« 『青春の終焉』/三浦雅士 | トップページ | 『PUBLIC 開かれたネットの価値を最大化せよ』/ジェフ・ジャービス »

2012/06/10

『100の思考実験』/ジュリアン・バジーニ

4314010916 100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか
ジュリアン バジーニ 河井美咲
紀伊國屋書店  2012-03-01

by G-Tools

 2005年にイギリスで出版された『The Pig That Wants to Be Eaten And 99 Other Thought Experiments』の翻訳。ハーバード白熱教室で有名になった「トロッコ問題」をはじめとした哲学的課題が100収められています。それぞれの課題は、物語風に語られ、その後、どう考えるといいか、方向が解説的についています。トロッコ問題でいうと、トロッコの分岐点に立っている自分に向かって、暴走トロッコが突っ込んでくる、そのままにしておけば、40人が作業している作業場に突っ込んでしまうが、ポイントを切り替えれば5人の作業場に進路を変えられる、自分はより被害が少ないほうを、意図的に選ぶべきなのか。選ばなければその結果に自分は責任を負わなくてよいと、言えるのか。

 僕はこの「トロッコ問題」のような、選択の意志に関する困難性を考え抜くのはとても大事だと思ってる。選択が難しい課題を、「難しい」で済ませてしまうことは簡単だけれども、それでは生きている意味がないとさえ思えるから。とりわけ今の日本には、原子力発電という難しい問題がある。世界各国では継続であれ廃止であれ、答えを考え結論を出し歩みを先に進めているように見えるなかで、日本だけが遅々として前に進めていないのは、こういった「考える」ことの文化の欠如に起因しているのかも、と思った。だからこそ、この『100の思考実験』の100の課題を、真剣に常に考え抜きたい。

 最後の思考実験が、現代では避けては通れない市場主義・資本主義の問題を取り上げていてこれがいちばん重要に思う中、僕がいちばん気に入っている部分は:

p256 「判断を誤る可能性があるからといって、何もしない言い訳にはならない」

 日本の政治家に聞かせたい一文だし、常に先送りで済ませようとする我々日本人が考え抜かなければならないテーマだと思いました。

 

p67 見えている世界
p81 しないことを選んでも、責任は発生する
p88 『芸術と道徳は両立できるか?』レニ・リーフェンシュタール『意志の勝利』『オリンピア』アーリア人
オスカー・ワイルド「書物に道徳も不道徳もありはしない。上手いか下手かだけだ」
p102 ウィトゲンシュタイン
p217 ヒューム
p225 カトリック神学の道徳原則「二重結果の原則」予見することと意図することは同じではない⇔予見の責任と意図の責任は同じか?
p270 ダイバーシティのパラドックス
p276 ジョセフ・コンラッド
p352 意味論

|

« 『青春の終焉』/三浦雅士 | トップページ | 『PUBLIC 開かれたネットの価値を最大化せよ』/ジェフ・ジャービス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7655/54928371

この記事へのトラックバック一覧です: 『100の思考実験』/ジュリアン・バジーニ:

« 『青春の終焉』/三浦雅士 | トップページ | 『PUBLIC 開かれたネットの価値を最大化せよ』/ジェフ・ジャービス »