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2017/08/19

『みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―』/川上未映子 村上春樹

B071D3TBYT みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―
川上未映子 村上春樹
新潮社  2017-04-27


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  • 「無意識」と「意識」という言葉の使い方が、混乱しているというか揺れているというか、そういう場面がいくつかあって、そこがいちばん印象に残った。p159の「そういう無意識中心の世界で、人々は個人ではなくむしろ集合的に判断を行って生きていた」のところなんかは、『道徳性の起源』で、社会的な判断は人間に特有ではなく、また、「知性」によってもたらされるものではなくある種の動物(たち)には元来備わっている「本能」だ、という説を知った直後だったので、無意識中心の世界で「善き」判断が行われるのが「集合的」に行われる、というところは詳しく考えたいなと思った。
  • 近代的自我を取り扱うのに興味がない、というのは、「実は僕はほんとはこんな悪い人間なんです」みたいなのを仰々しく開陳することに何の意味もない、みたいに解釈した。
  • p248の問答は、かなり苦しく感じた。たまたま、というのは無理があるんじゃないかなあ。それに、ここの「無意識」がかなり象徴的。
  • 神話や歴史の重みそれ自体が無効になってないか、という問いかけは凄いなあと思った。そしてそれが無効になっているのではと感じてしまう状況になっているのは、言葉を使う側になったときの言葉を使う姿勢にそれぞれみんな課題があるのだと思った。

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2017/08/16

『道徳性の起源: ボノボが教えてくれること』/フランス ドゥ・ヴァール

4314011254 道徳性の起源: ボノボが教えてくれること
フランス ドゥ・ヴァール Frans de Waal
紀伊國屋書店  2014-11-28


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乾さんの(酔っぱらいながらの)オススメ課題図書、盆休みを利用して読了。

  • 教条主義との戦い、という印象がいちばん強かった。神とどう向き合うのか、という課題。そういう意味で、9条を巡る話は、教条主義に陥るか否か、ということなのかもなあと思った。9条を改憲したいというのは、どちらの意味でも条文に対して教条主義になっているのではないかと。70年の歴史で培ってきた知恵を理解できないということではないかと。
  • 信仰の問題。西洋社会では無信仰は人格を疑われる、という知識はあって、その事実の奥深さを改めて感じた。宗教が道徳をヒトにもたらすのではないとしながらも、人間が宗教を必要とした理由は感じられるようになっていて、ここのところの整理が非常に難しい。私は平均的現代日本人的な無宗教だけれども、平均的な仏教感みたいなものは持ち合わせているとは思う。それでも西洋社会から見ればほぼ「無信仰」みたいなものだと思うので、この国でも道徳性は存在するということは、宗教が道徳をヒトにもたらすのではないという証拠だったりして。一方で、日本でも右派が執拗に「神道」を日本の中心宗教に据えたがるその心性が非常によく理解できるようになった。結局、神に値するところに天皇を、というところと、その上で自在に利用したい、という感じが否応なくする。
  • レヴィ=ストロースをこき下ろしていた箇所。レヴィ=ストロースの新しかったのは啓蒙主義の批判で、文明間の(価値の)相対化だったと思うので、あのこき下ろし方はちょっとずれているかなと感じたけれど、フランス ドゥ・ヴァールのほうが、ヒトと動物までも相対化したという点でより突き詰めていると思った。そこまで考えないと、自分の中に眠る「人間」としての特権意識を明らかにできないなと思った。

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