« 日経夕刊20100115p9 人間発見 唐招提寺長老 松浦俊海  | トップページ | 日経夕刊20100122p13 大企業チーム崩す地域力 社会人野球の大和高田クラブ »

2010/01/21

『GIRL』/タマキ・ジュリアン

4861139341 GIRL(ガール)
ジュリアン タマキ
サンクチュアリパブリッシング  2009-08

by G-Tools

日系女子高生スキムの16歳の日々。

この絵にピンときた人、もしくは、もしかしてこの読書百”篇”を見て、本の趣味が似てる、と思った人がいたら、絶対に読んでみてほしいくらい、オススメ。

「神は細部に宿る」ということを鮮烈に思い出させてくれた。青春真っ只中の感性と感情は、ディティールに凝らないと絶対に蘇ってこないとわかっているけれど、日々、以下にディティールを切り捨ててマスで見るようにサマリーするようにと求められる社会人生活を送ってると、毎日がほとんど同じだと思い込んでしまってて、何かの力を借りないとディティールを大切にできなくなってしまう。その「力」をものすごく秘めてた。

主人公は外国で女子高に通う日系人のスキム、彼女が日系人だからという独特のものがこの話の中にどれだけあるのかは正直僕にはよくわからない。ほとんどが16歳の女の子の世界特有のもののように思えるし、その中にもしかしたら日系人特有のものがあるのかも知れない。反対に、この話の舞台が日本でも全然違和感ないから、なんとなく日本特有の出来事と思ってるようなことが、意外と世界どこでもそうなんだ、と思えることのほうが大きいのかも知れない。

だから、いじめとか、同性愛とか、自殺とか、そういった出来事のいっこいっこに、ややこしくて濃密に共感するんだけど、僕がいちばん引き込まれたのは「疎外感」。アジア人だからとか、いじめのテーマに通じるところとか、青春時代特有の「自分は特別」感とか、いろいろあるけれどそれだけじゃなくて、周りに馴染めないというか馴染みたくないというか、周りと違うからじゃなくて、とにかく馴染みたくないんだ飛び込みたくないんだという、自分から生み出してしまう「疎外感」。スキムにはそれが滲み出てる。それはやっぱり日系人だからかも知れないし、単なる反抗期なのかも知れないし、性格の問題なのかも知れないけれど、何かを大切にしているから、何かを大切にできる人間だけが、味わうことのできる「疎外感」。そういうものを強く感じた。

スキムと、スキムとはいろいろありつつやってきた友人のリサは、巻末、それぞれが何かを「愛」だと信じて変わっていく。その「過程」がまた切ない。

イグナッツ賞というのも初めて知ったので、この賞を受賞した作品を調べて読んでみようかな。作者のタマキ・ジュリアンとタマキ・マリコはそれぞれイラストレーターと小説家という、漫画家ではない人が初めてコミックを作ったというその経緯も惹かれた。「つくりあげる」という感触がすごい出てる。

|

« 日経夕刊20100115p9 人間発見 唐招提寺長老 松浦俊海  | トップページ | 日経夕刊20100122p13 大企業チーム崩す地域力 社会人野球の大和高田クラブ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7655/47354109

この記事へのトラックバック一覧です: 『GIRL』/タマキ・ジュリアン:

« 日経夕刊20100115p9 人間発見 唐招提寺長老 松浦俊海  | トップページ | 日経夕刊20100122p13 大企業チーム崩す地域力 社会人野球の大和高田クラブ »