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2014/01/05

『安倍政権のネット戦略』/創出版

4904795253 安倍政権のネット戦略 (創出版新書)
津田 大介 香山 リカ 安田 浩一 鈴木 邦男 中川 淳一郎 下村 健一 マエキタ ミヤコ 亀松 太郎 高野 孟
創出版  2013-07-23

by G-Tools

日本には既に「ティーパーティ」があったんだ。迂闊だったよ。

自民党は、適当なこと、いい加減なこと、嘘をついても誰にも怒られない場所をうまいこと見つけたんだなあ、というのが最大の感想。おまけに、自分たちの代わりに勝手にネガキャンを張ってくれる「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)」という”市民団体”を見つけて公認してる。手が付けられなくなったら、切って捨てるんでしょうきっと。

ソーシャルメディア人口3,000万人のうち、政治の話題で反応しているユーザが推計10万人で、果たしてどれくらい効果があるのかというふうにも思うけれど、投票率が低い40代以下の世代の支持を取れている効果は小さくないと思う。40代以下の世代全般の支持を得ているということではなく、「投票に行かない人が多い中で、愛国的な発言によって投票に行く集団をうまく見つけた」というところ。

それにしても「サプライズ」感覚が、こんなにも悪い方向に出てくるとは。ネット上では「平和主義」が「優等生」で「驚きがない」ので見向きもされず、敢えて「愛国的」な言説を唱えるほうが「注目」され「主流」になるという。一体何がその人のゴールなのか。何をやりたいと思って生きているのか。よくわからない。
ネットというのはほんとにホントとウソが混じった世界なので、ユーザがリテラシーを高く保とうという意識が大事なんだけど、「時間がある」ユーザは暴力的にウソをばらまくことができるし、それに対抗するだけの時間をほとんどの人は持たない。これって「取り付け騒ぎ」のように僕の目には映る。その「風説の流布」をした人間が咎められることはない。だって噂だから。だってネットだから。こういうことが起こらないように、という文脈でなら、ネット上の匿名性を制限しようという動きもまだ理解できなくはないけれど、特定秘密保護法は成立した今であっても、ネット上の匿名性制限の話はとんと聞かなくなった。J-NSCなんて市民団体があれこれ触れ回っているような状況ならそりゃそうでしょう。制限しようなんて思わないでしょう。

p8「「過去、安倍さんはマスコミに殺された。その安倍さんを自分たちの手で取り戻す。再び首相に押し上げるんだ」と。そういう物言いをする人は本当に多くて、強い「意欲」を感じました。」

p11「ただ実際にネット右翼が何人ぐらい日本にいるのかというと、積極的にネットに書き込むコアな人たちは5~10万ぐらい」「中国や韓国の反日デモを見て「なんなの?」と思っているような人だったり、マスコミに対して嫌だなと思っている人まで含めると、100万人くらい」「パソコンを利用する日本のインターネット人口は6千万人」「ソーシャルメディア人口が3千万人」「安倍さんが書いた時に「いいね!」を付けるのが多くて4万人だから、単純に倍にしても8万人。他のものを加えても10万人行くか行かないかぐらいが実数かなあと」
p13「排外主義的な文言が書かれているブログはライブドアブログが多いんですよね。ライブドアブログはNHNという韓国系資本の企業」「LINEも韓国系企業」「在特会でも一時期、ソフトバンクの携帯電話はご法度でした。使うと在日の見方をすることになるみたいな論理」「でもそういう連中が、韓国資本のカカオトークやLINEは使っている」
p18「彼らの運動というのは、恵まれていると彼らが思い込んでいるものを自分たちの地平に引きずり降ろす運動ではないかと思う。これまでの新左翼や左派的な市民運動、労働運動は、自分たちの立ち位置をいかに引き上げるかというところにありました。左翼には富裕層を引きずり降ろす目的もあったけど、それがネット右翼でより顕著になった」「彼らには被害者意識が前提としてある」「言論はマスコミに、歴史の真実は日教組の教師によって奪われた」
p19「奪われたってすごくキーワード」
p22「「自分のタイムラインでは自民に入れる人なんて誰もいなかったのに。なんで?」みたいに言ってる人が結構いました。自分と考えの近い人をフォローしているからですよね」
p39「また、自民党は「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)」というボランティア団体を公認しており、会員数は1万5千人以上」
p45「彼らは差別的発言をまき散らし、妄言を吐きまくりながら自民党を応援」『連立を組む公明党以外の他政党を叩きまくる」「ネット上には「自民党=愛国政党で日本を良い方向に導く政党」「民主党=売国政党で日本を中韓に売り渡し、崩壊させようとする闇の勢力」「自民党は、暴れまくる彼らがネガキャンをやり続けてくれるが故に、彼らを自らの利益のために放置してきたというのが実態」
p47「①韓国叩き②マスコミ叩き③愛国的発言」「一つ言えるのは「暇人」」
p50「秘書が書いた「『帰国した5名の拉致被害者は直ちに北朝鮮へ帰すべきだ!』という発言で有名な藤原帰一教授」というくだりはウソだった」
p54「安倍氏の特徴だが、反論されるとだんまりを決め込む」「これが安倍氏のネット戦略」
民主党政権と安倍政権のメディア対応はどこが違うのか
p72「班目さん」「いわゆるディナイアル、否認しておきたいという気持ち」
p77「岸信介さんは「自分がもう一度総理になれるならもっとうまくやっていた」と、よく孫の晋三さんに話していたそうです」
p87「メディアを育てて国民の知る権利を守り、ちゃんと判断して選挙をするんだよという民意が形成されるまで、まだ30年くらいかかると思う」
私が体験したニコニコ動画と政治の関わり
p123「2012年の決算は経常利益こそ黒字ですが、最終的な当期純損益はわずかながら赤字」
p128「反対の多い県が2つだけある。」「突出して多いのは福島県。次に多いのは、原発に電力を頼っていない沖縄県」「福井県は圧倒的に賛成」
ヘイトスピーチ繰り返すネット右翼「嫌韓」の背景
p142「これまでの日本人は優しすぎたんですよ。近隣国に遠慮ばかりして、主張すべき言葉を飲み込んできた。その結果がどうですか?中国や韓国によって領土は脅かされ、日本に住んでいる在日までもがつけあがってきた。いまや荒っぽい言葉を使ってでも、日本の危機を訴えなければならないのです。ボクら、国のためには率先して汚れ役になるつもりでいます」
p143「彼の強烈な愛国心は、見事なまでに排外主義へと回収されている」
p149「なぜ「闘って」いるのかと問う私に、彼らの多くは「日本を取り戻すため」と答えた。彼らは外国および外国人によって日本が「奪われた」と思いこんでいる。憤りの根底にあるのは、異文化流入に対する嫌悪と、外国籍住人が日本の「生活や雇用」を脅かし、社会保障が”ただ乗り”されているといった強烈な被害者意識でもある」
安倍政権のネット戦略が抱える「落とし穴」
p156「今の各社の政治部長クラスは、自民党政権時代にキャップやデスクで、中には自民党大物の腰巾着として有名な奴もいますよね。だから、官邸の側からちょっと誘い水をかければたちまち旧体制が蘇って尻尾を振り始めるという素地がある」
p161「元外務省高官で外交評論家の田中均さんが毎日新聞のインタビューで、安倍さんの歴史認識、つまり侵略の定義、村山・河野両談話の見直し、靖国参拝などと橋下さんの従軍慰安婦”必要”論を列記して「国際社会で日本の極端な右傾化、偏狭なナショナリズムの懸念が出ている」と、きっぱりとした批判をした」
「それに対して安倍さんはその日の自分のフェイスブックで、その批判そのものには一切答えずに、小泉政権時代に5人の拉致被害者が”一時帰国”した際に、彼らを北朝鮮に返さずに日本にそのまま留まらせるかどうかを巡って、安倍さんと田中さんが対立したという11年前のエピソードを突然持ち出して、田中はあのとき「外交官として決定的判断ミス」をしたのだから「彼に外交を語る資格はありません」と断罪しました」
「これはさすがに、小泉進次郎さんなど自民党内からも批判が出たし、民主党の細野豪志幹事長も自分のフェイスブックで、「最高権力者はこんな言論の自由を抑えつけるような発言は自制すべきだ」と諌めた。すると安倍さんは、ポーランドの地からまた書き込んで「昨夜ポーランドに到着し、これから首脳会談です。ところで・・・」と細野ブログを取り上げて、ここでもまた本題とは無関係の細野のかつてのNHK番組での発言を持ち出して「民主党は息を吐くように嘘をつく」(のだからこんな奴の言うことを聞くことはないという意味)と言った。」「自己愛性人格障害」
p172「2012年に民主党の野田政権が消費増税を決めた時には、財政再建キャンペーンをあれだけ展開したマスメディアが、安倍政権になったとたんに手のひらを返したようにアベノミクスを尻押しするキャンペーンを張るのを見ていると、もはや日本のマスメディアには、権力監視が自分たちの使命だという意識はなくなってしまったかのように見える」

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