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2020/05/05

『流浪の月』/凪良ゆう

決めつけというものがいかに人を苦しめるのか。見た目が悪人そうだから、言動が悪人そうだからその人の人間性までろくなもんじゃないという、ある意味素朴な決めつけの時代から現代は大きく展開し、何かの被害者に対しても害悪でしかない決めつけが横行する時代になった。その決めつけの中にはこれまた害悪でしかないような善意ーというよりも偽善が存在する。人は今まで自分が見聞きしてきた範囲でしか世界を理解することができない、それは主人公のアルバイト先の店長が典型的に指し示していて、その限界を突破するような話は展開しない。この物語はその「理解」の問題に関しては諦めているようにも見える。世界はそういうものだと諦めた上でどうやって生きていくのか、というところにたどり着いているように見える。決めつけはその程度によってレベルがあるのは認めざるを得ない、読み手としてはそれよりも極力「決めつけ」を起こさないようにするためにはどうすればいいのか、というところに思いを馳せるはず、そちら側に話は展開しないので、各々で答えを探しながら生きていくしかない。

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