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2017/01/08

『テロルの真犯人』/加藤紘一

4062137380 テロルの真犯人
加藤 紘一
講談社  2006-12-19

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改憲・安保法制に始まり日本会議周辺の読書を続ける中で知った一冊。2006年ということは10年前で、10年前の時点ですでにこんなにも状況は悪くなっていたということに驚くとともに自分の意識の低さを恥じる。

一番のポイントだったのは、2006年7月20日付けの日経新聞の昭和天皇発言メモに関する部分。これは私もよく覚えている。元宮内庁長官・富田朝彦氏のメモで、昭和天皇が東條英機らA級戦犯の靖国神社合祀に明確に不快感を示し、そのあとで、「それが私の心だ」と述べられたというメモ。まず、実際にそれ以降昭和天皇は靖国神社を参拝していないことからメモの内容は正しいと思えるので、これを捏造と言う側のほうが何らかの意図を持っていると考えるのが自然。次に、靖国神社そのものの性格で、靖国神社を擁護するポジションの人々は、日本人の国民性には亡くなった方はその立場の違いや考えの違いに関わらず「英霊」として崇敬する精神があるというが、”靖国神社は政府軍、官軍、与党軍のための神社である。つまり、同じ日本人の戦死者でありながら、時の政府側すなわち天皇陛下の側に敵対した戦死者は排除されている”(p208)のであり、決してすべての戦死者を均しく扱っていない。むしろ、「太平洋戦争での犠牲戦死者」を祀っていることを言わば「人質」にとり、強硬にA級戦犯を合祀して話を混濁させているだけだと思う。おまけに、その「敵味方の線を引く」基準である天皇陛下の意向は無視する。

ニクソン訪中の際、事前にその情報を伝えられなかった理由を「日本は機密を守れない国である」と言われたトラウマが、特定秘密保護法の遠因なのかもしれないが、日本の政治のおよそ汚いところは、そういう切実な要件を利用して国民の権利をなんとか制限しようと働くところ。「日本の価値の混迷をもたらしたのは、明治維新そのもの」(p231)という観点は思った以上に重要。

p8「鶴岡発『言論の自由』を考える!!」「佐高信」「小森陽一」「鈴木邦夫」

p20「わかりません・・・世の中にはいろんな人がいるので、先入観をもたずに警察の捜査を見守りたい」
p22「建国義勇軍」「右翼団体」「外務省の田中均審議官の自宅ガレージに発火物を置いた」「石原慎太郎都知事が、「田中均という奴は爆弾を仕掛けられた。当ったり前の話だと私は思う」
p23「2006年7月には、昭和天皇の「発言メモ」を公表した日本経済新聞社の本社に、火炎瓶が投げ込まれた」「天皇の発言であっても、許せないものは許せない、というのは戦前天皇の意向を無視して対中・対米戦争を推し進めた軍部を思わせる」
p28「自らの主義主張に反することや、意に染まないことを発言する者を、暴力でもって封じ込めようとするのは危険な兆候だ」
p35「2006年7月20日付の『日経新聞』」「昭和天皇は東條英機らA級戦犯の靖国神社合祀に明確に不快感を示し、そのあとで、「それが私の心だ」と述べられたという」
p36「第一、昭和天皇ご自身以外にほかのだれが、これほど力強い言葉を口にできるというのか」
p43「2005年4月17日号の『サンデー毎日』」「今は対決することが日本の証し、みたいな雰囲気になっている」「一番難しいのはアメリカとの距離感」
p56「日本、そして日本人を考え続けて」
p61「昨日、小泉首相が靖国神社に参拝しました」「靖国神社は、聖戦であると言うことを前提として存在しています」「戦争責任者を顕彰するという性格を有します」「それはサンフランシスコ講和条約で、先の戦争を「誤った戦い」と認めた日本の政府の立場と大きく矛盾」(2005年10月18日)
p63「やはり外交をやる時には、歴史を考えて外交をやらないと、一国の政治家としては大きな間違いを犯すことになる(2006年6月6日)
p71「そうした話を聞いていたからこそ、後に「従軍慰安婦などいなかった」と主張する保守陣営の人たちに対し、堂々と反論することができた」
p79「安保廃棄を掲げる日本社会党や日本共産党の抵抗によって紛糾」(1960年)
p82「A級戦犯の容疑をかけられた岸信介氏が日本の首相になり、国民をコントロールするのは許せないという反岸の思想」
p118「結局のところ、社会主義は国の発展の初期段階においてのみ採用できる論理」
p123「キッシンジャー」「ニクソン訪中」「外務省は、在日アメリカ大使館とアメリカ国務省に、「キッシンジャーが東京に寄ったとき、どうして本来の旅の目的を話してくれなかったのか」という質問状を提出した。それに対するアメリカの答えは「日本は機密を守れない国である」というものだった。」
p132「「児童手当」に関するもの」「この手当ての充実に反対」「支給したことで多少なりとも少子化に歯止めをかけることができたのだろうか」という考えが頭をよぎることもあり、自分の中でもいまだに結論は出ていない」
p132「2000年の「加藤の乱」」
p157「当時は中選挙区時代」(1976年)
p169「彼(小林よしのり)の靖国論、戦争論、歴史論のなかで、明らかに日本会議の影響で書かれているなと思わせる記述に出合う」
p174「1998年3月25日、参議院予算委員会において自民党所属の板垣正参議院議員(A級戦犯として処刑された板垣征四郎の次男)の質問に対する答弁」「裁判を受ける側の政府の有権解釈が「有効な裁判のもとの有効な判決」との見解」
p180「戦前、皇国史観説を唱えて活躍した平泉澄氏」「戦時中は皇族や政治家、軍人らと数多く親交があり、東條英機、近衛文麿という二人の首相の相談にのる」
p192「首相の靖国参拝に、日本国内だけに止まらない新たな争点が加わった」「A級戦犯合祀の問題」
p208「創建の経緯や記述から明らかなように、靖国神社は政府軍、官軍、与党軍のための神社である。つまり、同じ日本人の戦死者でありながら、時の政府側すなわち天皇陛下の側に敵対した戦死者は排除されている
p215「戦争をせざるを得なかったという言い訳は、どんなに立派な言葉で飾られても間違いである」
p223「松本健一氏は、日本や中国、アメリカをはじめ多くの国が、「ハンチントンの罠」に陥っていると指摘している」
p231「「日本とはなにか」「日本の価値を、どう表現すべきか」という論点」「このテーマに直面すると、5年前までの自民党では必ず「教育勅語を読み直そう」という話になった。実際にみな読んでみたが、答えは出なかった。勅語が書かれたのは明治28年」「日本の価値の混迷をもたらしたのは、明治維新そのもの」

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