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2008/08/31

『私を見つけて』/小手鞠るい

4344411692 私を見つけて (幻冬舎文庫 (こ-22-1))
小手鞠 るい
幻冬舎  2008-08

by G-Tools

 日本人とアメリカ人のカップルを主人公とした5篇の短編集。「アメリカ的」な価値観や「日本的」な価値観の、ステレオタイプなものがいいもの悪いものひっくるめてたくさん登場して、ありきたりな「イブンカコミュニケーション」的な話かといえばそんな安直なものではない。読めば読むほど、価値観にいいとか悪いとかがないってことを切々と感じる。
 腑に落ちないというか、わかるけれど完全にわかることはできないだろうと思ったのが『出口のない森』。そこまで思いつめないといけないことだったのだろうか?もちろん、真剣に考えれば考えるほど、ことはここまで突き詰めないといけないことだというのは頭ではわかるけれど、実際にそこまで行動に出てしまうものだろうか?ここに、男女間の違いが浮き彫りになってる気がする。

p52「夫はすべてを金に換算して、ものごとを考えている」
p90「明美はいつまでもぐずぐずと根に持っている」
p107「日本人ならだれでもわかる、つかみどころのない情というもの、割りきれない感情、もやもやした思いを、あなたは理解できない」
p125「殴られた側はその痛みを覚えていても、殴った側は簡単に忘れることができるっていうこと」
p161「つぎなんていやなの」
p166「壊れたものを修理して、大切に使う、という風にして、思い出したいのだ」
p192「ようするに「絵を描きたい」と思えるような、心の余裕がない、ということなのだ」
p216「そんな風に、何にでも因果関係をつけたくなるのは、あなたの職業病かしらね」
p227「覚えてもらいにくい名前だから、自分の名前を変える?その合理性が鼻につくのよね」
p235「俺はそう信じる」
p247「わたしに魂というものがあったとしたなら、それは永遠にわたしの体にもどってくることはなく、ここに置き去りにされたまま、この森の中をさ迷いつづけるだろう」
p269「こんなことのために、涙はひとつぶだって流したくない」
p284「そしてその悲しみを永遠に忘れないことさ」

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