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2017/12/23

『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』/鴻上尚史

4062884518 不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)
鴻上 尚史
講談社  2017-11-15

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 「命令する側」と「命令される側」をごっちゃにしてはいけない。これに関する思考を押し広げていくと、雇用と非雇用の峻別というか、経営者と従業員は違うというか、そういう枠組みに行き当たる。日本式経営から見ると非情とか冷酷とか言われた欧米式経営も、基づいているののが「命令する側」と「命令される側」を明確にすることで責任の所在を明確にする、という点だと改めて認識すると腑に落ちる。日本はどうして一心同体思考なんだろう。その理由にも著者はきちんと思考を伸ばしている。

 政治家が「秘書が勝手にやりました」というように、日本はとにかく「あいつが自発的にやった」という言い訳が非常に容易に通る国だ。特攻隊も志願だ志願だと言い張って、志願しなかった人間には「なんで志願しないんだ」と詰め寄って志願させる。なんだこの無茶苦茶な世界は、と思うけれど、結局、日本人は念じることしかできないのかなあと思う。気持ちを込めればなんとかなる、というか、気持ちを込めてもなんとかならない出来事が多すぎて、その裏返しでせめて気持ちだけはこめよう、みたいな心性が育ってしまったのかな、と。そうして2017年はとうとう「忖度」という言葉が流行語になった。忖度したほうが、言い訳できない仕組みにしてしまったほうがいっそ状況は良くなるのではないかと思う。

 とにかく絶対に読まないといけない一冊。

p16『陸軍特別攻撃隊』(高木俊朗 文藝春秋)

p66「冨永指令官」
p96「売れるのなら、売れる方向に記者は熱を入れる。筆を競う。」
p133「田中軍曹、ただいまより自殺攻撃に出発いたします」
p146「司令官の逃亡」
p150「大岡昇平の『レイテ戦記』」
p155「「特攻の産みの親」と言われた大西瀧治郎中将」
p210「『神風特別攻撃隊』」「ところが、1984年、戦後40年近くたって、この夜のやりとりが猪口・中島の書いた嘘だと判明します」
p214「中島は」「航空自衛隊に入り」「空将補まで上り詰めました」
p228「「命令した側」と「命令された側」をごちゃ混ぜにしてしまうのは、思考の放棄でしかない」
p257「奈良県では一部も売れなくなりました」
p264「私は箱根の上空で一機で待っています。ここにおられる方のうち、50人が赤トンボに乗って来てください。私が一人で全部たたき落として見せましょう」
p265「ここに居合わす方々は指揮官、幕僚であって、みずから突入する人がいません。必死尽忠と言葉は勇ましいことをおっしゃるが、敵の弾幕をどれだけくぐったというのです?失礼ながら私は、回数だけでも皆さんの誰よりも多く突入してきました。今の戦局に、あなた方指揮官みずからが死を賭しておいでなのか!?」
p266「美濃部少佐は」「大正っ子の太平洋戦記」「戦後よく特攻戦法を批判する人があります。それは戦いの勝ち負けを度外視した、戦後の迎合的統率理念にすぎません。当時の軍籍に身を置いた者には、負けてよい戦法は論外と言わねばなりません。私は不可能を可能とすべき対案なきかぎり、特攻またやむをねず、と今でも考えています。戦いのきびしさは、ヒューマニズムで批判できるほど生易しいものではありません」
p268「特攻作戦という不条理のなかにあって、条理を守ろうとしたからである。条理の戦後社会から見れば、不条理下の条理は疎んじるべき存在でしかない」
p272「「社会」における相手への厳しい忠告は、ただ自分のメリットのため」
p289「2016年9月19日、テレビ朝日の『報道ステーション』を見ていたら、自衛隊の「駆け付け警護」に関するアンケートが自衛隊で行われた」

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