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2009/07/22

『はじめての構造主義』/橋爪大三郎

4061488988 はじめての構造主義 (講談社現代新書)
橋爪 大三郎
講談社  1988-05

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 大学生の時、ご多分にもれずほとんど勉学に励んでなかったんだけど、哲学や思想を専攻してた訳でもないのになぜか思想には興味があって、面白そうと思った書物を読み散らかして、結果、構造主義に大きな衝撃を受けた。衝撃を受けたと言っても理解できた訳でもモノにできた訳でもないんだけど、自分が今まで持ってきた物の見方とまったく違う物の見方がある、しかもそれはそれまで絶対的に正しいと思われてきたようなものや、感覚的にそうだろうと思ってきたようなことまでひっくり返してしまう破壊力のあるものの考え方だった、という点で衝撃的だった。「自分の知らないところにいくらでも世界がある」そうすっかり思えることが大人になることだとしたら、僕を大人にしたひとつは構造主義だったと思う。
 本著は、かつてのめりこんだ構造主義の知識を整理したくて選んでみたんだけど、すごくよく纏まっていてわかりやすくていい本だった。構造主義がなぜモダニズムを打ち倒せたのか、それ以前にモダニズムとは何か、なぜモダニズムは強大な権威を持っていたのか、そういうところまできちんと理解させてくれる。レヴィ=ストロースの仕事では、やはり何度触れてもインセスト・タブーの解明は衝撃的で興奮する。何が優れていて何が優れていないのかなんて、誰にも断言できないのだ。

p18「マルクス主義は唯物論だから、革命の犠牲となっても霊魂だけは救われるぞよ、というような発想がないのだ」
p18「ヨーロッパ世界の人びとは、キリスト教を通過しているので、ひとりひとりの人格や個性や自由に大きな価値を置く。そこで、マルクス主義の言うことはもっともだけれども、そこでこの私の生きる意味はどうなるんだろう、という感想を持つ。サルトルの実存主義は、これにこう答える。彼は言う、われわれ人間の存在なんて、もともと理由のないこと(不条理)だったはずだ。」
p19「構造主義ははっきりノーと言ったのだ。構造主義と言ってもいろいろあるので、しばらくレヴィ=ストロースに話を限るが、彼の議論を煮詰めていくと、マルクス主義の言うような歴史など、錯覚にすぎないことになる。」
p22「それは、人びとが互いに対等な人間と認めあって、人類共同体を構成し、そのメンバーにふさわしく協力しあいましょう、という思想のはず。」
p26「ソシュールやその後継者たちの仕事は、直接・間接に、ずいぶんレヴィ=ストロースの養分になった。もうひとりは、フランスの人類学者で、デュルケーム学派のマルセル・モース」
p32「1955年、・・・『悲しき熱帯』」
p45「言語の機能を知るのに、その歴史を捨象する(わざと考えないようにする)ことができる」
p47「指示するものとのあいだに実質的なつながりがあって、恣意的でないから「有縁的」という」
p51「言語や記号のシステムのなかには、差異(の対立)しか存在しない、と言わなければならない」
p84「クラ交換」「モースは、『贈与論』」
p91「インセスト・タブー」
p95「限定交換」「一般交換」「両方交叉イトコ」「母方交叉イトコ」「父方交叉イトコ」「平行イトコ」
p99「コミュニケーションの一般理論」
p101「人間社会のあり方を「有機的連携」「機械的連携」の二種類」
p104「社会集団の構成原理」
p107「数学(遠近法)とのつながり」
p114「神話素」
p122「神話分析が、テキストを破壊してしまう無神論の学問だからだ」
p127「構造主義は、真理を”制度”だと考える。制度は、人間が勝手にこしらえたものだから、時代や文化によって別のものになるはずだ。つまり、唯一の真理、なんてどこにもない」
p130「数学は、長年をかけて、それ自身をつきつめていくうちに、とうとう自分がひとつの制度であることを発見した」
p134「ユークリッドの『幾何学原本』」
p146「双曲線幾何学」
p161「世界は、物体(=客体=客観)の集まりである。それ以外のもの(神や霊魂)は、どこにも見つからない(のではないか)。」
p169「射影幾何学」
p183「神話に<構造>があると考えるのと、神話はつぎつぎ変換されていくものだと考えるのとは、一緒のことなのだ。」
p184「まず、ある地域の神話の全体を、変換群とみなす。」
p225「”現代的なこと”に関心があるのはいいが、それを”最新のもの”と取り違えてしまう。」
p228「思想が体制を支えるにしても、批判するにしても、・・・思想たるもの、これまで幅を利かせていた思想に正面から戦いをいどみ、雌雄を決する覚悟でないと、とてもじゃないが自分の居場所を確保することすら覚つかないはずだ」 

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