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2012/03/18

『乳と卵』/川上未映子

4163270108 乳と卵
川上 未映子
文藝春秋  2008-02-22

by G-Tools

 豊胸手術をもくろむ母・緑子と、自分の性を受け入れられない娘・緑子。緑子は言葉を話さず、日記には精子と卵子と乳。世の中の辛いこと悲しいことは生まれてくるからだから、自分は子どもは絶対産まない。お母さんは私を産んだから大変でも当然だと思ったけれどそんなお母さんも自分で生まれた訳じゃないんだからそれもお母さんのせいではないというところまで突き詰める緑子。そんな緑子は声を発さず筆談し、言葉で表せない言葉はないのか、言葉を言葉で表すと一周するんじゃないのかと電子辞書を繰る…。

 生命の輪廻と言葉の輪廻。ほんとのことはどこかにあるのかないのか。そんな根源的な話題をぎっしり詰め込みながら、母と娘が遂にぶつかり合うクライマックスでお互いではなく自分にぶつけあうのは生卵。もう徹底していて清々しい!

 この事の重大さは、「ほんとのとこ」は女性でないとわからないのだろうなと思ってはいますが、それを見透かしてか「言葉」という要素を哲学的に入れ込んでいるあたりがあざといくらい見事で、最後まで面白かったです。

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