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2014/02/11

『テトラポッドに札束を』/和佐大輔

会社の人に勧められて、わざわざ勧めてくれるくらいだから世間での会話の共通言語ではあるのだろうと思って読んでみましたが、結論としては読まなくてもいい本でした。私に残った興味は、著者は自身のビジネスの黎明期の収入に関して、確定申告をしているのかなということくらいでした。

このタイトルから連想する内容で、読んで得られると期待することは大きく2つあると思っていて、一つは超実践的なネットビジネスノウハウ、もう一つは半身不随という厳しいシチュエーションに置かれた方のタフなメンタリティ。だが、前者はそもそもそのノウハウで稼いでいるので本で公開されるはずもなく、後者に関しては文面は丁寧なんですが胸に迫ってくるものはあまりありませんでした。最もこれは個人差があることだと思います。

端的に言うと、彼が成功した要因の多くは先行者利得であって、彼のスタンスや精神性や向学心とはあまり関係がないと思います。もちろん、あの時代にインターネットに目をつけたこと、更にそのインターネットに目をつけるに至った理由が不慮の事故だったというところで、「不慮の事故にあってもそれを恨むのではなく現状を受け止めて前を向く」という教訓や、「インターネットといった先進的な技術を意欲的に取り組む」というスタンスを学ぶことはできますが、この手の教訓やスタンスを鮮烈に心のなかに印象付けるような文章にはなっていないと思いますし、こういった教訓やスタンスを身につけたいと思っている人は、本著を読む前にすでにこの教訓やスタンスは少なくとも頭のなかに入っていると思います。

タイトルはもちろん『アルジャーノンに花束を』にかけていて、かつ、敢えて「札束」とヒールな空気の表現を使いつつ実は自分を半身不随にしたテトラポッドに感謝をしているということを伝えている捻った構造なんだと思うのですが、花束が札束に変わっていた通り、金銭的な成功を伝える以外のものは私にはありませんでした。

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