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2018/08/15

『フェイクと憎悪』/永田浩三

4272330942 フェイクと憎悪 : 歪むメディアと民主主義
永田 浩三 望月 衣塑子 斉加 尚代 西岡 研介 北野 隆一 立岩 陽一郎 古田 大輔 福嶋 聡 香山 リカ 梁 英聖 辻 大介 川端 幹人 臺 宏士
大月書店  2018-06-18


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 読後に残った印象の最も大きなものは、「現政権の差別と嘘って、忘れかけてたけどこんなにあったんだなあ」というものだった。同時並行で読んでいる『さらば、GG資本主義』では現政権と経産相・金融庁の改革に賭ける熱意に高評価なので逡巡するが、やはりここにも「生きるためにはカネが必要で、そのためには見過ごさなければいけないことがある」という姿勢が浮き上がる。くしくも、両著とも「好きか、嫌いか」での判断が中心に据えられる。

  • 2001年 ETV事件
  • 2016年 当時沖縄北方担当相鶴保議員発言の「差別と断定することはできない」容認閣議決定
  • 2017年 ニュース女子
  • 2017年 安部首相の「ほとんどの教科書には自衛隊が違憲だと書いてある」ミスリーディング発言
 事実はどうあれ、がなり立てたもん勝ち、というのがネット時代のルールなのは間違いない。「お前は間違っている」と裁判所に言われても、えんえん言い続けていればオルタナティブ・ファクトになるし、本を作って書店に並べれば「あれ?あの話まだ片付いていなかったっけ?」とミスリードできるし、裁判起こすだけで牽制球になる(と、朝日新聞に対する集団訴訟の原告が述べている)。
 もちろん嘘はいけないのだけれど、嘘はいけないという価値観も、嘘を見抜こうという主体的意思も、大して期待できない世の中になっていくのではないか。それをメディアに頼るというのは金銭的に難しい話だと思う。オルタナティブを作りたい側のスポンサーが誰なのかをきちんと明らかにしていかないと、消耗戦では勝てない状況だと思う。そしてそこには極力お金を出さない。
 それともうひとつ、闘う焦点を、「嘘」という大枠ではなくて、もっと絞り込んだものにしないといけない。僕は「差別」に絞り込みたい。

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