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2020/12/05

『岩田さん』/ほぼ日刊イトイ新聞

岩田さんに憧れても岩田さんには絶対になれない、ということが、冒頭のエピソードで即分かるつくりになっている。岩田さんは天才で、とりわけプログラミングの天才で、かつ、その黎明期に出会えた、という運命にも恵まれていてそれを掴んだ人だったから。あれだけのことが出来る人は持って生まれたも違うから、ああなりたいというふうに考えてはいけなくて、それ以外の岩田さんのスタンス、倫理、姿勢、物事の進め方、そういうものを学ぶのが正しい。そんな岩田さんが育て上げた会社でも、「ハッピーにする」という言葉を表面的にしか使えていない人間を見抜けないものかと、そして、その規模の会社になれば、隅々にまでそのイズムが浸透していなくても、「必要悪」もあると諦めざるを得ないのかと、なかなかに絶望するところがある。これはこれまで何度も繰り返してきた歴史なのかもしれないけれど、それでも是非を諦めてはいけないと思う。

 

p12

余談ですが、わたし、いまよりずっと若いころ、自分がものすごく忙しく感じていたころ に、「自分のコピー があと3人いればいいのに」って思ったことがあるんです。でも、いま 振り返ると、なんて傲慢で、なんて視野の狭い発想だったんだろうって、思うんですよ。だって、人はひとりひとり違うから価値があるし、存在する意味があるのに、どうしてそんな こと考えちゃったのかなって、恥ずかしく思うんです。いまのわたしは逆に、ひとりひとりがみんな違う強みを持っている、ということを前提に して、その、ひとりひとりの、人との違いを、きちんとわかりたいって思うんです。それが わかってつき合えたら、いまよりもっと可能性が開けるって、いつも思ってますね。

p22

請け負ったのはゲームソフトのプログラムでした。それが任天堂とのつき合いのはじまり です。ファミコンの初期に出た『ピンボール』や『ゴルフ』はわたしがHAL研究所の人と 一緒につくったものです。 「ファミコンのソフトは、とにかくつくるのがおもしろいですし、なにしろ自分のつくった ものが世界中ですごくたくさん売れていくわけです。受託でやっていた仕事だったので、売 れたからといって儲かるわけではなかったんですけど、自分たちがつくったものを「みんな が知っている」というのはうれしいんですよね。

p23

その後も、山内さんからはいろんなお話をうかがいました。くり返しおっしゃっていたの は、「いままでと同じことをするな」ということでした。その象徴的なエピソードが、後の ニンテンドーDSにつながる「ゲーム機は2画面にするべきや」という提言です。結果的に それはそのまま実現することになったんですが、わたしはほんとうの意味としては、「2画 面にするくらい、 いままでと違って見えるようなものをつくれ」ということだと思っていま した。やはり、「いままでと同じことをするな」ということがポイントなんだろうと思って たんです。

p184

薦められた本のなかでぼくが印象深く憶えているのは、行動経済学にまつわる本ですね。 岩田さんに教えてもらうまでぼくはそういう分野があることさえ知らなかったんですけど、 読んでみると「なるほど、ぼくらがやっているのはこういうことか」って、すごく納得がい くんです。岩田さんもかなり傾倒していたようで、あっという間にたくさんの本を読んで理 解を深めていました。 で、会うと、「任天堂がやってるのはこういうことなんです」とか、「宮 本さんの考え方はこれに近いです」とか言って、すごくわかりやすく説明してくれる。

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