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2009/09/05

『非属の才能』/山田玲司

4334034292 非属の才能 (光文社新書)
光文社  2007-12-13

by G-Tools

 みんなと同じではなく、みんなと違うことが、これからの時代に求められる。みんなと違うこと、それを「非属」でるという。これが本書の主張。

 僕は、本書が言うところの「群れのルール」に慣らされてきた人間なので、「非属」である人に大きな才能が隠されているという主張は理解はできるんだけど、じゃあそれ以外の人たちはどのように振舞えばいいのか?とすぐに思ってしまう。特段の才能のない多くの人たちが「群れのルール」を守ることで秩序ある「社会」という基盤があり、それがあるからこそ、みんなと違う「非属」の人たちの才能が生きるのではないか、と。でもこの発想は、「非属であること=自分勝手」という決めつけが前提になっている。人と違うこと=傍若無人、ではない。人がそれぞれ思い思いのことをやると大変なことになる、と感じてしまう皮膚感覚それこそが「群れのルール」が染み付いている証拠で、人と違う感覚を持つことと自分勝手であることはイコールではない。実際、「非属」を謳う本書の著者でも、「自分の感覚で決めるのは大いに結構なのだが、自分が常に正しいかどうかはわからないという自覚だけは必要だ。」と書いている。この部分が峻別できないところが、日本社会の未熟なところなのかも知れない。

 「何が嬉しくてそんなことするんだ?」という言い回しは関西弁ではよく使われるが、「その変わっている部分が誰を幸せにするのか?という視点が欠けてしまっている」という本書の言葉は深く考えてしまう。変わっている部分があったとして、それをどう活かせば幸せになれるのか?自分にとって幸せとは何なのか?群れで大過なく過ごすことだけ考える社会だと、そんなこと考える意味さえない。そういう意味でも、「非属」という考え方には大きなアドバンテージがあるように思う。

p30「実はそんな非生産的な要素のなかにこそ、非属の才能は眠っている」
p32「僕たちは「国のために死ぬのが美徳」という常識が一瞬にして「消費こそが美徳」になった国に住んでいる」
p59「彼らには、「良い群れに属さないと幸せになれない」という親からの呪いがかけられている」
p80「『デヴィット・フィンチャー監督『ファイト・クラブ』」
p85「体に悪いうさぎ跳びを野球少年にさんざんやらせてきたように、この国ではよく、考えずに意味のない努力をさせがち」「永田照喜治氏」
p96「高城剛氏」「情報をダイエットするだけで、人間は劇的に変わりますよ」
p102「僕はどちらかというと経験至上主義的な傾向があるのだけれども、人生を変えた出会いはたいてい「なんとなく直感」で決めたときに訪れることが多い。」
p112「エラーが、ときとして劇的な環境適応能力」
p130「レール(ルーティン)からはみ出すことに対する恐れや罪悪感」
p138「山本譲司氏」
p144「東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏」「失敗学」
p148「山田真哉氏」「韓非子の”暗喩”」
p154「「興味ない」を禁句」
p175「引きこもりはその楽を取らず、自分の感覚を信じるという、ある意味「苦行」を選んだ人たちだ」
p181「まず100冊。玉石混淆でも、それだけ読めば」
p184「ゴダール」
p188「ケータイを持つことで「いつでもどこでも」誰かとつながれるという安心感は、引きこもりを修行期間にするための最大の障害物」
p196「決して人に見せない」
p199「漠然とした「みんなの意見」ほど当てにならないものはない」
p214「その変わっている部分が誰を幸せにするのか?という視点が欠けてしまっている」
p214「自分の感覚で決めるのは大いに結構なのだが、自分が常に正しいかどうかはわからないという自覚だけは必要だ。」
p224「行き詰ったら、視点を切り替えてみればいいのだ。視点が七つくらいあると、気持ちはだいぶ楽になるだろう」

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コメント

こちらこそ、コメントありがとうございました。

タツミさんはかなり細かくつっこんで解説されていて、勉強になります。

“特段の才能のない多くの人たちが「群れのルール」を守ることで秩序ある「社会」という基盤があり、それがあるからこそ、みんなと違う「非属」の人たちの才能が生きるのではないか”

というご指摘は、それはそれで、確かにあると思います。特定の才能のない絶対多数が社会を維持しているのですよ、間違いなく。

投稿: しげぞう | 2009/09/23 21:13

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