« 『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』/河岸宏和 | トップページ | 『ITビジネスの原理』/尾原和啓 »

2014/08/09

『ヤバい日本経済』/山口正洋・山崎元・吉崎達彦

4492396047 ヤバい日本経済
山口 正洋 山崎 元 吉崎 達彦
東洋経済新報社  2014-08-01


by G-Tools

東洋経済ONLINEの「やっぱり、アベノミクスは蜃気楼?」を読んだ流れで購入。アベノミクスは成果を上げているのか、という話題が最近あまり見なくなっていたところに新鮮だったので。

やっぱり、アベノミクスは蜃気楼?」でポイントと思ったのは:

  • 消費支出が前年同月比5月がマイナス8.0%、6月もマイナス3.0%
  • 機械受注が前月比5月マイナス19.5%
  • 日経平均が15,000円を維持している資産効果が全体を底上げ
  • 公共投資4兆円の恩恵を受ける業種だけ好調
  • 消費税上げの前は社会保障がままならないと言っておいて増税後は公共投資にばらまいている

これらを直裁に書かれていたので本著を読もうと思ったのですが、出だしは「予想を覆したアベノミクスの脱デフレ効果」でした。ただ、高額消費が増えた理由として、団塊世代の投資信託の価格回復が挙げられていて、上記の「日経平均が15,000円を維持している資産効果が全体を底上げ」と一貫していて納得しました。

しかしながら、日本経済全体が回復を実感できるのは、地価が上昇したとき、つまり、バブル前に購入してローンがまだ残っているような不動産の価値が今は「元本割れ」状態だけど、これが回復したら、皆お金を使うようになる、と解説されていて、理屈は理解できるけれどどうしてもこの理屈に素直に首を縦に振れない。その理屈だと、先の投資信託の話も併せて、消費の主役は団塊世代初め高齢者ということになる。高齢者は日本のボリュームゾーンだからそれは一面仕方がないとしても、資産効果によって高齢者の消費が好調になることが、20代~30代の若者世代の経済に波及するだろうか?地価の上昇によって経済を上向きにするシナリオよりも、下落した地価をコスト減と評価するほうが、今後の日本経済にとって望ましい方向ではないか、という疑問が持ち上がる。これは成長を是とするか非とするかという根本的なところに関わってくるので簡単に考えを纏められないが、地価が上昇しなければ日本経済は復活できないというロジックは、実は乗り越えなければいけない課題のような気がする。


そこへグッドタイミングというべきか、今日の日経朝刊にこんな記事。やはり、日本経済のマクロ指標が悪いというのは周知の事実なのだ。


Dsc_1610_2

他に面白かったのは、ロシアが付加価値が分からない、希少価値しか分からない、という下り。なるほどね、と納得。

p14「確かに効果を発揮するチャンネルはあったと評価するべき」

p15「企業経営の実態と株価の齟齬が相当大きくなっている」
p15「1つは2013年の上がり方が大きかった」「57%という値上がり率は、1986年と87年を足したぐらいの数字」「2つめは円安のストップ」「3つめの原因は、決算は確かにいいのですけれども、今期の予想がまだ控えめ」
p17「需給で株価を上げようというのは一時的な対策」
p19「1985年にプラザ合意」「円高不況」
p19「86年には金融危機で株価がびゅんと上がった」「87,88年と低金利を維持したことでバブルに突っ込んでいく」
p19「庶民がバブルを実感できるのは地価が上がったとき」
p20「消費税3%アップで8兆円」
p23「外国人の土地取得を認めることが最大の規制緩和」
p26「日本の国債を5億円分買った外国人には日本の国籍をあげる」
p32「雇用者数」「5570万人」
p35「アメリカ」「70年代後半から80年代にかけて急速に女性の就業者が増えていって」
p44「4月の貿易統計」「約8000億円の赤字」
p46「通信機の輸入は2.7兆円。輸出は5300億円」
p47「経常収支の黒字が少し危うくなってくる」「経常収支は」「ピーク時には24兆円」「いまはいいところ5~6兆円」
p51「自動車の設備投資は計画を立てて、工場が稼働するまでに3年かかるんだ。3万点のパーツを組み立てるサプライチェーンを作るというのはそういうことだ。だからいま動いている工場は、超円高時代に立てた設備投資計画のものだ」
p58「本当に君たち、TSUTAYAが来てよかったのか。そこの収益は全部東京に持っていかれているんだぜ」
p59「修学旅行は本当に観光業をダメにしてしまう」
p60「奈良には「大仏商法」という言葉があるほどで、放っておいても客が来てくれるので、観光業者や旅館が積極的にお客を集めようという気持ちが薄い」
p65「シンガポールはベイサンズの売上が約8,000億円」「セントーサ島のほうがおよそ6,000億円」
p66「パチンコが約20兆円」
p76「リーマンショックのころのFRBのバランスシートは8000億ドル」「いま4兆ドル」
p77「アメリカのGDPは15兆ドル」「マネタリーベースは半分まで増やしていい」「同じ理屈でいうと、日本のGDPは500兆円だからマネタリーベースは250兆円まで増やしていい」「いまもうすでに200兆円を超えていて」
p80「クレジットの膨張によるバブルとその崩壊というのは、ウォールストリートがもともと持ってしまっている体質」
p85「これは長らく金融政策に信を置いてきたアメリカだからこそできたギャンブルであって、おそらく日本じゃ真似はできない」
p87「戦争は、ある意味ではアメリカにとっていちばん典型的な公共事業」
p88「安倍内閣の安全保障上の方針というのは、2,000年の10月に出た第一次アーミテージ=ナイレポート、いわゆるアーミテージレポートの第一弾に書いてあることそのまま」
p98「キャボット」
p101「シンクタンクとアドボカシーという区別が必要」
p109「アップルとかグーグル、マイクロソフトっていう会社は「ROEがここ」という基準値なんか関係ない」
p116「総括原価方式をとっているので、商社から見れば、彼らは高くてもちゃんと買ってくれるいいお客さん」
p118「2,010年と2,013年を比較すると、LNGの輸入額はきっかり3.6兆円増えいてる」
p124「実際、不動産はもう空き家だらけです」
p164「2,015年は日韓基本条約50周年にあたるんです。両国の国交正常化のために結ばれたこの条約で、日本は韓国に無償で3億ドル、有償で2億ドルの経済協力金を支払い、韓国はこれによって対日請求権を放棄することに合意しました。ところがいま韓国では、5億ドルでチャラにした対日請求権を蒸し返そうという動きが活発」
p184「歴史的に付加価値をつけた経験がないんですね。ロシアというのは」
p190「日本に住みたいやつには日本の国籍もやる。その代わり北方領土に土地を持っていて、向こうに住みたい日本人がいれば住まわせる」
p195「いつまでも「北方領土だ」というのは日本側もロシア側もやめて、まずは経済交流を10年ぐらいやれば、領土問題はいまとは全く違う位相の問題になっていくと思います」
p236「若いサラリーマンはわりと堅実に貯金して賃貸住まいの人が多いのですが、そのくせ住居用ではなく、投資用にワンルームマンションなんかを買う人もいるそうですね」「若いころに無理して家を買ったことが取り返しのつかない失敗だったという結果になりかねない」
p250「一般的に「向上心」というものはポジティブなものとして評価されていますが、しかし現実にはそれをプラスにつなげていくことは結構難しい」

|

« 『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』/河岸宏和 | トップページ | 『ITビジネスの原理』/尾原和啓 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7655/60123294

この記事へのトラックバック一覧です: 『ヤバい日本経済』/山口正洋・山崎元・吉崎達彦:

« 『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』/河岸宏和 | トップページ | 『ITビジネスの原理』/尾原和啓 »