほんとうにいろいろなことを知りたいと思っているんだろうか」
p151「その通り。こういったのよ。『あら、ぎりぎりだったわね』わかる?息子が責任ある行動をとっても、そのことを認めてあげられなかったっていうわけ」
p152「息子さんを責めている自分を正当化するには、相手が責めるに足る人間でなくてはなりません」
p164「箱の中に入っていると、どうしても自分に気持ちが向いてしまって、結果に集中しきれなくなるんです」
p191「この会社の社員は無能だという確信をいっそう深め、さらに細かく支持を与え、たくさんの方針や手順を作り上げていった。」
p206「だからなんだよ、技術分野以外で技能研修をやってもちっとも効果があがらないのは。さまざまなテクニックがいくら有益なものでも、箱の中で使っている限り、役には立たない。それどころか、相手を責めるさらに巧妙な手口になってしまうんだ。」
p220「箱の外に出た形での人間関係が一つでもあれば、いろいろなことができる」
p237「相手を責めることで、相手はよくなったかな?」

知っておくべきこと
・自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには箱へとつながっていく。
・箱の中にいると、業績に気持ちを集中することができなくなる。
・自分が人にどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否かにかかっている。
・他の人々に抵抗するのをやめたとき、箱の外に出ることができる。

知ったことに即して生きること
・完璧であろうと思うな。よりよりなろうと思え。
・すでにそのことを知っている人以外には、箱などの言葉を使うな。自分自身の生活にこの原則を活かせ。
・他の人々の箱を見つけようとするのではなく、自分の箱を探せ。
・箱の中に入っているといって他人を責めるな。自分自身が箱の外に留まるようにしろ。
・自分が箱の中にいることがわかっても、あきらめるな。努力を続けろ。
・自分が箱の中にいた場合、箱の中にいたということを否定するな。謝ったうえでで、さらに前に進め。これから先、もっと他の人の役に立つよう努力しろ。
・他の人が間違ったことをしているという点に注目するのではなく、どのような正しいことをすればその人に手を貸せるかを考えろ。
・他の人々が手を貸してくれるかどうか気に病むのはやめろ。自分が他の人に力を貸せているかどうかに気を配れ。

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