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2010/12/25

『BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 [雑誌]』

B004ETEOGO BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 [雑誌]
マガジンハウス  2010-12-15

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今、僕は完全に自分の生き方に迷っている。悩んでいる。狭くは勤めている会社でのロールについて、いったいどこまで研鑽するべきなんだろうかという問題点から、広くはこの先この職業のままでいいのだろうか?大丈夫なんだろうか?という問題点。身につけた価値観は容易に消し去ることができず、他人と比べては見劣りするとか馬鹿にされていそうだとかいう感情の周りをぐるぐる回っている。金を稼がなければならない、出世しなければならない、ステータスを身につけなければならない。そんなの大切なことじゃないという人も、少し気を緩めると、身につけている時計や乗っている車でこちらのことを判断しようとしたりする。それらの物差しを全く気にすることなく、自分が心血を注ぎたいということにピントを絞ることなんて、できるのだろうか?

直前に読んだ『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』でBRUTUSの記事をさんざん馬鹿にした文章があり、BRUTUSそのものを「底の浅い雑誌」と決めつけそうになったけど、これは買ってよかったし読んでよかった。とりあえず読んだのは「正義と個人」「お金と幸福」「現代と仏教」「マネジメント」「今読む哲学」「つながり」だけど、どの章にも現れてくるのが、「短時間で得ようとすることの否定的な面」だ。お金を儲けるにしても、どれだけ効率的かということしか考慮されない。儲ける行為自体には何の価値判断もおかれない。その状況に対して「それは当然おかしいだろう」と声を出せるようになったことが、これまでと劇的に違うところだと思う。ほんのすこし前まで、それらはすべて「本人のやる気の問題」に還元されていた。

あれほど「余計なことはしすぎるほうがいい」と思っていても、結局僕も効率化の波に巻き込まれていた。自分の今の苦境は、効率性至上主義に自分を合わせ過ぎた当然の帰結だと思う。じゃあ非効率であれやりたいと思ったことをどうやってやればいいのか?その問題を考える前に、「とにかく効率性至上主義ではダメだ」とはっきり声を出す人が増えたこと。それがいちばん大きなことだと思う。

【承認】。世界が有限で、やったぶんだけ(と自分が納得できるくらいの)「お金」が入ることが期待できないような世界で、どうすれば落ち込まずに生き生きといきていけるのか?本来、人は他者からの「承認」がなければ満足感が得られないし、そのためにはまず他者を「承認」できなければならない、という話。ここは「つながり」にもつながるし、『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』の江弘毅の話にも繋がる。お金で表現できなければ価値として見做せないという価値観からどう抜け出していけるか?実際に、お金がなければ生きてはいけないのだ、という鉄壁のリアリズムの上に、新たな自分なりの哲学を構築していく作業なのかなと、思う。

みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?
p175「消費される記号やなくて、経験やコミュニケーションの有りよう、関係性でしか書けない。」
p178「おばちゃんのそれは経済軸のものではなくて、もっと贈与的
p178「経済軸の判断は、どんどんプロセスを省略する方へいく。効率のいい方へ仕事の中身がショートカットされていって、その極端な形が「お金をお金で買う」ビジネス」

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コメント

【分配】
『これからの正義の話をしよう』
p17「人々の関心が正義…「有限性」についにぶち当たった」
「地球が有限化したから、分配のルールを決めなきゃいけないと。今、世界がぶん取り合戦してる」いとうせいこう 
→宇宙リソースが現実化したらまた「有限性」を忘れる?
『新しい資本主義』
p38「限られた資源をどう分配するかに、人々の思想や哲学の照準を合わせること」本村拓人
【嫉妬】
p18「とにかく目先の溜飲を下げることが優先」「嫉妬を感じてしまうということ自体が、サンデルが言っている「人はどんな場合でも社会的承認なしでは生きられない」
「20年もの間、他人と関わらなくても生きていけると勝手に思い込んでいた」
『もし高校野球の女子マネージャーが…』
p27「今のサラリーマンには夢がないよ。ストーリーがない」http://fudatsuki.cocolog-nifty.com/dokusho_one_hundred/2010/06/post-d498.html
p28「ネットワークにつながっていないという問題」宇野常寛
p22「ゼロから考えればいいこと」町田宗鳳
【時間】
p30「知識層を中心に英語が必須になっていくことで、英語にエネルギーをかけるあまり日本文学と触れることが減っていき」→【有限】

投稿: タツミ | 2010/12/25 14:00

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