« 『新・戦争論』/池上彰・佐藤優 | トップページ | 『仕事をつくる全技術~トップ営業はこうして「稼げる案件」を生み出している』/大塚寿 »

2015/01/25

『つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』/ダナ・ボイド

つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの
つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの ダナ・ボイド 野中モモ

草思社  2014-10-09
売り上げランキング : 22189


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ティーンが、親が肩越しにSNSをしている画面を覗くことに対して不快感を示すという至って当たり前、だけど何でもかんでも法律やルールがなければ「できることはやっても問題ない」という世の中にあって、「この問題は技術的なアクセス状況がどうあれ、むしろ社会的行動規範とエチケットの問題」と明快に言葉で表現された箇所に少なからず感動した。できるからと言ってやるかどうかは、人間性を左右する。日本では、よくわからない因習やしきたりに悩まされた世代が、それらを一気に打ち破った時代と、アメリカ社会の特徴の一部である訴訟主義・ルール偏重が入り込んで、「できることはやっても問題ない」という風潮が蔓延したけれど、だからと言ってそれをやるかどうかは「社会的行動規範とエチケットの問題」なのだ。ここで気を付けないといけないのは、この「社会的行動規範とエチケット」を、時計の針を逆戻りさせ、旧式の権威主義を復活させる口上にしてはいけないということだ。新しい社会的行動規範とエチケットを志向するものでないといけない。

それにしても、至る所で「コンテクスト」ー文脈が登場することに驚きを禁じ得ない。そして、アメリカにおいて文脈に注目が集まる理由の一つが、本著では人種や格差として登場する。同質であることはレジリエンスにとっては有利だけれど、その分どうしても「文脈」が増えてしまう。日本はハイコンテクストと言われたが、アメリカもハイコンテクストに近づいている。

p24「アフォーダンス」「持続性」「可視性」「拡散性」「検索可能性」

p29「ソクラテスですら、記憶と真実を伝える能力へ及ぼす影響を心配して、アルファベットの文字及び書かれた言葉の危険を警告している」
p39「アメリカの10代はいまもなお徹底的に不平等な状況下に生き、学んでいる」
p49「ソーシャルメディアでティーンがやったり言ったりしていることは、文脈(コンテクスト)から切り離されると、完全に問題があるとまではいかなくても、奇妙に映るということがわかるようになった」
p77「アーヴィング・ゴッフマン」『行為と演技』「印象操作」「与えられたものと発せられたものの産物」
p94「この問題は技術的なアクセス状況がどうあれ、むしろ社会的行動規範とエチケットの問題
p97「ヘレン・ニッセンバウムが鋭い洞察で記した通り、プライバシーは常に文脈に根差している」
p104「大手のソーシャルメディアのほとんどで永続性が常識となっている一方で、この標準的なアフォーダンスに疑問を投げかける新しいアプリも出現しはじめている」「スナップチャット」
p106「ソーシャルステガノグラフィー」(社会的情報隠ぺい技術)
p112「意味へのアクセス制限はコンテンツ自体へのアクセス制限を試みるよりも、プライバシーを守るにあたってより有効なツールになりえるということを認識する」
p116「米国で広く普及している「インテンシブ」育児のスタイルを反映」
p130「心理学者ミハイ・チクセントミハイの言う「フロー」という概念」「口語で「ゾーン」にいる、と言われているのと同じ意味」「ほとんどの強迫性障害とは異なり、ソーシャルメディアにのめり込む場合、ティーンの社会性が欠如しているということはない」
p149「テクノロジー思想家ニコラス・カーは『ネット・バカーインターネットがわたしたちの脳にしていること』」
p151「20世紀のはじめ、中毒の概念が登場したのと同じ頃、心理学者のG・スタンレー・ホールは、若者が大人になるための、しかし完全な大人の責任を引き受ける義務はまだない空間を与えようと、思春期を定義するという仕事に着手した」
p180「性的な誘惑は怪しい年上の男たちが思春期前の子どもを求めるときに発生するという大衆の思い込みを利用することによって不安を引き起こそうという意図にもとづいた、学術的調査の誤用」
p213「オルヴェウスの定義を受け入れる場合、一度きりの嫌がらせ行為や、一度きりのけんかはいじめではないということになる」
p223「「ドラマ」という語が広く用いられている」
p229「デジタル自傷は私が思っていた以上にさかんに発生している」
p230「社会学者のマレー・ミルナー・Jr.は、『フリークとギークとクールキッズ』で、派閥の形成から顕示的消費まで様々な行動を記録して、アメリカのティーンの社会的地位システムを分析した」
p260「それは情報への新しいタイプのアクセスを可能にするが、人々がそのアクセスをどう経験するかはどうしても不公平
p270「社会学では、人が習慣的に自分と似たような考え方の人とつながることをホモフィリー(同類指向)」
p276「それは文化的力学と社会的構造の産物なのだ」「社会学者ピエール・ブルデューは、『ディスタンクシオン』で、ある人の教育と階級における位置づけがいかにその人の趣味の在り方を形作るか」
p310「勝者が物語の主導権を握るものと多くの人が信じているが、様々な語りの矛盾は必ずしも解消される必要はなく、物語はひとつに収束しないものだ
p312「彼らはウィキペディアを批判する教師への信用をもとに、記事が「良い」か「悪い」かを決定」
p321「私の考えでは、デジタルネイティブの修辞は単に不正確であるという以上に有害な、危険なものである
p330「かつて社会が市民生活から女性を排除していたように、私たちは公共生活の多くの局面へのティーンエイジャーの立ち入りを禁止している
p332「シャルル・ボードレール」「フラヌール」
p337「1980年代から1990年代には、一部の若者は他の人々とつながるために、海賊ラジオやジンと呼ばれる自家製の雑誌へと向かった」
p342「米政府はウィキリークスの創設者であるオーストラリア市民のジュリアン・アサンジを好ましからざる人物として、彼を起訴するために大陪審の捜査に着手」
p350「『フェミニズムはみんなのものー情熱の政治学』などで知られるアフリカ系アメリカ人の著述家・社会活動家・教育者ベル・フックス」

|

« 『新・戦争論』/池上彰・佐藤優 | トップページ | 『仕事をつくる全技術~トップ営業はこうして「稼げる案件」を生み出している』/大塚寿 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7655/60965489

この記事へのトラックバック一覧です: 『つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』/ダナ・ボイド:

« 『新・戦争論』/池上彰・佐藤優 | トップページ | 『仕事をつくる全技術~トップ営業はこうして「稼げる案件」を生み出している』/大塚寿 »