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2009/02/22

『世界は単純なものに違いない』/有吉玉青

4582833411 世界は単純なものに違いない
有吉 玉青
平凡社  2006-11-11

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新聞・雑誌に掲載されたエッセイを集めた一冊。  

書かれている内容は、ほとんどが「うんうん、そうだそうだ」と納得できる内容で、もっと言うと、今まで自分が世間の矛盾とかおかしいと思うこととかに対して自分なりに筋道たてて理解しようとした結果が、そこに書かれている感じ。再確認・再認識できる。こう書くとすごく傲慢になっちゃうけど、そうではなくて、何か自分の考えを言ってみると取り合えずの同調よりもすぐ反論を食らう僕としては、頭の中に立ち上った感覚や考えを、納得させることのできる言葉に落とせる力は凄いことだと思うのだ。そして、文章を書くということは、突飛なことを思いつく能力よりも、正しく言葉に落とし込む力があれば道が開けるのだということも。

もっとも印象に残るのは、表題にもなっている『世界は単純なものに違いない』。このエッセイは、『浮き雲』という映画にまつわる話なんだけど、著者は、いいことがおきても悪いことがおきても無表情に見える主人公から、世界はいいことか悪いことしか起こらない単純なおのだから、絶望する必要はない、という結論を得る。けれど、この映画の舞台はフィンランドで、フィンランド人は喜怒哀楽をあまり表に出さないということを知っている僕は、ちょっとその結論に疑問を持った。そしたら、(追記)という記載があり、「この映画のラストシーンの二人の表情は、希望にみちあふれていると見るのが正しいのだそうだ」と書かれていた。でも、著者は「映画の見方に正しいも正しくないもない」と続ける。まったくその通りだと思う。予備知識が多いことで、より深かったり正しかったりする読取ができるかも知れないが、決してそれがすべてではない。

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2009/02/11

『環境ビジネス』2009年2月1日

B001NPJJG2 環境ビジネス 2009年 02月号 [雑誌]
日本ビジネス出版  2008-12-26

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p.43 CO2排出量: 電力1kWhにつき0.555kg-CO2
p.43 シンクライアントシステムの効果を検証する

p.35 スクリーンセーバー起動5分設定・・・89W
p.35 モニタ電源切る10分設定・・・56W
p.35 システムスタンバイ20分設定・・・37W

p.33 2006年 総発電量9400億kWh / IT 470億kWh (5%)
p33 2025年 総発電量1兆2000億kWh / IT 2400億kWh (20%)

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『AERA』2009年2月16日

p27「同じ客が何度も来店する。価格交渉に費やされる時間が増えた。かといって、値下げをしても効果が薄いー。来店者数は増えているのに、売り上げは伸びなくなっているのだ。」

全く同じことが起きている。肌で感じていて、意識するに至った事柄が、週刊誌の記事となっていた。
不況下では、お客様は当然、購買を吟味する。吟味するためには、検討の回数を増やす、検討案の数を増やす、等のアクションが取られる。売上ノルマの設定は、多数顧客がアサインされていることによって高額になっている場合、顧客単価は小額なため、いかに多数の顧客に広くリーチするかが戦略だったが、現在の環境では広くリーチすればするほど一件当たり時間が伸び、おのずと成約率が下がり、達成率も下がる。だからといって、お客様と接する時間を削減すれば、当然勝率は下がる。お客様は、自身の購買により時間をかけたがっているからだ。
そこから導く結論は、①営業する顧客を、見込み案件の見込み売上の高い順に絞り込む②コンタクト時間ではなく、提案案数を重視するお客様を優先する③営業する顧客の見極めを、提案活動を行わない人間が行う の3つ。特に②は、コンタクト時間は増やすことができないが、提案数は工夫次第で同じ時間でも増やすことができる。

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2009/02/07

『八月の路上に捨てる』/伊藤たかみ

4163254005 八月の路上に捨てる
伊藤 たかみ
文藝春秋  2006-08-26

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自販機補充業務をこなす傍ら、今日でお別れとなる先輩で同僚の女性・水城さんに、自分の離婚の顛末をとつとつと話す敦。第135回芥川賞受賞作。

伊藤たかみは、もちろん面識はないが高校の同窓生。いつか読もうと思いながら、今日まで読まなかったのは、親近感と近親憎悪の板挟みの現れだったに違いない。それで敢えて言うと、僕はこの小説はたまらなく好きだ。そうしてその好きの理由には、同じ土地で同じ時間を過ごした人間には共通のセンスが宿る、と信じさせるものがある。

話の内容はたわいもない。敦が千恵子と学生の頃に出会い、同棲し、結婚し、すれ違って離婚するまでを、似たような境遇の水城さんに仕事中に語って聞かせるだけだ。小説にストーリーを求める向きにはまったくもって勧められない。ただ、敦と千恵子のすれ違いぶり、「夢」の扱い方のすれ違いとか「金」に困窮してすれ違っていく様とか続くから言えないのであって終わるなら優しくなれるすれ違いとか、まさにガツガツと描写してくる。物語を読む楽しみというのは、起承転結とカタルシスの一種類だけではないと思う。そして、芥川賞というのはそういう楽しみとは違う楽しみを持つ小説に与えられる賞ではなかったか。amazonの読者レビューが軒並み「芥川賞はおもしろくない」という色で塗りつぶされていたのが悲しかった。近代文学の歴史の中で、大衆文学が芸術的な価値を持つ文学へと昇華されてきたのに、現代はインターネットという大衆の声を拡声する仕掛けによって、文学に対する視線が「大衆文学」だけになってしまっている。そして実際、どんな小説をもってしても、「大衆文学」以外の面白さがあるんだよ、ということを気付かせることができなくなっている。あたかも、大人になっても苦味のうまさに開眼しない大人のようだ。

この小説の言葉づかいやテンションは、ものすごく生理的なところで親近感が沸く。自分の知っている言葉だ、という感じがする。例えばタイトル。このリズム感とか、何を?というところとか、たぶん、「センス」と言われるようなところでやっぱり共通するのだなあと思った。

もう一つ、最後の最後に「俺は一時たりとも遊んでなんかいなかったぞ。」と簡単に締め括るために展開をもっていくところなんかも。  

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2009/02/01

『39歳までに組織のリーダーになる―活躍スピードを加速する」/柴田励司

476126246X 39歳までに組織のリーダーになる―活躍スピードを加速する
柴田 励司
かんき出版  2005-04

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38歳で人事コンサル会社 マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング株式会社の日本法人社長に就任したリーダーシップ論。

本書は、”リーダー”を、明確に「社長」と想定している場面と、”リーダーシップ”を、肩書きによって与えられるものではなく、人を動かすことのできる「推進力」として説明されている。なので、本当に「社長」を目指す人間にとっても、ポジションに関わらずリーダーシップを身につけることで仕事のステージを向上させた
い人間にとっても有用な内容になっている。説明は非常に平易で、流し読みするだけだと、今までどこかで読んだことのある「お説教」くらいにしか読めないが、真剣に読みこむと、実は現状の自分ではわかっているようで見えていなかった「リーダー」の視点、というのに気付いてくる。これを身につけ実践するのは簡単なことではないが、真剣な意味で「気づき」を与えてくれる、素晴らしい文章だと思う。

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『奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。』/中川政七商店 十三代 中川淳

4822264564 奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。
日経デザイン
日経BP出版センター  2008-10-23

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奈良晒を扱う老舗「中川政七商店」の十三代、中川淳による、地方中小企業の経営実践録。

帯に「中小企業こそ、ブランディングが必要なのだ!!」とある通り、中小企業が生き残るためのブランディングの実践方法が記されている。実際に「遊中川」「粋更」というブランドを立ち上げた経緯で書かれているので、とても参考になる。一般的な「教科書」と決定的に違うのは、そういう実践録的な部分ともうひとつ、「売るべき素材」として確固たる伝統工芸品があったこと以外は、特にブランド確立に有利な条件が何かあった訳ではなく、ひとつひとつ問題解決した結果であるということ。こういう本は、読んでみて「なんだ、それならうまくいくに決まってるじゃんよ」と言いたくなることが多いが、この本は、特別なことは何もないところから、ひとつひとつ問題解決してやってきた道のりがよくわかるように書かれている。

もうひとつ出色なのは、「これはあくまで中小企業のやり方」「行動にはそれぞれ状況に応じたタイミングがある」というふうに書かれていること。この方法が、どんな状況にも当てはまるとは全然言っていない。当てはまりそうな中小企業に対してさえ、会社の成長のタイミングに応じたアクションがある、とはっきり書いている。こういう細かいところが積み重なって、これは単なる中小企業向けブランディング本ではなくて、ビジネスパーソン全般に対する心構えの書になっていると思う。当たり前のことが当たり前に書かれているだけのようだが、こういう本がもっともっと評価されてしかるべきだと思う。

実際、僕はあんまり突飛なことや、近道や、テクニックを駆使した稼ぎ方とかが苦手で、全うな業務を全うにやり遂げたいと思うタイプなのだが、そういう人にとって本書は大変な励ましになると思う。心のよりどころにできるような一冊。

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