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2008/08/24

『堂島物語』/富樫倫太郎

4620107190 堂島物語
富樫 倫太郎
毎日新聞社  2007-12-15

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 埜登村という片田舎の生まれの少年・吉左が、大阪・堂島で大商人になるまでの立志伝。
 まず思うのは、歴史は繰り返されるということ。堂島の米市場を舞台に繰り広げられる商売や出来事は、そっくりそのまま現代でも起きていること。だから、やはり歴史を学ばなければならないのだと教えられた。商取引にはルールがあり規制があって、そのルールや規制が揺らいでいく流れは、歴史からいくらかは学ことができそうだ。
 しっかり舞台の書きこまれた時代小説だけど、それほど時代小説という印象はなくて、青少年向けの小説といってもいいと思う。商売には誠実さと聡明さが大切だということも、分かりやすく伝えてくれる。
 あと、堂島周辺の知名がたくさん出てくるので、普段自分が往来している場所がかつてどんなところだったのかが感じられて楽しい。土地にも隆盛はあるもので、やっぱりそういう歴史からの空気も持ってるんだなあと感動したりします。

p88「新しいおかはんが来てから、随分といじめられたんや。」
p91「どこでもやっていることですよ。蔵屋敷に五百石の米しかないから五百石分の米切手しか発行しないなんてことはありません」
p95「ところが、幕府にしても諸藩にしても、その経済の初歩を理解していなかった」
p129「その場で耳で聞くだけでは、それが役に立つことかどうか、すぐにはわからん。とりあえず、知らんことを聞いたら何でも帳面に書いておこう」
p131「米を商う者の心を垣間見たような気がした」
p191「商売相手に侮られると、商いがやりにくくなる」
p250「米取引における自分なりの信念がないことで、目先の米価に振り回されて取引しているだけなのである。」
p267「それをほんまに禁じてしまっては、お上も困ることになるからというて見逃したりすんのは」
p308「丁稚が腕を磨くにはええやろけど、あれを生業にしたらあかん」
p335「それを乗り越えられるくらいに計画が堅牢であったならば、こんな惨めな結果にはならなかったはずだ。」

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