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2021/01/11

『ザリガニの鳴くところ』/ディーリア・オーエンズ

面白かった。オーソドックスなスタイルの小説だと思うけど、こういうオーソドックスなスタイルで読む手の止まらない小説が現在も書かれているということに大きな喜びを感じるくらいの面白さだった。現代小説の条件として、抽象的ではない、具体的な情報量の多さが必要だと思っていて、ここ最近はその情報量は外国文学ではSFやファンタジー的な情報量に寄っているふうに感じていたけれど(日本文学は10年前くらいの映画界のように、すごくコンパクトにした日常生活の、それも青少年が主世界での細かい部分、というふうに感じている)、本著はそのディティールが生物で、著者が生物学の専門家(でかつこれが小説第一作目!)なのでその情報量の圧倒が物語を生きたものにしている。

その上でストーリーの中心はとてつもなく重くて、本著の背景時代があったとしても、貧富、格差、差別、偏見、そして男女格差。なんでいつまで経っても変わらないのか、そのいつまで経っても変わらない渦中にいるだけに半分くらいはよくわかる。いよいよ闘う時代が来たのかもしれない。上っ面で闘うものがいつも生き残りのさばり、本気で闘ったものが割を食うのだとしても。

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