2017/02/12

『政治が危ない』/御厨貴 芹川洋一

政治が危ない
政治が危ない 御厨 貴 芹川 洋一

日本経済新聞出版社  2016-11-25
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  • 自民党の憲法改正第二次草案の第24条の話。家族条項は、社会統制・思想統制的な怖さとは別に、社会保障を国民側に押し付けて、社会保障の崩壊の責任から免れようとする勢力が加担していることを忘れてはならない。なまじ「綺麗事」なので表層だけで受け入れる層が満遍なく現れてしまう。
  • 日本は明治維新からテロ続発の国だった。
  • 政党は特定の集団の利益代表なので、国という視点を持ち出されると倒されやすいというのは目から鱗だった。
  • 安倍が後継者を考えていない、「やってる感」でしかない、2020年以降はどうでもいい、というのも目から鱗。
  • 格差の問題。

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2017/01/09

『YKK秘録』/山崎拓

4062202123 YKK秘録
山崎 拓
講談社  2016-07-20


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  • 1991年の政治改革関連法案、永田町を少しでもクリアにしようと政治家自らが議論している、とまでは思っていなかったが嫌々ながらも何か行動はするものなのだと理解していたが、「政治改革」という題目ですら国民のほうは全く見ていなかったんだなあと慨嘆する。
  • 何かあればしょっちゅう氏家齊一郎と渡辺恒雄と会っていて、政治家ってそんなもんなんだと薄々そう思ってはいることだけどこうもおおっぴらに書かれるとなんというか呆れることもできない。安倍政権が会食で云々と言われているが、その是非と程度がこれまでと比べてどうなのかわからないけれど、あそこまで表沙汰にされる分今までよりましなんじゃないかと思ってしまうくらい。
  • とにかくこれだけ会食してればそりゃカネもかかるだろう。これくらいのカネは当然と思っているところがやっぱり麻痺している。とにかく日本は内緒話をしないと進まないプロセスが多過ぎるのだと思う。山崎拓も結局はボンボンなのだ。
  • 『日本会議の研究』を読んでなければ、村上正邦って誰だろう?と思っていた。
  • 中曽根の「われわれの世代は戦争経験を持っている。国家が体中に入っている。だから責任感がある」という言葉に打ち勝てなければならない。
  • 1997年から、米国は日本の集団的自衛権行使実現に向けて行動していたということ。
  • ベーカー国務大使が山崎拓の選挙敗北を予想できた理由と予想しなければいけなかった理由。

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2017/01/08

『テロルの真犯人』/加藤紘一

4062137380 テロルの真犯人
加藤 紘一
講談社  2006-12-19

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改憲・安保法制に始まり日本会議周辺の読書を続ける中で知った一冊。2006年ということは10年前で、10年前の時点ですでにこんなにも状況は悪くなっていたということに驚くとともに自分の意識の低さを恥じる。

一番のポイントだったのは、2006年7月20日付けの日経新聞の昭和天皇発言メモに関する部分。これは私もよく覚えている。元宮内庁長官・富田朝彦氏のメモで、昭和天皇が東條英機らA級戦犯の靖国神社合祀に明確に不快感を示し、そのあとで、「それが私の心だ」と述べられたというメモ。まず、実際にそれ以降昭和天皇は靖国神社を参拝していないことからメモの内容は正しいと思えるので、これを捏造と言う側のほうが何らかの意図を持っていると考えるのが自然。次に、靖国神社そのものの性格で、靖国神社を擁護するポジションの人々は、日本人の国民性には亡くなった方はその立場の違いや考えの違いに関わらず「英霊」として崇敬する精神があるというが、”靖国神社は政府軍、官軍、与党軍のための神社である。つまり、同じ日本人の戦死者でありながら、時の政府側すなわち天皇陛下の側に敵対した戦死者は排除されている”(p208)のであり、決してすべての戦死者を均しく扱っていない。むしろ、「太平洋戦争での犠牲戦死者」を祀っていることを言わば「人質」にとり、強硬にA級戦犯を合祀して話を混濁させているだけだと思う。おまけに、その「敵味方の線を引く」基準である天皇陛下の意向は無視する。

ニクソン訪中の際、事前にその情報を伝えられなかった理由を「日本は機密を守れない国である」と言われたトラウマが、特定秘密保護法の遠因なのかもしれないが、日本の政治のおよそ汚いところは、そういう切実な要件を利用して国民の権利をなんとか制限しようと働くところ。「日本の価値の混迷をもたらしたのは、明治維新そのもの」(p231)という観点は思った以上に重要。

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2015/12/06

『服従』/ミシェル・ウェルベック

4309206786 服従
ミシェル ウエルベック 佐藤優
河出書房新社  2015-09-11

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今年の始め、「今年は宗教について読まなければいけない」と思い、大して読めないまま、今年最後の読書になるかもしれないと思う『服従』が強烈に宗教(と政治)を考えさせる一冊だった。

2017年(以降?)のフランスで、イスラーム同胞党が与党となり、フランスがイスラームの国へと変容する。そこに至るのは、極右政党国民戦線が得票率首位の中、UMP・民主独立連合・社会党が「拡大共和戦線」を立ち上げ、イスラーム同胞党を支持し、イスラーム同胞党が大統領を輩出する、という流れ。つまり、極右とイスラーム、どちらを「否定」すべきか、という問いの答えとして、「イスラーム」が選ばれたのだ。イスラームの政策主張は一点、教育に関してだった。

男尊女卑、一夫多妻、貧富の差拡大、家族主義。そして何より大学はイスラーム信者でなければならない。みないわゆる「前近代的」なイメージがするのに、登場人物はみなそのイスラーム化したフランスに不都合を感じているようではない。これでいいではないか、と言わんばかり。もちろん世界にはイスラームの教えに則って運営されている国があり、その国の国民が文字通り「不自由」で不幸な生活なのかと言うとけしてそうとばかりは言えず、豊かとは言えずとも心満ち足りた生活を送っていることだってあり得るだろう。であれば、フランスだってイスラームを選択しても何らおかしくはない、ということ。そこには「貧富の差が拡大」するという、為政者がそうだと認める事象があるけれども、行ってみれば人間中心主義の近代ヨーロッパにしても、芸術文化の力を開花させることができたのはそのシステムの中での著しい富の集中だった。であれば、貧富の差が拡大する社会の中にあっても、貧困層が不満を感じないシステムのほうがより優れたシステムではないのか。

しかしそれは「服従」が可能にするシステムだ。「服従」はなんら問題を孕まない姿勢なのか。それはかつての極右の変形を新たに生産することはないのだろうか。11/13の日経ビジネスオンラインの「ア・ピース・オブ・警句」の「安倍政権支持率回復の理由」で、”具体的には、「自分でない誰か」に決断を丸投げにしたい欲望を抱いたということだ。”という一文を読んだところだった。

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2015/08/22

『HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』/ベン ホロウィッツ

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか
HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか ベン ホロウィッツ 滑川 海彦

日経BP社  2015-04-17
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「答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」というサブタイトルと相まって、かなり多くのビジネス誌やビジネス書書評で取り上げられているが、これは企業家・創業CEOにとって該当するところの多い知見の書であって、一般ビジネスマン・一般サラリーマンが参考にできる点はそれほど多くないと思います。もちろん「立ち向かう」という精神スタンスは見習うべきものですが、成功を収めた企業経験から来る実践的アドバイスのうち、少なく見積もっても半分くらいはCEOでなければあまり生かしようのないアドバイスだと思います。本著内で「平時のCEO、戦時のCEO」と場合訳しているように、一般ビジネスマン・一般サラリーマンは自分に活かせるアドバイスを取捨選択するスキルは必要と思います。

それだけにCEOの激務さ辛さ加減が他の書籍より生々しく伝わってきます。本著から最も繰り返し聞かされるアドバイスは、「会社にも人間にも、そのステージそのステージで相応しいやり方があり、それを見極めないといけない」ということと、「必死になってやれ」ということ。差は、やることでしかつけられない。

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2015/03/07

『沈黙』/遠藤周作

4101123152 沈黙 (新潮文庫)
遠藤 周作
新潮社  1981-10-19

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フェレイラの棄教の理由について。直接的には拷問を受ける信者が、自分が棄教しなければ助からないという状況において、神に祈ったものの沈黙を通されたので棄教したと言っている。その一方、フェレイラは日本人の基督信仰において神は教会の神ではなく、日本人の都合のいいように屈折させられた別物の神であり、日本には基督教は根付かなかったし根付きようがないと言っている。しかし、信者およびフェレイラが拷問を受けるような状況に陥ったのは日本人が基督教を正しく理解しなかったからというよりは、日本の権力側政治側の都合の問題で、信者がどのように信じていようとも起きた拷問だったと言える。そう考えると、フェレイラの棄教に至る心境のプロセスは認めがたい。日本の信者の基督教が協会の基督教と異なると言い切るのであれば、信者の拷問に呵責を覚える必要はない。拷問を受けているのが信者であろうとなかろうと自分のせいであるならば救わなければならないというのであれば、棄教を選ぶことに躊躇いはないはず。フェレイラの日本における基督教の屈折化の説明は、とてもいい訳じみて聞こえる。

確かに、日本人は命を賭してまで守らなければいけない「信条」といったものをあまり持たない国民ではないかとは思う。ロドリゴは最後まで殉教について悩んだけれど、それは神が絶対だからであって、「神に祈る」という言葉の重さ自体、基督教信者と私との間ではとんでもなく大きく開いている。それでも、命を賭してまで守るものがあることが是か非かというのはとても注意して考えなければいけないことだと思う。それによって自分の命も他人の命も粗末にすることが、誰かの幸福につながることが決してないと思うから。

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2015/01/25

『つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』/ダナ・ボイド

つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの
つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの ダナ・ボイド 野中モモ

草思社  2014-10-09
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ティーンが、親が肩越しにSNSをしている画面を覗くことに対して不快感を示すという至って当たり前、だけど何でもかんでも法律やルールがなければ「できることはやっても問題ない」という世の中にあって、「この問題は技術的なアクセス状況がどうあれ、むしろ社会的行動規範とエチケットの問題」と明快に言葉で表現された箇所に少なからず感動した。できるからと言ってやるかどうかは、人間性を左右する。日本では、よくわからない因習やしきたりに悩まされた世代が、それらを一気に打ち破った時代と、アメリカ社会の特徴の一部である訴訟主義・ルール偏重が入り込んで、「できることはやっても問題ない」という風潮が蔓延したけれど、だからと言ってそれをやるかどうかは「社会的行動規範とエチケットの問題」なのだ。ここで気を付けないといけないのは、この「社会的行動規範とエチケット」を、時計の針を逆戻りさせ、旧式の権威主義を復活させる口上にしてはいけないということだ。新しい社会的行動規範とエチケットを志向するものでないといけない。

それにしても、至る所で「コンテクスト」ー文脈が登場することに驚きを禁じ得ない。そして、アメリカにおいて文脈に注目が集まる理由の一つが、本著では人種や格差として登場する。同質であることはレジリエンスにとっては有利だけれど、その分どうしても「文脈」が増えてしまう。日本はハイコンテクストと言われたが、アメリカもハイコンテクストに近づいている。

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2014/12/14

『フランシス子へ』/吉本隆明

4062182157 フランシス子へ
吉本 隆明
講談社  2013-03-09

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 吉本隆明の著作なので、僕にとっては最初から最後まで全部いいところばかりで、いちいちポストイットなんて貼ってられないんですが、『フランシス子へ』は、知ってはいたけれど何故か手が伸びなかった一冊。なんか多分、亡くなる直前の作ということで、その頃の文章としては『開店休業』で触れていたというのもあるし、亡くした愛猫に向けてのエッセイというのがどうも予想できるような気がして手が伸びなかったんだけど、『それでも猫は出かけていく』を読んで、やっぱり吉本家ともなると猫に対しても半端じゃないなあと感服したのと、大体吉本隆明の著作のレビューは良し悪し荒れるんですがamazonの本著のレビューは全般的に高評価だったので読んでみることにしたのでした。
 ホトトギスの話なんか「らしいなあ」と一ファンとして笑ってしまうのですが、一番印象に残ったのは老いに関して、「思ってるんだけど、やらないだけ」と言っているところ。これ、わかりそうでわからない。ここを目指して生きていけばいいんだな、という直感みたいなのはある。こういうところを目指さないで、「いつまでもやろうとする」老人が増えたから、世の中おかしくなってるのかなって。

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2014/09/23

『世界のエリートはなぜ、この基本を大事にするのか?』/戸塚隆将

4023312215 世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?
戸塚隆将 208
朝日新聞出版  2013-08-07

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「基本を大事にする」というのが大好きな性分なので、ちょっと俗っぽいタイトルに引っかかりながらも読んでみました。「これだけやれば10kg痩せる」とか「10日聞くだけでペラペラに!」とか、一撃必殺系が大嫌いで、「エリート」とかタイトルにつくタイプの本はそういうケースが多いだけに、「なぜ、この基本を大事にするのか?」というタイトルには大いに惹かれました。

内容は期待通りで、本当に「エリートが実践している基本」ということではなく、一般的に社会人になって働いている人なら誰でもわかっているであろう「基本」、その内容と重要性が丁寧に纏められているものです。「基本」を常に確実に実行できる人が、成果を出すことができるということを論理的に納得させられる内容です。「基本」を蔑ろにしてしまいがちな毎日を送る自分にとって、非常にありがたい戒めの書になりました。

ひとつ印象に残ったのはp85「シャツの首元が擦り切れているゴールドマンのアメリカ人シニアパートナーを目にしたことがあります」というところ。

「しかし、決して汚らしく、みすぼらしい擦り切れ方ではありませんでした。モノを大切にしている様子が窺えました。彼の身に着けている時計も地味で機能性を重視したものでした。清潔感という共通点を除き、服装や持ち物へのこだわりは、人それぞれと言えるようです」

これは辿り着きたい境地だなあと思いました。

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