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2018/11/24

『冬将軍が来た夏』/甘耀明

レイプ事件に遭った女性保育士の元に、十数年会っていなかった祖母が5人の老女+一匹の老犬とやってくる。その祖母の登場の仕方も、老女6人+老犬一匹組の立ち振る舞いも活動も、どれもこれも幽霊的というかファンタジー的というか全然リアルじゃないのに、つまり詳説としては寓話的で観念的なのに、描写が具体的で現実感がわさわさとしてて密度が高くて圧倒される。そして徹底的に誠実。あざとい伏線で衝撃だけ与えるようなやり口で読後感を残すのではなく、徒に反語を多用してシニカルにメッセージを伝えようというのでもなく、「生きるとは何たることか」というメッセージを直球で、しかも物凄く重い直球で投げてくる。この、読後感がみっしりとした小説は、現代の日本の小説ではほとんど味わえなくなっていたものだと思う。そしてそれほど読んでないけれど中国小説より断トツに読みやすかった。観念的なんだけど観念的なままの表現ではないというか。中国の文学は、なんとすれば数字だけで書けますよ、というくらい観念で組み立てられている雰囲気だったけれど、この台湾文学は色とか味でも小説は書けますよ数字なんかなくても、と言ってるような感じだった。

痺れるセンテンスは山ほどあったけれど:
”人生には、軽く見てよい傷などなく、ただ薄らいでいく傷跡と、感情を手放すそのときがあるだけだ”
”続けることこそこの世でいちばん協力な超能力だ”

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