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2008/04/30

『monkey business』/柴田元幸

4863320086 モンキー ビジネス2008 Spring vol.1 野球号
柴田元幸
ヴィレッジブックス  2008-04-18

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 『野球のダイヤモンド、小説の輪郭』という、柴田元幸と小川洋子の対談で、小川洋子が「人間が決めた掟の中心に立って大きな声で喋れる人はいいけれど、それがどうしてもできなくて、隅の方で、私はここでいいんですと佇んでいる人たちの、声にならない声を聴き取る」というのがとても良かった。印象深い。
 世の中がどんどん声がデカいもん勝ちみたいになってきてて、しかもそれがいいことなのか悪いことなのか振り返って考えてみようともしない、声出さないヤツが悪い、そんな風潮で、なんとなくそれはそうだなあと流されてきていたけれどやはりそれは何か間違っているという漠然とした感覚はある。それを、きちんと「それは間違いです」と言い切るだけの言葉を獲得していくのが、自分の読書をする理由だと思ってる。 

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2008/04/26

『監査難民』/種村大基

4062820668 監査難民 (講談社BIZ)
種村 大基
講談社  2007-09-26

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 システム監査という分野を志しているので、『監査』に興味があり手に取った。最も興味深かったのは、 「『これだけの監査をやったのだから、粉飾を見抜けなくても当然です』と言い訳するための書類づくりに追われているだけじゃありませんか。」という会計士の発言の行だ。これは監査の世界だけではなく、現代の企業活動のあらゆるところで見られる症状だと思う。製造業でも、医療でも、はたまた行政でも、もちろん我々IT業界も。どうやって「自分たちの責任を回避するか」ということにばかり神経が行って、健全な創造的活動が減衰しているように感じる。如何に文書に残し、あるいは残さず、責任を回避するか。こんなことでは結局縮小均衡の道を辿るしかないと判っていながら、そうするしかないというジレンマに陥っている。
 もうひとつ我々IT業界で言えば、プロジェクトに関するリスクを極小化するためのPMOを設置する動きが広まったように、不正や不適切な活動を防止するためのシステムを組み入れているものの、その精神が健全に社内に浸透していないということだ。内部統制でも言われることだが、これらの取組が、営業現場にとっては「売上を阻害するようなくだらない規制」としか受け止められず、かたやPMO側は、急場しのぎで他業界から引き抜かれた法律専門家のような人間ばかりでIT知識やプロジェクト知識が不足しており、現場の実情が分からないまま業務を行うので、営業活動を遅延させ余計な業務を増やす要因となる。中央青山でいうところのRP業務の問題に近い。
 スピード化が進み、規模が拡大すれば、当然業務量が増え、それに押し潰される。勢い、より効率的に稼げる大企業のみと取引をするよう選別を進めるしかない。このジレンマを乗り越えるためには、従来以上の効率で業務を遂行できるような、技術の向上やITの導入を推進するしかないのだが、なぜか日本の現場ではこの当たり前の考え方が当たり前でないと決まっていることが多い。

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