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2012/02/26

『小さなチーム、大きな仕事 完全版』/ジェイソン・フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン

415209267X 小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
ジェイソン・フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン 黒沢 健二
早川書房  2012-01-11


by G-Tools

  「完全版」の出版予定があるのを知って、知ったその日にamazonで予約をして、読める日を心待ちにしてた。昨日、やっと読めた。これは素晴らしい本だ。掛け値なしに素晴らしい。実行するのがとんでもなく難しいことは何も書かれていない。インターネットが「普通の」存在になったことで、小さなチームで大きな仕事がほんとうにできるようになったんだということに納得できる内容で、それはテクノロジーに精通していなければいけないということではなく、普段の仕事の進め方如何だということを分からせてくれる。例えばこの一文:

「仕事依存症患者は、ほどよい時間しか働いていないという理由で、遅くまで居残らない人たちを能力に欠けているとみなす。これは罪悪感と士気の低下 をはびこらせる。さらには実際には生産的でないのに、義務感から遅くまで居残るような「座っていればいい」というメンダリティを生み出してしまう」

 まるで日本の悪しき習慣について書かれているようだが、本著は紛れもなくアメリカで書かれたものだ。こういうことは、日本だけで起きてるのではなくて、世界のどこでも起きるのだ。合理主義が徹底されていると言われ、能力主義で給料が決まると言われ、残業なんか誰がするのかと言われているようなアメリカですら、起きるのだ。

 そしてこうしたことは、外資系でも起きている。僕たち日本社会において生産性向上の足を引っ張っているのは実は「和」の精神だ。これは何も、小異を、マイノリティを切り捨てろ、と言っているのではない。いちいち仲の良さを確認しなければ仕事ができないメンタリティの問題なのだ。

p24「計画なしに仕事をするのは恐ろしく思えるかもしれない。しかし現実と折り合わない計画にしたがうのは、もっと恐ろしいことだ」
p28「こうした仕事依存症は不必要なだけでなく、バカげている」
p29「仕事依存症患者は、ほどよい時間しか働いていないという理由で、遅くまで居残らない人たちを能力に欠けているとみなす。これは罪悪感と士気の低下をはびこらせる。さらには実際には生産的でないのに、義務感から遅くまで居残るような「座っていればいい」というメンダリティを生み出してしまう」
p34「大きな仕事をするには、他と違ったことをしているという感覚が必要だ。世界にささやかに貢献している、あなたは重要なものの一部である、という感覚だ」
p41「なにをしたのかが重要なのであって、考えたり、言ったりすることが重要なのではない」
p45「前進する際に、なぜそれをしているのかを常に念頭に置いておこう」
p52「何かを信じるということは書くだけではダメだ。本当にそれを信じ、その通りに人生を送ることだ」
p60「スタートアップはこの現実を無視しようとする。スタートアップは、避けられないこと(すなわち彼らのビジネスが成長して利益を上げ、本物の持続可能なビジネスにならなければならないこと)をできるだけ後回しにしようとする人々によって経営されている」
p61「出口戦略?必要なのは成功のための戦略だ」
p64「これが、ビジネスを売却したオーナーが、引退から半年でゲームに戻ってくる理由だ」
p78「「シャーピー」という大きな太線のマーカーを使ってアイディアを描く。なぜか?普通のペンでは、あまりに細すぎて、はっきりと映り過ぎるのだ」「ウォルト・スタンチフィールドが、アニメーターにまず推奨していたのが「ディテールは忘れろ」ということだった」

p82「何を残すか何を取り去るかを決める役割がある。いわゆる編集のプロセス」
p90「誰にもありがちなことだが、ツールに没頭するあまり、やるべきことを忘れてしまうことがある」
p104「熱意と役立つことをはき違えるのは簡単だ」
p109「あなたはひとりきりモードに入らなければいけない」
p119「たとえ小さな改善でも、いいはずみを与えてくれる」
p125「睡眠をとろう」
p129「これがボストンの高速道路のビッグ・ディッグ・プロジェクトが予定から5年遅れで予算を何十億ドルも超過した理由」「デンバー国際空港が20億ドルの超過で16カ月遅れでオープンした理由でもある」
p134「小さな決断をする」
p142「ただコピー・ペーストすると、それが抜けてしまう。表面下にあるすべてを理解するかわりに表面だけを再利用しているだけである」・・・社内に専門化を配置し、提案すると言えば専門家を連れていくだけの営業スタイルもこれに同じと言える。p147「競合相手以下のことしかしない」

p153「ルールを作っているものを打ち負かすことはできない」・・・日本が勝てない理由
p157「ただ正直でいるのだ」
p170「はじめて何かをするときに世界中に見守ってほしいだろうか?」
p179「ビジネスの世界では、もし競合他社が自分たちのノウハウを知ってしまったら追い越され会社はつぶされる、と考えている。その不安を乗り越えるのだ
p184「不完全の美しさ。日本の「ワビサビ」のエッセンスでもある」「本質だけになるまで切り落とす。だが詩を取り除いてはいけない。余分なもののない、清潔な状態を保つが、不毛にしてはいけない」
p189「それよりも、業界紙やニッチなブロガーなどに焦点を絞って話を持っていったほうが早い。」
p194「何かコミュニケーションの手段があるのなら、マーケティングはできる」
p200「まずはやってみること。最初の試みを後で諦めることになっても、得た知識は何倍もの価値となって戻ってくる」
p213「ハーヴァード大学よりもウィスコンシン大学の卒業生のほうが多いのだ」
p221「最近また文章力は見直されている」「文章というのは良いアイディアを導く通貨
p230「対応の速度はすべてを変える」
239「覚えておくべきことは、ポジティブな意見よりもネガティブな意見のほうがうるさく情熱的であることだ」
p249「人を子供扱いすれば、子供のようか仕事しかしない」
p253「何かを終わらせたければ最も忙しい人に頼む」
p256「あなたらしくていけないことはない」
p261「もしすべてが最重要であるのならば、何も最重要ではないということになってしまう」

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