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2021/02/11

『次の東京オリンピックが来てしまう前に』/菊池成孔

非常に非常に難しい読書だった。WIREDでの紹介記事で知り、そのタイトルで惹かれて購入して手を付け始めた頃に町山智浩氏との往来の件を見るに当たり、これは割り引いて読まないといけないなと引き気味になった。とは言え、この文体は我々世代にはかなり親和性の高い文体で、逆に言おうと、筆者も作中でブログ文体を徹底的にこき下ろしているように、ブログ文体が主流の現代の若者にとってはほぼ響かないんじゃないかと思う、それくらい我々にとっては馴染みのある読みやすい文体で、筆者の言わんとする、というよりも何事かを言おうとするスタンスがすんなりとこちら側に入ってくる。筆者の述べる論旨が正しいか正しくないかは私は判断できないけれど、80年代のPC時代物ゲームの「説得」の場面のような説得力の「圧」がある。ただ、何かを読み手が理解できるように述べようとするときに、こういうふうにツイストして述べないと理解できないだろう、というよりは心理的抵抗なく受け入れられないだろう、という前提に立つライティングって今どきではないのかな、と思ったりもした。

そんな中で強烈に印象に残ったのは3点、

1)各階を歩き回れば、そんなもん嗅覚で見つかるに決まっている。現代人はこの力をどんどん失っている。p98

2)1994年は細川内閣、その後、羽田内閣、・・・と言った、絵に描いたような能無しで平均的で短期政権な首相の時代というジャンピングボードを踏んで、7年後に小泉内閣が空中に誕生する。p213

3)新春能狂言 金春流『翁 十二月往来 父尉 延命冠者』p265

他にも印象に残る箇所はあるけれどこの3点は自分にとって別格の破壊力だった。そして、著者の性格や思想と、その著作物とは分別するべきなのか否なのか、という、著名ミュージシャンや著名アスリートやその他諸々の「感動を呼び起こす」仕事の方々のクスリ問題で巻き起こされる議論を、もしくは民族主義やファシズムを匿う方々について巻き起こされる議論を思い起こす。

 

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