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2019/09/07

『つみびと』/山田詠美

大阪2児餓死事件を題材にした小説を山田詠美が書いていたと知って購入。日経新聞で連載していたと知らなかった。日経も電子版にして久しく、やっぱりこういうことは電子版にすると目に入り難くなるんだなと実感。
大阪2児餓死事件を題材にした小説というのは手に取らなかったかもしれない、著者が山田詠美でなければ。山田詠美はうまく言葉にはできないけれどきちんと表現したものを読ませてくれるという信頼感がある。何かに肩入れする訳でも、説教がましい訳でもなく、物語をちゃんと読ませてくれるという信頼感。
読む前、いちばん怖かったのは、餓死する兄弟の視点があるということだった。餓死する兄弟、その母、その母の母の3つの立場・視点から物語が語られることを著者へのインタビュー記事を読んで知っていた。その「餓死する兄弟」の視点があるのは、山田詠美の筆力を知っているのでとても怖かった。その一点で読まずにおこうかと思ったくらいだったが、これは読まなくてはいけないという気持ちが勝った。
その「餓死する兄弟」の視点は、サイコスリラーのような恐怖を湧き上がらせるようなものではなかったが、そこに至る子どもの心中を思うには苦しすぎるものだった。大人同士なら何でも受け入れるというのは愛ではないと言えるかもしれないが、子どもは親に対して全面的に受け入れるしかないものなのだ。そしてその状態に至る両親間での「父親」側の責務の表沙汰に「ならなさ」に焦点があたっていること。父親である自分自身にも言い聞かせるし、そこをこそ読まれてほしい小説だと思った。

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