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2008/02/11

『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』/竹中平蔵

4532352487 構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
竹中 平蔵
日本経済新聞社  2006-12-21

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p13「大局判断を間違えないために細部を捨てる勇気は、まさにトップ・リーダーに求められる資質だ。真に腑に落ちたことだけを持ち帰る。」
p20「おそらく国民は、このような姿勢を直感的に感じ取り、小泉総理に対する大きな期待を形成していったのであろう。」
p60「「志を共有する専門家のネットワーク」(エピステミック・コミュニティ)」
p62「ここは、レトリックを巧みに駆使するしかない。私は「当面、不良債権処理に集中しなければならない。だからこの間、完全を期すためにペイオフ解禁を延期する」」
p64「権限の行使には厳格な規定があること、したがって、そのプロセス一つひとつを丁寧にクリアしていくことの必要性」
p68「大臣というのは病気になることが許されない。」
p75不良債権処理のポイント

①資産査定の厳格化のため、市場価格による算定を徹底させる
②大口債務者の債務者区分を統一させる(横串)
③銀行による自己査定と検査による査定の差を公表し、自己査定をより健全なものにする
④必要があれば公的資金を活用する用意があることを明確にし、さらに新たな公的資金についても検討する
⑤繰り延べ税金資産の計上を適正にする
⑥経営健全化計画が未達成な銀行に対しては業務改善命令を出す

p82「参院幹事長(当時)の青木幹雄氏がきっぱりと言った。「これでは選挙は戦えない。選挙の前に株を下げないでもらいたい」」
p91「私は、事務方に協力を求めながら、しかし自分自身が積極的に細部の議論に関与するよう努めた。多くの政治家や評論家は、こうしたレベルの議論になると、ほとんど無関心・無理解になる。」
p101「株式会社日本総合研究所の資産である。それによれば、金融再生プログラムによって発生する離職者数は、78万人から165万人に達するというものだった。・・・「試算には大きなバイアスがかかっており、信頼できません。不良債権処理をいやがる銀行の子会社の試算ですから、やむをえないんじゃないでしょうか」」
p129「栃木県選出の森山真弓前法務大臣から、「いま、栃木選出の国会議員が集まっている。ここに来て、状況を説明してもらいたい」」
p137「ダイエー問題で前向きな議論を進める産業再生機構に対し、経済産業省から露骨な圧力がかかり、これに講義して再生機構の幹部が辞表を提出する騒ぎになっている」
p139金融改革の教訓

①「戦略は細部に宿る」
②無謬性にこだわる官僚マインドが、いかに改革を阻む岩盤になっているか
  民間のプロフェッショナルにも、無謬性の問題が存在していた
③日本ではいまだに過去の政策と行政の総括が十分に行われていない

p156「郵政のそれぞれの事業(郵便、銀行、保険など)が自立すること、そのために分社化が必要だという点だった」
p187「法文にどのような書き方をするか、まさに戦略は細部に宿るのである。これまでは官僚がまんまと政治家の目をごまかしてきた手法を、我々は逆手に取って、抵抗勢力の反対をかわしていった。」
p192「大臣、気合いの勝負です。こういうときは怖い顔をして、徹底的に正論で戦って下さい」
p222「各方面から様々な要望が寄せられる中で、その中身は法案の内容に一切影響を与えないものにしなければならなかった。」
p228「要するに、対案なく批判するのはかくも簡単なことだった。」→永遠の真理・レッテル
p250「「政府部門の民間への委譲」「頑張りがいのある税制」「年金の抜本改革」「画期的な人材再教育」「地方財政の見直し」「特定財源の見直し」」
p254「第一は、「この国を変えるのは並大抵のことではない。世界的に見て普通のことが本当にこの国では容易に通用しない」」
p276「私は政界のドンと言われる人の志の大きさと人間の奥深さを、様々な形で学ばせてもらった。(山中貞則元通産大臣)」
p284「塩川財務大臣は、「諮問会議は具体的なことではなく方向について議論すべきだ」
p288「歳出削減は主計局の問題、減税は主税局の問題」
p304「与謝野大臣は、こうした様子を一切伝えていないことがわかった。」
p310「与謝野大臣も、谷垣大臣もこうした「堅実な前提」という言葉を多用した。しかし、これはおかしなレトリックだった。堅実の反対は放漫である。」
p315「しかし議論の取りまとめ段階で、進行役の与謝野大臣はなおも次のように主張したのである。「成長率と金利の組み合わせをどう見るかで、必要とな る収支改善努力が変わってくる。財政健全化を確実なものにするためには、ほぼプライマリーバランス2%以上の黒字を目標にすることが必要だということは、 概ね共通の認識ではなかったかと思う。」
p320地方財政政策パッケージ

①国と地方の役割分担を明確にするための「分権一括法」を制定すること
②交付税の配分を、面積や人口などわかりやすい客観基準に基づいて行うこと(新型交付税)
③地方行革の新指針を作ること
④不交付団体を画期的に(例えば人口一定規模以上の都市の半分に)増やすこと。またそのための税源委譲を行うこと
⑤自治体の責任を明確化するために再生型の破綻法制を制定すること
⑥地方債の自由化を進めること

p322「とりわけ、NTTの影響力は聞きしに勝るものがあった。まさに、与党と野党双方にである。」
p339「難しい問題を難しい問題として、まず社会全体で認識し直すことの必要性を感じているのである。」
p342「しかし、10キロ先ではなく「1メートル前進しなさい」「次は10メートル前進しなさい」と言われたら、抵抗するのは容易でなくなる。

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2008/02/09

『ベーコン』/井上荒野

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井上 荒野
集英社  2007-10

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 この本を読んだのは失敗だった。つまらなかった訳じゃない。ただ、小説を読むことに疑問を抱いてしまったのだ。

 本著は、料理や食材をアイテムに据えた9つの短編集。タイトルが、そのアイテムとなる料理や食材になっている。僕にとっての「それ」は、3編目の『アイリッシュ・シチュー』でやってきた。

 東京郊外で夫・娘・息子・猫と暮らす私。ある日、大雪が降り、宅配が来ず、猫がいなくなり、猫を探し回り、夫に電話をするが邪険にされ、無言電話が度々なり、これまで足を踏み入れなかった子供部屋に入り、猫は見つからず、近所で住宅を販売をしている若い営業マンと目が合い、家に招き入れ、たったまま性交した。

 それだけだ。夫も娘も息子も猫でさえ名前が探しやすいのにとことん名前の探せない「私」は、没個性の象徴なのだろう。ありふれた日常でも、言い表しようのない不安に揺さぶられ、日常の裂け目にはまってしまうけれど、またいつもの日常に帰っていく。そんなことを、今更聞かされてもしょうがないのだ。
 日常に不安はつきものだ。殊更に日常の中の非日常性を拡大してみせるのは、日常で努力不足な人の当然の顛末に過ぎない。そんな人の不安を拾い上げてもらっても、心はぜんぜん揺さぶられない。小説は正しいことを歌う訳でも時代の新しい問題だけを拾いあげる訳でもない。けれど、焼き直しの現状維持が量産されるのにはもううんざりなのだ。

 これではケータイ小説が流行るわけだ。僕は、これからいったい何のために読書をすればいいのだろうか?

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