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2017/08/19

『みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―』/川上未映子 村上春樹

B071D3TBYT みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―
川上未映子 村上春樹
新潮社  2017-04-27


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  • 「無意識」と「意識」という言葉の使い方が、混乱しているというか揺れているというか、そういう場面がいくつかあって、そこがいちばん印象に残った。p159の「そういう無意識中心の世界で、人々は個人ではなくむしろ集合的に判断を行って生きていた」のところなんかは、『道徳性の起源』で、社会的な判断は人間に特有ではなく、また、「知性」によってもたらされるものではなくある種の動物(たち)には元来備わっている「本能」だ、という説を知った直後だったので、無意識中心の世界で「善き」判断が行われるのが「集合的」に行われる、というところは詳しく考えたいなと思った。
  • 近代的自我を取り扱うのに興味がない、というのは、「実は僕はほんとはこんな悪い人間なんです」みたいなのを仰々しく開陳することに何の意味もない、みたいに解釈した。
  • p248の問答は、かなり苦しく感じた。たまたま、というのは無理があるんじゃないかなあ。それに、ここの「無意識」がかなり象徴的。
  • 神話や歴史の重みそれ自体が無効になってないか、という問いかけは凄いなあと思った。そしてそれが無効になっているのではと感じてしまう状況になっているのは、言葉を使う側になったときの言葉を使う姿勢にそれぞれみんな課題があるのだと思った。
p29「それが可能であった状況というのは、あくまで一回性のもの」
p101「リンカーンが言っているように、・・・たくさんの人間を長く欺くことはできない」
p134「それはもう信用取引以外の何ものでもない」
p138「ある種の危険性を孕んでいないと、物語が機能しない」「古代から延々と続いている装置だから、それが人の心の地べた的(アーシー)な部分を掘り返すのは、ある程度やむをえない」
p159「それより前にはほとんど無意識しかなかった」「そういう無意識中心の世界で、人々は個人ではなくむしろ集合的に判断を行って生きていた」「「無意識」でやってきたことが、だんだん「意識」の領域に格上げされていく」
p164「若いときは、「小説なんて、締切りが来てから書きゃいいんだよ」ってみんな言ってるんですよ。でも、それがうまくできなくなる、ある時点から」
p248「これはよくある読みのひとつですが、男性が無意識の世界の中で戦い、現実の世界で戦うのは女性になっています」
p249「ごく無意識できに、たまたまそういう物語になってしまう」
p319「二重メタファーというのはそれが文字通り二重になっているもの」
p329「僕がいちばん「悪」であると見なすのは、やはりシステム」
p337「神話や歴史の重みそれ自体が無効になっているとは思われませんか、村上さん。それらが保証する善性のようなもの、それ自体が」「全然なってない」

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