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2017/10/01

『学生を戦地へ送るには 田辺元「悪魔の京大講義」を読む』/佐藤優

4104752134 学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む
佐藤 優
新潮社  2017-07-31


by G-Tools
  • 明治維新の評価について。どう考えてもテロじゃないか、とか、なぜ尊王で攘夷で、簡単に開国に転向したのか、とか、素朴過ぎると自分自身で思っていた疑問にひとつの明快な解を得ることができた。中途半端だったがブルジョア革命だったという見方。
  • 全体主義と普遍主義の理解。個人をアトム的に見るかどうか。新自由主義は普遍主義と通底している。都市部は新自由主義に簡単に相容れる。新自由主義は格差を必ず生み、絶対貧困は国家の保障を求めるところからファシズムを受け入れる。
  • 沢山の主義・イデオロギーが解説されるが、救いのないのはどの主義・イデオロギーも選んでも未来が見えないと感じたこと。どの主義・イデオロギーも今の日本の政治団体に当てはめられる対象があって、そこでふと思ったのは今回の選挙は正に消去法というか、こういった状況にあっても何かを選ぶということこそが政治に参加するということなのだということ。
  • 忘れずに書くと、田辺元というのは本当に最低最悪の日本人だと思う。安全地帯からモノを言う人間が嫌いだというのは私は学生時代から変わらないし、その感覚に更に自信を持った。
  • 一回くらいじゃ消化できない。もう一度読む。

p6「田辺元(1885~1962)
p14「柄谷行人さんの『帝国の構造』」「第1章 ヘーゲルの転倒とは何か」「第7章 亜周辺としての日本」
p27「政治的な実践ですごく重要なのが、トランスすること、つまり<行ったり来たりすること>」
p30「野上弥生子」
p57「<無関係という関係>」「空」「『仏教の思想 第二巻 存在の分析<アビダルマ>』」「櫻部健さん」「上山春平さん」
p60「法華経がなぜこんなにエネルギーを持つのか、きちんと考えないといけない」「国柱会」「宮沢賢治」「石原莞爾」「立正佼成会」「創価学会」「仏教の縁起観」「井上洋治」
p65「長谷川宏さん」「ヘーゲル」
p68「ファウスト」「神曲」
p72「ちゃんとインテリとしての逃げを打っている」
「国策捜査において完全な冤罪は一件もない。国家から見ると、こいつはダメだ、絶対に除去しないといけないってところがあるんですよ」
p97「この史的イエスの研究にとどめを刺したのはアルベルト・シュバイツアー(一八七五5一九六五)、みんなご存じのあのお医者さんのシュバイツア1博士です。彼が医者になったのは四〇歳近くになってからなんですよ それまでは神学者として史的イエスの研究をやって、実証できないことを突き詰めて、神学研究をやめたのです」
p97「ところが、エルンスト・トレルチ(一八六五5一九二=l)という人物が現れます」
p146「注意してほしいのは、この映画は昭和一八年(一九四一一I) の製作、田辺元の「歴史的現実』 の講義は昭和一四年(一九三九) ですよ。インテリの方は、映画の四年前にはもう、「総力戦になるんだ」「若者たちはお国のために死を賭するしかないんだ」と、 イデオロギ1 的な準備をしていたわけ。これはつまり、ごく早い時期から、インテリ層はあの戦争をかなり深刻に考えていたということだね。 そこで、世界史的な意味をつけたりして、 勝てるか勝てないかも分からない中で戦争を正当化する思想を準備し始めていた。ところが庶民の方は、戦争が始まって一年半経って、劣勢に回っていても、まだこれぐらいの感覚でいる。だから、「こんな怖いことも起きうるんだよ」と脅すのがせいぜいの国策映画にしかならなかったんだろうな」
p154「スピノザは、ここ一一〇年ぐらい現代思想でも非常に流行しました。ただ、スピノザで困るのは、悪をどう見るかって問題なんです。悪があるってことになると、汎神論はイコール汎悪魔論になってしまう。この世の中じゅうに悪魔が満ちていることになる。この難問からど、つ抜け出すかってことをいろんな人が考えてきたわけです」
p161「ちな(んです。)みに、 『八甲田山』は何て会社がつくった? シナノ企画ですよね。つまり、創価学曜  会系の会社。シナノ企画がその前につくった映画は何?  『人間革命』(一九七三年)と 『続 ・人間革命』 (一九七六年)ですよ。」
p167「アメリカには、ああいう長距離を飛べる飛行機を大量に作り出せる、そういう精神があった」「合理主義の精神」「テーラーシステムの精神」
p173「種の論理」「種族」「種族のどこがいいかと言えば、その中にいる個人がアトム的ではなくて済むから」「アトム的になるなら、各人の能力差とか先天的な差が顕わに出てきてしまう。そうすると特定の人間が常に勝って総取りしていくし、助け合いというのは基本的に生じない」「アトム的な人間観、新自由主義的な世界観、普遍主義的な世界観で行こうというのは、勝つ自信があるヤツだけ」「普遍主義」「全体主義」
p177「人間は、種族ではなくて、実は個体の遺伝子を残すことだけを考えているんだと」「ドーキンスの考え方は新自由主義と親和的」「要するに、個体がすべて」
p183「このへんのところを何度言っても、今の政権の周辺にいる人たちは分からないんだな。それは「自分が欲するように世界を理解したい」という心の問題だから」
p188「意外と、ナチスは種についての組み立てをきちんとしていない」
p198「当為という言葉」「あるべき姿、こうであってほしい姿、望むべき姿」・・・ERPのfit gap分析、as is とto beに通じる
p201「火野葦平の『陸軍』」
p228「動物の殺処分問題」「日本でいま行われているイヌ・ネコの殺処分の数がヨーロッパで広範囲に知られたら、戦慄されて、悪評紛々になると決まっています」「コンパニオン・アニマルを商業化している」「同性のパートナーシップ」
p234「政治なしでも社会は成立が可能」
p238「アーラヤ識で、前世の輪廻転生と通じ合っている」「マナ識」「随眠」「山内得立」「梅原猛」
p263「イタリアのために一生懸命やる人びとを束ねていく」「ファシズムがよくないのは、その運動の外側にいる人間を排除していく排外主義が極めて濃厚
p265「資本主義に対する異議申し立てをする時、新自由主義的な流れでは格差の拡大どころか絶対的貧困を生む出すようになっているから、この絶対的貧困に対して敏感なファシズムが息を吹き返す可能性はある
p279「岩波講座の『世界歴史』」
p284「絶対に植民地側からは理解されない考え方」
p287「ユルゲン・ハーバーマス
p301「簡単に言うと、防衛戦争はレトリック不要」「侵略戦争に出かけるとなると、知的な操作が非常に必要とされる」
p311「六公四民の年貢だと、餓死者が出た」「農民はどうしたと思う?逃散、つまり逃亡しちゃう」・・・現代の富裕層と同じ
p314「仲買人ではなくブローカーなんて、理解できない言葉をそのままカタカナで残しておけるのは、亜周辺だから」
p319「「2・26事件は一種の東北の反乱だ」という見方があるけれども、ある程度、正鵠を射ているんじゃないかな」
p343「外交官は警察官は死んているし、NPOの人も死んでいるけどね。そういう時代だからこそ、あんな観念論が出てくるわけ。本当の戦争を知らないからこそ、出てくる」
p346「攘夷の原理って、ナショナリズムじゃない」「封建的な契約関係」
p349「共産党系の考え方の基は、共産主義インターナショナル(コミンテルン)が1932年にモスクワで出した「日本に関するテーゼ」に発しています。「日本は天皇制絶対主義にある。明治維新は絶対主義をこしらえただけで、まだ資本主義になっていない」という思考の枠組みはモスクワ製
p351「国家によってまず講座派が狙い撃ちで弾圧されて(1936年のコム・アカデミー事件)、その翌年に労農派も弾圧され(人民戦線事件)、空中分解
p352「日本の論壇人で労農派的な認識を持っている人はほとんどいません。柄谷さんと池上彰さんぐらい」「それ以外の人はみんな日本特殊論でしょ?」「講座派の人たちが書くものは、最終的には信仰になっちゃう。「だって日本だからね」とか「日本には日本のあり方がある」とか「瑞穂の国資本主義でいけばなんとかなる」とか」
p356「1954年に出た『左社綱領』、別称日本社会党左派綱領」『社会主義協会テーゼ』
p357「「共産主義革命が起きるのは心底怖いな」「共産主義の防波堤をつくらなきゃいけないぞと、日独伊三国防共協定をつくる。当時、アメリカは意外に共産党が強かったから、アメリカと仲良くすると共産主義が入ってくるかもしれないという虞れもあった。それで、何だかよく訳がわからないうちにアメリカとこじれてきて、一方で満州建国以後は大陸国家への道を歩み始めて、十分受け入れられるはずのハル・ノートを受け入れず、すべてのタイミングを逸して、「ええい、一丁やったるか」みたいな軽いノリで戦争を始めちゃった」

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