« 日経夕刊20100122p13 大企業チーム崩す地域力 社会人野球の大和高田クラブ | トップページ | 『二人だけで生きたかった 老夫婦心中事件の周辺』/NHKスペシャル取材班 »

2010/02/13

『ドリーマーズ』/柴崎友香

4062156830 ドリーマーズ
講談社  2009-08-21

by G-Tools

 まず本筋にあんまり関係のないところから感想を書くと、『ドリーマーズ』で、赤の他人がふとしたきっかけで電車の中で会話するのが東京っぽいなあ、いいなあ、と思った。大阪ではあんまりこういうのない気がする。じっと考えてみて、東京はやっぱり、終わってもまたすぐ次が回ってくる、そんな環境だからじゃないかなと漠然と思った。

 柴崎友香は、おっとりのんびりした関西弁とちょっと胸を締め付けられるような筋書きが好みで、図書館の新着図書に本著があったので予約して借りてみたんだけど、ちょっと食い足りなかったかな。短編集なんだけど、一篇目の『ハイポジション』と最後の表題作『ドリーマーズ』が読んでて目が吸いつけられるし頭にぐいぐい入ってくるんだけど残りは若干印象が弱くて、「やっぱり年を取ると感性が弱まってくるというのもあるかも知れないけど、何より、自分が普段生活している世界と全然違う世界が描かれてると、ディティールにいちいち躓いてしまうしうまく頭の中で想像ができないので、感じ方が弱くなるのかな」と思いつつ読んでたけれど、読み終えて初出を見ると、『ハイポジション』と『ドリーマーズ』は「群像」で、それ以外は違ってて、やっぱり読者層というのを意識して書き分けてるってことかなあと凄く納得しました。

 タイトルは『寝ても覚めても』があんまりない感じで、これが良かったんじゃないの?と読んでるときは思ったけど、全部読み終えたらやっぱり『ドリーマーズ』だな、とこれまた納得。夢というか予感というか、そういうのが織り込まれるのが多い。「あれってこれの予兆だったんだ」と思うような夢や出来事は、後からわかったとしても日々のアクセントとして心の中で大切にしてあげてる人々。そこにもってちょっとだけ、死のイメージが絡んでくる。「またここでも死についてか!」とちょっとびっくりしたけれど、「もしかしたら自分はもう死んでるかも」というイメージを持つのは、とても悲しいことだけとは言い切れないなというのがもっとも新鮮でした。 

p85「でもな、それから、なんか変な感じするねん」
p132「ときどき、自分がもう死んでいるんじゃないかと、思うというか、」
p143「楽しい世界が待ってるでって」
p156「わたし、もう一つ先やから」
p172「わたしはなあ、もうそういうところに期待っていうのか希望っていうのか、持たへんことに決めてん。」

|

« 日経夕刊20100122p13 大企業チーム崩す地域力 社会人野球の大和高田クラブ | トップページ | 『二人だけで生きたかった 老夫婦心中事件の周辺』/NHKスペシャル取材班 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7655/47559601

この記事へのトラックバック一覧です: 『ドリーマーズ』/柴崎友香:

« 日経夕刊20100122p13 大企業チーム崩す地域力 社会人野球の大和高田クラブ | トップページ | 『二人だけで生きたかった 老夫婦心中事件の周辺』/NHKスペシャル取材班 »