2013/05/08

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「渦巻き猫の死」
本著で初めて、「なぜ著者はこの話を書いたのだろうか?」と思った。この話が必要なのか?という意味ではなくて、話としては胸の奥底に触れてくるものがあって、いい話を読んだと思ったのだけど、含意が読み取れない、という感じ。こういう、ぼんやりとした、切ない空気を感じるだけでよい話なのか。なぜ渦巻き猫が中心だったのか。

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2013/05/06

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「高遠の桜と下町の祭り」
桜や祭りと言った、楽し気な事柄が辛く悲しいことを連想させるとしても、その連想によって誰かと繋がっているという考え方はとても心持を落ち着けてくれる。自分がどのような時間を歩んできたかは、自分の胸の中にしかほんとうはない。だから、何かのきっかけで誰かを思い出すのだとしたら、そのきっかけは大切にしたほうがいいと思った。

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「一瞬の映像」
ここ最近、落車や事故が重なっている。それでふと、何かあった時の瞬間ってこういう感じだろうか、と想像してみることがある。特に先日事故にあった瞬間は動画で記録していたこともあり、繰り返し見て想像している。そうこうするうちに慣れていくので、落車や事故は痛いものだけれども役に立つところもあったと思う。その一方で、転倒したりするときは映像がゆっくりになるとよく言うが、最近、あまりそうでもなくなり、記憶もそれほど明瞭ではなくなってきた。これはたぶん、あまりによく転倒して珍しいことではなくなってきたので、緊急感が薄れて、潜在的な視力が引き出されないようになったんじゃないかなと勝手に思っている。何でも慣れればよいというものでもないらしい。

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2013/04/24

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「桜餅」
見返りを当て込んでの行い程、みっともないものはないと思う。自分がやるのも嫌だし、少ないにしてもやられるのも嫌なものだ。どのような人間関係においても、損得が頭の中にあって為される行いは、致し方のない面は認めつつも、それによって好悪が著しく変わることのないように気を付けている。ビジネスにおいても、特に「日本的」と言われる、売れる・売れないに関わらない長期的な関係によって信用を図るという慣習があり、外資系の風習としては、利益の上がらない長い期間を過ごすよりも、その間にわずかでも利益の上がる関係を優先するという思考がある。それはあくまでビジネスの上の話だからという言い方もできるけれど、人間の生活というのは基本的にはビジネスの上と差はないと思う。だからこそ、見返りを念頭にしないという行動様式が意味を持つ。

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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『ハイラム君乾杯』
形を残すということに、プラスの評価を与えるか、マイナスの評価を与えるか。形を残すことに拘ったり、有形のものを有難がったりすることを良しとしない考え方も理解できるけれど、残された何かによって勇気づけられたり励まされたりする純粋な気持ちも事実存在する。そういう形は、残されることを欲したり望んだりしていない記録なのだと思うし、パッと見てその空気を見抜ける目を持ち続けたい。

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2013/04/07

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「辛い決断」
自分がどういう状況に置かれるかはほとんど偶然的だけど、その状況にどのように対応するかには自分の意思が関与する。この、「運命」という言葉と近似値の「状況」に対して、「どのように対峙するか」という意思だけは自分で選びうるからそこに意味はある、というのが生きることへの原動力だったのだが、僕の中のこの価値観に決定的な一撃を加えたのは「ディスクール」だった。今、ふたたびこのテーマを考えるときが来たように思う。

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2013/04/06

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「老いの効用」
若く活動的だったころには無意味と思えたことに取り組める。それが老いの効用だと説く。確かに若い頃には拘ってきたことが、歳を取るとどうでもよくなったり、逆に若い頃はどちらでもよかったようなことが、執着してみたくなったりすることはある。その時々の自分のセンサーに自覚的であることが必要だと思った。

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2013/03/25

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「ペットロス症候群」
「独りで生まれ、独りで死んでいく。その束の間の生を我々は他の人、犬、猫と共に生きているのである」。他人との関わり方は考えれば考えるほど難しい。自分の胸のうちが求めるがままでもよくないし、距離を置き過ぎてもまたよくない。流れに任せるだけでもよくない。そういった諸々を考えつくしながら、最終的には何も考えなくても理想の振る舞いになるように鍛錬する道はいばらの道だけど、選びたい道でもある。

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2013/03/24

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「日めくり」
生死を、時間を自分個人のスケールだけで考えると恐怖心から抜け出せなくて、著者が「生命の時間」と呼ぶ、大きなスケールの時間で考えることができればひとつ死生観を脱皮させることができることは頭では理解できているものの、それを頭で考えなくても使いこなせるようになるには相当の時間を要すると思われる。

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2013/03/17

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「ヤ行上二段」
老ゆ悔ゆ報ゆ。これからの自分の戒律にしたいくらいの連語だと思う。老いたものは家族の負担となるが、その負担を乗り越えるための発想は、自分もこの先老いるから、という発想ではなくて、老いを丸ごと受け入れ肯定するのだ、という著者の訴えは全くその通りだと思う。これは似ているようで全く違う。単なる思考の省略のように一見見えて全然違う。何かの役に立つことだけが存在価値なのか、という問いに対しても著者は答えを述べている。常に何かの役に立つことを求められるような企業という存在や、社会起業なんて言葉が市民権を得るくらい「有用」を求めてくる社会に住んでいるとそれはなかなか難しいことだけど、僕は、自分に当てはめられる価値観を、他人には強制しない、というところまでいかないといけないと思っている。

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2013/03/13

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「友人の死」
自分の死を突き詰めて考えることはあっても、身の周りの人の死を突き詰めて考えることは恐くてなかなかできない。よくやっても、いつかはお別れするのだから後悔しないように、というところで止まってしまう。やってきたその時にその時をただ自然と受け入れればそれでよいのかもしれないが、準備を整えるというのではなく、そのことそのものをできれば考えるような日常を生きたい。

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2013/03/12

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「百年後」
”自己の死は他者の死によって形づくられる” 自分の死は経験することができない、他者の死の経験から想像するしかないと言われるが、僕はその「自分の死の一秒前の自分」を想像して恐怖に怯える瞬間が度々やってくる。この時間軸のとらえ方の延長線上に、百年後千年後一万年後のこのあたりや日本や地球を想う感覚や、百年前千年前もっと前の自分のご先祖はいったいどんなことをやってどんなことに泣いてどんなことに笑って生きていたのだろうと想像する感覚が含まれている。

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2013/03/09

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「閉じ込められた時間」
三つ子の魂百まで、をどうやって乗り越えるかを長い間自分の課題としてきたが、それは自分が非常に意地汚い性分なので、如何に自分を改善し成長するかに焦点を置いてきたから。そういった改善すべき人間性を改善することはもちろん続けなければいけないものの、そればかりに意識を向けることによって、自分の持つよいところを伸ばす、という意識が足りなくなることもあるというのが、この年になって判ったことでもある。そういう意味で、自分のなかの閉じ込められた時間を、単に懐かしんだり、それに捉われるのではなく、大事に扱う方法というものを覚えていきたい。

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2013/03/06

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「一月後れのエール」
"人の生は絶対的に孤独である。しかし孤独な生を生きるということにおいて、われわれは仲間である" 私はこの言葉の意味を理解できていると思う。

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2013/03/05

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「トラーの納得」
自分も生家を売るという経験をしているので、著者の次女さんの気持ちが判る。自分は既に25,6歳になっていて、家を出て独立していたのだけど、寂しい気持ちがあった。小学5年生くらいまでの、たった5,6年の間、年にそう何回も来た訳ではない離れていた祖母とのその生家での思い出を思い浮かべていたのだ。父母はもともとその地の生まれではなく、念願かなって故郷に引っ越せるとあって喜び一辺倒に見えたのが自分の寂しさに拍車をかけていたのだと思う。我慢に我慢をしたが我慢しきれずその思いを述べたときの両親の態度に自分も納得することができた。
余談だが、あれはトラーじゃなくてティガーだと思うのだが、日本語版ではトラーというのだろうか?だとすると、ピグレットはなんて言うんだろう??

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2013/02/18

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「台風の夜」
自分の立場や責任を自覚するタイミングを、クリアに覚えていることは稀なのではないだろうか。自分自身はなかなかそういうタイミングの記憶がない。もしあっても忘れているだけかもしれないが、忘れるということはやはりそれほど重要ではないと思っているということだろう。唯一、転勤を命じられそうになった昨年の出来事で、自分にとって何が大事か考え抜いたということが、少しだけ自分を変えたと思っている。

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2013/02/12

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「さまざまな二月」
場所や土地が呼び起こす記憶は多いのに対して、多々の記憶を呼び起こす特定の日時はあまり思い当たらないことに気付く。毎年必ず大きく体調を崩す月として心に留めている三月くらいかも知れない。この日はこの場所に必ず立つ、という習慣をもし持って十数年生きてきていたら、ずいぶん面白かったのかもしれない。

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2013/02/07

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「新年の朝」
どういう記憶を取捨選択するのかにフォーカスするのではなくて、残った記憶から自分がどういう人間かを見つめ直すほうが前向きというのは感銘を受けた。なるほど。自分もどちらかと言うとうまく行かなかったことばかりが記憶に残っていて、減点思考の人間なんだなと、悪いこととは思わないがいい気分でもなかったが、そこに色をつけるのではなく、フラットに使えばよいということに気付いた。

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2013/02/06

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「においの記憶」
においが記憶を引き出すというのは、結構多くの人が同感することなんじゃないかと思う。記憶がにおいを呼び起こすというのも。においは目に見えるものよりも耳に聞こえるものよりも、はるかに存在感の大きいものだと思う。日本はデオドラント文化と言われるが、出る杭は打たれる風潮と繋ぎ合わせて考えてみると、においを殺そうとする習性に深く納得してしまう。

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2013/01/31

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「セーターと沈黙」
モノを大切にすることの意味や核となる考え方が、今まで通りではやっていけなくなっていくのではと思っていたところに、この章は大きなヒントをくれた。それにしてもタイトルに「沈黙」をピックアップされるところが憎い。

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2013/01/29

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「家の時間」
自分にとってのくつろぎの時間は、誰かにとっての緊迫の時間かも知れない。時間だけに限らず、この視点はどれだけ気を付けていてもついつい忘れそうになる。忘れさせる最大の影響は、そういうことに無頓着な他人の影響だ。自分のことが蔑ろにされても、人に同じ気持ちを味あわせないように振る舞うのが「分」というものだと思う。

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2013/01/27

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「親不孝者の反省」
自分に無関係だと思われるものは記憶から切り捨てる、というところは自分にも思い当たるところがある。その事柄をなぜ無関係と判断するのか、というところで、冷たい人間だと思われる。この章ではそれは過去のことだから、という切り口で語っているけれど、自分の場合、必ずしもそうではない気がする。無意識にはできないことなら、意識してやるしかないと思う。

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2013/01/22

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「夜の散歩」
ないものはない。本著の中ではちょっと異端と言ってもいいくらい、筋書の巧みな章。その上素晴らしいと思うのは、事実描写のみで筆が感傷に流れておらず、かと言ってその事実をとらまえて説教を垂れる風でもないこと。なくなったものは、建物などの「モノ」ではない。かつては見ることのなかった光景-ホームレスや50過ぎの客引き-は、何かをなくしたから現れたものなのだ、と言っているのがわかる。

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2013/01/20

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「過ぎ去った時間」
共時と言われるとすぐに共時性と通時性を思い出してしまう。共時性と通時性の文脈で言うと、人はどちらかというと共時性のほうをより強く意識しているように感じる。これまでの積み重ね・蓄積を軽んじているように感じる。この齟齬はどこから来るのだろう?

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2013/01/14

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「チロと元ちゃ」
親戚に失踪してしまった人なんて普通にいるものか、と驚いたものの、自分の身の周りにもいろんな出来事はあり、大したことないとか大したものだとか、そういうことは自分の目線と他人の目線の狭間で常に移ろいでいるもので、固定的なものではないのだ。そうはっきり認識すること。これは佇まいを正すために身に取り込まなければならない考え方。

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「クラス会」
クラス会に出席してみようと思うことの意味を、普通はここまで徹底して考えるのは恐くてできません。今は交流の無い、昔の仲間と会うことにどれほどの意味があるというのか、薄らと判ってはいるものだから。そこを考え抜いて、ただ振り返るのではなく、今を起点にしてさらに未来を見ればいいというところまで発展してくれるところがありがたいです。

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2013/01/08

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「写真の不思議」
この文章が真宗の出版社から出ている本に掲載されているということを考えると奥が深い。人が人を認識するのは意味づける力による。だから、既にこの世に存在しない人のことを、思い起こせるというのは、意味づける力によるに相違ない。なぜなら存在しないものについて、語ることができるからである。だから、写真も写っている「その人」を想起させるからその人そのものということになる、と語っていて、ここが奥深い。

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2013/01/06

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「住所録」
紙の住所録は過去の住所も二重線で消されるだけで記録が残るが、パソコンの住所録は上書きされて過去の住所は消されてしまう、という点はITでの情報管理での基本的な考慮点で、現代では過去データも含めて要約せずにひたすら保存していく技術と環境も浸透しつつある。この章での指摘とは逆に、何もかも永遠に保存可能となったら、紙の住所録よりも優れていると言えるのか。この問いの立て方にどう答えるかによって、価値判断の本質を知ることができる。

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2013/01/04

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「自分の言葉」
言葉は必ず他人から与えられたもの。一方、流行語がなぜ発生するかというと、本質的に他人-自分よりも前の時代の人びとが引き継ぎで来た言葉言葉の意味形成が、同時代的に短期間で一気に形成されたというだけであって、他人から与えられる「言葉」の本質から何も外れていないとも言える。だから、流行語の意味・ニュアンスを、耳にしただけで的確に掴み取って的確に使えるほうが、言語に対する理解が深いということもできると思う。だから批判されるべきは、流行語を使うことではなくて、やはり、自分が何を考えたのか、考えているのかという、自分内部の言語と言語活動を持たないことだろう。

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2013/01/03

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「沈黙ということ」
ここで書かれていることに全面的に賛成しようと思った時に、自分の中で「待った」をかける主義主張として、国際化社会の常識という形で言われる「説明責任」というもの。つまり、「言葉で表さなければ理解してもらうことはできない。沈黙に意味はない。」という考え方。この罠は、ひとつはビジネスにおける言葉と生活における言葉は実は違うのだということ、もうひとつは諸外国では「黙って頷けば判る」というようなコミュニケーションが存在しないということはないという、文学の実例があること、この二つが分かっていれば回避できる。

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「突然の電話」
電話の感覚はこれはもう世代の違いでどうしようもない。手紙が出来始めた頃だって、「手紙をよこすなんて横着せずに、会って話に来い」という人もいたはずだ。コミュニケーション手段というのは、時代と共に確実に変わる。ただ、どんなコミュニケーション手段であれ、相手の立場を慮る姿勢がなければ、そもそもコミュニケーションとして成り立たない。慮らなくてもよい相手なのかどうかを見極める力も必要である。

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2012/12/30

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「式嫌い」
僕も形式的なもの、形式的が過ぎて形骸化しているものというのは子供の頃から苦手なほうだった。著者のように、それをただの苦手で済まさず、大切なものを大切にできなくなると考え、行動に移すところまでは徹底できなかったのが悔やまれる。そこまでラディカルになることが、よりよい結果に繋がるとまでは信じ切れなかったのだ。清濁併せのむ、というスタンスのほうが、よりよい結果に繋がると考えていたと言えば言い過ぎだけど、妥協というのはそういう側面もあると思う。ただ、今になって思うのは、今行動に移せば、青春時代のエネルギーを取り戻せるのではないかということ。また、今の自分は、昔ほど形式的を嫌っていない。それは、ビジネスの世界でも、判り切っていることを言葉にしなければならない意義を理解しているから。それが判り切ったことであっても、それを言葉にするという時間を使うことが、相手との相互理解のために必要なことということを理解しているからだ。

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2012/12/26

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「娘の作文」
作文と言えば、「こういう趣旨で書きなさいよ」というのを如何に汲み取るか、というものだと思い込んでいる。例に挙げられていた「税について」だと、子供でさえ、「税金は納めないといけないものです」という趣旨をくみ取って、それにそったストーリーを書こうとする。自分の考えを書く、という訓練になっていない。作文という体を使って、洗脳しているのと同じ。自分の思ったことを思ったように話せない呪縛は、こんなところから始まっている。なぜ、作文をそんなふうに扱うのか?大人側が、子供が思っても見ないことを言ったときの対処能力を身に付けないまま大人になってしまうからだ。

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2012/12/24

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「知識よりも思考を」
学びの楽しさを知らないから学生が学問する気を持たないというのはその通りと思う。僕も学びの楽しさを知らないのでとても同感できる。でも、就職面接で「クラブ活動に打ち込んできました」とか、学問以外のことをアピールするのは、企業側が大学での学問活動など取るに足らないと重視していなかったからのように思う。それともそれは僕がレベルの低いところで活動していたということなのか。それと、知識よりも思考を、というのはよくわかるし、思考こそが学問の楽しみの核だということもわかるけれど、それよりも問題は、思考のためには知識が必要なのだという、その必要性を理解させられていないことだと思う。

4004121418 自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)
池田 潔
岩波書店  1963-06

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「本は楽しく」
緊張と緩和。入ることと出ること。本を楽しむ読むための心得として語られた内容は、いささか堅苦しくはあるけれど、ただ「おもしろく」読むという次元ではなく、「楽しく」読む域に達するために、常に心掛けないといけないポイントと素直に想います。

4004121418 自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)
池田 潔
岩波書店  1963-06

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2012/12/14

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「顔を持つために」
小学生が「ルール」であることを振りかざして、「ルール」をはみ出した者を徹底攻撃する。そういう心性が、閉じた社会をつくる。盲目的に「ルール」に従う社会をつくる。だから、「ルール」であっても、「ルール」だからと「正義」として振りかざすのではなく、それは本当に「正義」と言える「ルール」なのかを考える姿勢を身に付ける必要がある。

と、このロジックは「日本に」いると、非常に当たり前のように聞こえるのだけど、先日、某所で立ち読みした『自由と規律』で、イギリスでは学生時代に、徹底的に規律を守ることを叩きこまれる、という章を読んで、深く悩みに落ちた。

4004121418 自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)
池田 潔
岩波書店  1963-06

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2012/12/09

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「話すということ」
電話をかけたときの緊張感や苦手意識のところは共感したけれど、電話は会話ではないというのは若干違和感が残った。話し言葉が「話す」なのか、書き言葉が「話す」なのか、伝達なのかコミュニケーションなのか、手話は「話す」ではないのか、よくあるテーマと切り口がずらずらと頭に並ぶところだけど、ツールを間に挟むコミュニケーションということに話を限定すれば、電話やメール、さらに言えば「手紙」などを使ったコミュニケーションを「話すではない」と断定してしまうのは行き過ぎだと思う。確かにface to faceよりも情報量は落ちるかもしれないが、それを指摘する人には見えていないメリットというのもあり、一概に劣っているとは言えないはずだ。

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2012/12/08

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「願いのとき」
ここ最近、若かった頃、特に学生時代の景色を思い出しては胸が苦しくなる思いが日に何度もやってきていたので、この章はひとつの解決策を示してくれた。無暗に前を向くと言うよりも、平穏無事であることに感謝する。年齢を経た人間には、若い人間と違う前の向き方というものがある。平穏無事に感謝するだけでは現状満足で終わるかと言えばそうではない、歳を取った人間のやり方を模索し続ければ道は開けるはずだ。

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2012/12/05

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「終着駅」
「人生も五十歳を過ぎると捨てることを考えないといけない」 この格言に悩まされながら10年、生きて行かないといけないのかなと思う。振り返れば昔とあんまり人格的に成長していない自分をしり、その後、高度なタスクワーカーの働き方を見る。

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2012/11/29

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「老犬の昼寝」
「ある」と「なる」と「する」。自らが何かを「する」ことが、自分の存在意義であり存在価値だと思えているうちは幸せだということがよくわかる。「幸せだ」というのは反語的に。自分が自分として存在していることも、自分の選択ではなく、与えられたものを受け取っているだけ、ということ。だからと言って、「する」ことをおろそかにすることは許されない。

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2012/11/28

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「生命へのおそれ」
最後の一文で十分です。ここまで読んだ中で一番おもしろい章でした。

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2012/11/27

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「花を見る」
毎年、毎日、見ていたものに今日初めて心を動かされたといって、それまでの自分の眼を怠惰だと責める必要はない、なぜなら毎年毎日同じように見えているものであっても、その時々の自分の状況によってまったく違うものであるからだ。この考え方は「常に新鮮な目で世の中を見る」という一種の美徳的な価値観と相容れないので躊躇うけれど、自分の置かれている状況はすべて自分で切り開けると考えるほうが傲慢であり、与えられたその状況を受け止めることが肝要という意味で、この考え方を厳然たる現実として受け止めるほうが人間的成長に繋がると思える。

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2012/11/18

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「私のもの」
いわゆる疎外論だと理解した上で、自分の「行動の結果」についても同じことが言えるかどうか、ということを考えてみる。マイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』でも、大学入試の公平性についての追求で同じテーマが出てきたが、どんな綺麗事を並べても、生まれた環境や育った環境で、有利不利は存在するのだ。今、自分が持っている「有利」は、自分の力だけで成せたものだと言えるのか?これは絶対にそうは言えないのだ。だから、自分の「行動の結果」も、自分のものだとは言えない。そこから、私は私のものでもない、という結論も引ける。このことが理解できない人は、自分と相手の立場をひっくり返すことが出来ず、自分側の立場に知らず知らず固執し続けている。どれだけ、相手の立場を調査して考え抜き、それに対する内容を提示したとしても、結局、それは「自分側」から発したもので、けして「相手側」から発したものではない。

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「その後のポチ」
売上をあげるのは容易いこと、と簡単に言われたくない気持ちあるものの、そういう気持ちこそが、生き物に寄り添うことの意味が分かっていない気持ちなのかなと思う。この章はその終わり方も含めて、結論のない厳しい問いを投げかけてくる。

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2012/11/11

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「小さな旅」
この章に出てくる「上の子」の健気さが、なぜ自分には身につかなかったのだろうと恥ずかしく情けなくやるせなくなるが、誰かがやらなければならないがやっても何の得にもならない役回りが割と多く回ってくるところはやはり「上の子」の空気なのか、そして、責任はそれを負えるだけの人間のところにしか行こうとしないという言い回しを思いだして自分をなだめる。

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2012/11/08

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「それぞれの人生」
ふと思い立って何年か振りに電話できるような、若い頃からの友達がいてる境遇というのが羨ましい。それと、二次会と誰も言いださず解散、という下りが淋しい。淋しいけれど、いい関係だなあと羨ましくなる。この年になって、今更迷うこともないのかも知れない。

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2012/11/06

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「捨てるということ」
若い頃の方が捨てることに躊躇がなかったか、今の方が躊躇がないか、ちょっと判断に迷うところがあった。昔の方が何でもため込んでいたような気もするし、この章でかかれていたように今の方が過去に縋る気持ちが大きい気もする。過去を大切にしながら今を生きることはとても難しいことはよく判っているつもり。

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2012/11/04

『不可思議な日常』/池上哲司

483410334X 不可思議な日常
池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「ゴキブリ捕獲の作法」
戦争が直接的な戦いから、湾岸戦争のようなスクリーン上での戦いになり、戦っている実感を伴わないようになったことを「進歩」とは決して言わない、というところから想起したのは、企業に勤めることの不条理だった。巨大企業であればあるほど、自分達がやっていることと自分達の成果報酬とに直接的な実感を持てない。それに、厚生年金基金問題のように、自分のやっていることに問題がなくても、基金破綻で割りを食ってしまうこともあれば、自分の会社には何の問題もないのに、厚生年金で補填すると言いだされ、割りを食ってしまうこともある。もはや、自分の手の届かない範囲で割りを食うことが多過ぎる世の中になり国になっているけれど、それが社会だと言われると何も言い返せないような気がする。

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「ポチの場合」
目の届く範囲にいること。とれも重要なことだと思う。目の届くとこにいなければ思い続けることができないと考えるとそれは切なく感じてしまうけれども、それは現実として受け入れなければならないことだと思う。一方で、目に届くところにいられなくなるどうしようもない事情も多い現代社会で、SNS等のツールでコンタクトを取り合えることが「目の届く」範囲なのか、というところもよく考えなければならない。SNSを活用できている関係の人もいると思うから、一面的なことは言えないものだ。

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2012/11/02

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「生まれつき」
持って生まれたものを受け入れる。嘆いても歯軋りしても構わないけれど、受け入れない限り前には進まない。

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2012/11/01

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「子供から大人へ」
「祝祭」の話なんだけど、書かれていることはよく理解できる一方で、現在では日常のあらゆるところに常に祝祭が偏在しているのが理想形みたいに言われているところもあって、ほんとうに「大人になる」ということの意味・意義をどう定義づけすればいいのか難しい。「大人買い」みたいなことが起きる土壌もこの辺なのかもと思った。それはもはや「大人」ではないけれど。

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2012/10/30

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「末っ子の疑問」
上の兄弟に較べて写真が少ないというのは、確かに不公平な思いを抱くだろうなあと、もちろん思う。話はそれだけではなく、自分が存在する前後の時空の話に広がるところが面白い。自分がいなくなった後の世界、誰かがいなくなった世界を想像することはあっても、自分が存在する前の世界を想像することは、私は長男なので、確かにあまりなかったように思う。

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2012/10/28

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「パンダの自己意識」
自己意識、自己嫌悪、自己反省。動物は、鏡を見てそれが自分であるという「自己意識」まではあるとしても、過去の自分を振り返ってそれを反省する力はないだろうとは言える。しかし、その自己反省の能力を持ったが故に、罠を仕掛けることを覚え、ひいては戦争を起こし、そしてその戦争について自己反省できないのが人類ということになる。それならいっそ、自己反省などできず、その場その場で起きたことにだけ対応して生きているほうが、平和な世の中なのではないか?この問いに対して、自己反省のメリットとデメリットを並べて、これだけのメリットも享受している、という形で対応するのは、経済優先主義に冒された愚の骨頂なのだろう。

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『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「芙蓉の花」
自分以外に、自分の存在を認めてくれる人がいることは大きい。自分の存在を必要とするとまでいかなくても、存在を認めてくれるということは大きい。これは仕事においても生活においても大切なことだが、これを真面目に考えれば考えるほど、人生は生きにくくなることも確か。こんなことを考えること自体、生き物として弱すぎるということだろうか?

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2012/10/26

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「こころの不思議」
一読したときは、亡くなる少し手前で思い出すのではなく、亡くなった事実が思い出させたということだ、と理解したけれど、改めてもう一度読むとそう単純なことを言いたかったわけじゃないと気づいた。

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2012/10/25

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「不思議な経験」
僕は、説明のつかないことは極力排除することで、自分がそう言っているだけではなく、他人から見てもそう言えることである、という考えをとるように心掛けてきたけれど、不思議なことを不思議なこと受け止めることについては普通の人よりも自然にできると思っている。自然にできるから、安易にそちらに走らないよう、説明のつかないことを極力排除するよう努めてきたけれど、もう十分、そうしなくても自然なバランスで振る舞えるよう訓練できたと感じた。それよりも何もよりもこの章を読めたことは自分にとって大きな意味を持つ点がひとつあり、そこはこれまで以上に、この本を紹介してくださった乾さんに感謝したい。

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2012/10/24

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「進歩のない」
ここで例に挙げられている免疫学同様、僕が働いているIT業界も進歩の速い業界ではあるが、進歩の速い業界というのはそれだけまだ未熟な思考レベルということなのかなと思った。伸びしろが少なくなってからが勝負。そういう考え方と、伸びないものを伸ばしてもしょうがない、という考え方。ある意味、前者はただの意固地だとも言える。ただそれでも、本章のラスト、「文部省のように、急におもいつきだけでこころの教育を言ったところで、何の役にも立ちはしない」のところは胸を刺される。こころの教育だけでなく、急におもいつきでやることは、やらないよりはましとよく言われるけれども実は意外とそうではないことも多い。

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2012/10/23

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
真宗大谷派宗務所出版部  2005-05

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「直列型と並列型」
「この返すことのできない債務は担い続けるしかない」この言葉の迫力に圧倒された。死ぬまで担い続けるしかないこと。僕にもあるはずだ。集中力と持続力の必要性には何の異存もない。改めて認識を強くするのみ。

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2012/10/22

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「ジャムパンの怨み」
「何か失礼なことをしましたか」と一言聞くことの、なんと難しいことか。いつもいつも思い悩むことである。その一言を発して、真実を聞けば解消できることなのに、その一言を発するくらいならこのまま有耶無耶にして関係さえないことにしてしまえばと、なぜ思ってしまうのだろう。どれだけ信頼関係を築いていても、簡単に口に出せる言葉ではない。それは、大事な関係になればなるほど、その一言が最後の引き金を引く言葉になると、身を以て経験していくことになるからだろう。

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2012/10/08

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「一家に一台」
「ものは悪、こころは善というふうに単純に言いたくなる。が、この主張は、ものを絶対視してきた発想の裏返しでしかない」。この一文を読んだとき、いったいこのエッセイの初出はいつだったのだろうと思わず裏表紙から捲った。僕もまったくその通りだと思う。何も何も、一面的な決めつけほど危うくて不要なものはないのだ。そして、「在る」と「成る」にちょっとだけ通じる、後半の話。所有ではなく、存在を願うということを、発想の中心に置き続けるよう心掛けてみる。

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2012/10/05

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「睡魔との戦い」
睡魔との戦いは年々ひどくなっているので、これを読んですこしほっとした。興味がないから睡魔が襲ってくることは分かっているし、だからといって興味がないものからは目を逸らしていればいいという訳にもいかない。いろいろ工夫するにも限度がある。どのようなことにもなるべく興味を持てるようにするという努力と、興味を持てないことは持てないと諦めて、その上で少しでも眠くないように工夫するという努力、この両面からの努力の姿勢は、自分の人生の方針に重なる。

 

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2012/10/04

『不可思議な日常』/池上哲司

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「6月嫌い」
初めて、これと言った結論めいたものが思いつかない賞に出くわした。6月が嫌いな理由が滔々の並べられて、最後に奥さんの誕生日が6月だった、と来る。それが意味してるものはなんだろう?と思っても、唸ってしまうのが事実。深読みしようと思ったけれど、たまにはそんな話が混じるのも当然だ、ということで。

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2012/10/03

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「息子の朝帰り」
ウチは著者の家庭のような、「電話ぐらいしろよ」と一言諭すというような家庭ではなかったものの、非常な愛情を持って躾けてくれたということは身に染みて感じている。それも、べたべたとしたものではなく、両親が合わさると適度なドライさを伴っていて自分のバランス感覚の礎になっていると感謝している。それにしても、ここに書かれている「子離れ」の話、「子離れできてこそ親の完成」であり、感謝の要求に繋がるようなことは望ましくないというスタンス、大学生の就職活動にまで親がしゃしゃりでる世の中になってしまったことを激しく憂うものである。本当に、一億総子どもになってしまう。

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2012/10/02

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「中年になって」
こころとの不一致を感じたとき、我々が成すべき努力は、その劣化を遅らせることだという結論は、なんか消極的努力のように聞こえて(せめて「維持」と言ってほしい)少しさびしい気もしたのだけれど、考えてみれば維持することは、老いは一秒ごとに進んでいる以上土台無理な話で、少しでも劣化を遅らせるというスタンスこそが最も望ましく美しいものだろうなと納得した。そこを理解できず、抗うように維持に、ややもすると若返りに邁進するようなスタンスが、現に若い人々の領域を押しつぶすような軋轢を生んでいて見苦しいのかも知れない。

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2012/09/30

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「中庸ということ」
長い間、次の一章を読めずにいた理由が、読んで立ちどころに分かった気がする。この一章は正に今の僕に必要な一章だった。「中庸」という言葉を誤解していた。そして自分が大切にしていることが「中庸」であることもわかった。「中庸」を重んじることを、誰にも共感してもらえなくとも、それが皆から見て面白くないヤツと見える原因になったとしても、僕は自分の極端に振れることのできる能力を十二分に活かして、「中庸」をこれからも目指していこうと思う。

・自明でないことを自明であるかのように語る、ここから数多くの欺瞞が生じる。

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2012/09/20

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「続・人を好きになるということ」

ほどんどできそうにもない課題に対して唯一できること、それは逃げ出さないことだ。逃げ出さないことは、寄り添うことと同じ。結論としてはそんなところだけど、ちょっとおさまりが良過ぎるかなと。ここでも部分と全体の包含の話が出てくるけど、部分でもって全体に対して評価するというのは、「クリティカルポイント以外は目を瞑ろう」式の考え方ではないことは、記しておこう。

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2012/09/14

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「待つ」

これは結構長い間悩んでるテーマ。現代は基本的には説明責任の時代だと思う。その根本的かつ最大の理由は、グローバル・ボーダレスだと思う。人間、根本的なところは世界中どこでも変わらないとは言え、やっぱり基本的には言わなければわからない。その上、都市部では急速な産業の高次化と情報技術の進展で、もはや肉親間でさえ、言葉不要の信頼関係というのがなくなってしまった。こんな状況で、考えが出てくるまで「待つ」ことの重要さを語るのは、ある種のノスタルジーであり、ほんとは変わらなければいけないことではないのか?これには直感的に反発したくなるものの、実はきちんとした反論を組み立てられていない。

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2012/09/12

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「小さな思い出」

「忘れないで」という願いの意味が長らく理解できなかったことを思い出した。小説やドラマでもしょっちゅう登場する普遍的な願いだが、離れてしまうのに覚えられていてそれがいったい何の足しになるのか、と僕には常に疑問だった。この「小さな思い出」の冒頭の学生のような、自分が墓に入っても誰も参ってくれないのは辛い、というような感覚は持たないが、自分はできる限り感謝をもって人を忘れないようでいようと思う。

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2012/09/10

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池上 哲司
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「海のものとも山のものとも」

ここまで読んだ中で最も強い衝撃を受けた章。自分が何者であるかということを理解してもらう努力をかなり怠っていたし、そもそも理解してもらうというのがどういうことなのか、その重大性を自覚していなかったのだと痛烈に思い知らされた。なんとなく、空気で、自分が何者なのかを感じてもらうようなやり方を意識的に改めていかなければいけない。同じ趣旨の話を、たまたま日経夕刊で読んだ。意思疎通が必須になる民族同士で、無言は死を意味するのだ。

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2012/09/09

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「家族の眼」

家族に限らず、よく知れば知る程、決めつけが過ぎることがあるし、知りはしなくても話す回数が増えたりすることで、詳しくは知らないままに、概要を掴めてしまうこともある。「家族の眼」は、自分が見られる側での、自分への戒めの話だったけれど、僕は自分が見る側に回った時の自分の戒めを想像した。

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池上 哲司
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「カラコルムの杏」

「国と民族と宗教そして言語」「これらの要因を考えなくてよいとされてきたわれわれ日本人」とあるが、よく引き合いに出されるけれど日本にもアイヌなど少数民族はある。それを「ごく少数」だから「単一民族と言ってよいほどのごく少数なので無視できる」と確率論的に言って言い訳はないが、丁寧に断り書きを書くのも煩雑なことで、しかし煩雑だからといってなかったことには絶対にできない。この「ごく少数」の捉え方・扱い方というのは、現代におけるものの考え方のヒントになるのではないかとふと思った。

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2012/09/05

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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「見えない境界線」

トランシーバーと携帯電話の話は、ちょっと頷けないところがあって、それはトランシーバーの登場がそう言った時代だったからであって、「トランシーバー」と「携帯電話」の形態には依ってないから、もしトランシーバーが今、こなれた価格で登場したら、同じことは起きると思う。これは手紙のフォーマットをメールに強要したり、移動手段が徒歩しかなく、そうそう対面できない時代の挨拶儀礼のやり方を現代に強要するのと同じようなことだと思う。
境界線を「官」に求める、という指摘は、少なくとも日本ではその通りだと思う。境界線を、誰かに決めてほしい、誰かが決めて当たり前、という思考回路が、日本人の思考能力を弱めているような気がしているが、境界線を自分で考える際のポイントが「はた迷惑」というのは、いかにも日本的だけど、僕はこれもあまり頷けない。なぜなら自分の境界線の主語はやはり自分であるべきだと思うからだ。

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2012/08/31

『不可思議な日常』/池上哲司

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「坊さんが屁をこいた」

理解できないものに遭遇したとき、それをより詳しく知ろうと思うかどうか。単に違いの内容を認めるだけでなく、違いが生まれた原因・理由にまで思いを飛ばせるかどうか。どちらも、成果を中心に、究極目標とする場合、どちらでもいいと隅に追いやられる思考である。しかしながら、どんなものでも「違い」があるところから価値が生まれる。

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2012/08/30

『不可思議な日常』/池上哲司

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「今とここ」

目が覚めたとき「今」がいつかわからない、という所在の無さとはちょっと違うけど、僕は眠りに落ちそうなときと、眠りから覚めそうなときに、急に自分が死を間近に控えた年齢になった実感を得ることがある。もちろん、普通に目を覚ましているときでも、70歳になった自分、80歳になった自分を想像するとそれはそれで怖いんだけど、寝入りばな・寝起き中のときに思い浮かべたときの恐怖感は比べ物にならない。あれは、眠りと覚醒が入り混じっている状態で、「今」とうまく切り離されていく状況だから、感じられる恐怖なのかなと思った。

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2012/08/28

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「書かれた名前」

ちょうど今日の日中、「長嶋終身名誉監督」のことを思い出していた。社内にいかにも肩書で仕事をしているような、肩書が人間の値打ちと思っているような人がいて、その人の話題になったからだけど、もっと若い頃のほうが、「肩書がどうした」と言う勢いが強かった気がする。「長嶋終身名誉監督」というのを聞いたときも、「なんだその”終身”って!」とせせら笑った気がするんだけど、今は若干ながら”終身”を付ける気持ちというか、無暗に長い肩書にしようという感じとか、「退かなくてもいいようなことが判る名前にしないと」という理屈っぽいところとか、そういうのに理解を示せてしまう自分がいる。これは、自分が何者かを証明することに楽をしよう楽をしようと慣れていってしまっている現れに違いない。自分で自分が何者かを証明することはできない。だからといって、客観性を突き詰め続けていく果ては「肩書」になる。

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「遠い記憶」

過去と過去の記憶は別物。自分のだけではない過去の記憶を連ねて交差させればさせるほど、過去の記憶によって過去に近づくことができる。これを、実際に人々と会話したりすることなく、自分の意識の中でどれだけやることができるか。それは、自分は過去の記憶を持つ大勢のうちの一である、という認識がなければできない。そして、過去は固定されたものではなく、現在の自分による「判断」によって過去は動的なものとなる。このことは、「過去は動かせない」という絶望に対するひとつの救いと成り得る。

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2012/08/27

『不可思議な日常』/池上哲司

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池上 哲司
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 図書情報館の乾さんに、40歳の記念にお勧め頂いた『不可思議な日常』。「ゆっくり読むのがお勧めですよ」と仰られていたので、読んでいた本と慌ただしく落ち着かなかった日々がある程度落ち着いた今、一日一章ずつ読んでいこうと思います。

「鈴の音」
鈴をつけていない僕自身も、鈴同様に自分自身でコントロールすることはできない。自分が何者かは、相対する者にも依存している。相対する者がいない世界では、僕自身は何者でもないということになるのだろうか?鈴の音をどんなに鳴り響かせても、何者にも成れないだろうか?仮にそうだとしても、僕自身がいなければ相対する者もおれないから、僕自身を僕自身はどう受け止めているかを平生よく考えておくことは無駄ではない。

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2011/02/08

『日本の論点2011』 - 『法人税を下げるべきか』

4165031003 日本の論点2011
文藝春秋編
文藝春秋  2010-11-25


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p126『法人税を下げるべきか』

  • 課税ベースの拡大=租税特別措置や減価償却制度の見直しなど
  • わが国の成立は40パーセント 米国と並んで世界最高水準
  • 表面税率=法人税・住民税・事業税
  • 二段階減税論=課税ベースを広げて財源を確保しつつ「表面税率」を引き下げる
  • 「立地競争力」
  • 社会保険料を加味した「公的負担」
  • 税制優遇措置と答えた企業は8パーセント
  • 海外進出企業は7割以上

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2009/08/30

『the pillows cast [1989-2009]20th Anniversary Special Edtion』

File04

「大器晩成とか遅咲きって言葉をリアルに口にしていいバンドは、俺達だけだと思うな」。
(the pillows 山中さわお/本文より)

今年20周年を迎えるピロウズを、デビュー以来20年追いかけインタビューし続けてきた稀有な雑誌、「cast」のインタビュー完全保存版。ほんとに失礼だけど、一地方のローカル誌がこんなとてつもないことしてたなんて驚き。7月のZepp Osakaで配られたビラで存在を知って、通販で買いました。amazonでさえ手に入らないんだよ!タワレコ、HMVには置いてるらしいけど一般書店には置いてないとか。凄いよね、こんな凄い本をそんなふうに流通させてるなんて。

毎日少しずつ読んでます。
詳しくはjoyfultown.jpホームページにて。買いです。

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2009/01/08

『ジョルナダ』/小野塚カホリ

4396762879 ジョルナダ (Feelコミックス)
小野塚 カホリ
祥伝社  2002-10-08

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 amazonに勧められて買ってみた。オススメの理由は、観てないけど南Q太を買ってることに間違いないと思う。(手に取ったことはないけど)南Q太と同じFeelだし、似た空気感を持ってるだろうしおもしろいだろう、と思って何の気なしに買ってみた。そもそもFeelで知ってるというか読んだことがあるの、南Q太だけなのに雰囲気決めつけるのもどうかと思うな、今から考えると。

 "繁"は、グリム童話の「青髭」をモチーフにしたらしい、監禁の話。最初読んだとき、どう解釈したらいいのかさっぱり分からなかった。何を感じたかと言っても、監禁されたほうが喜んでる?ほんとうはそういうのを望んでいる?という域を出てこない。なんかそれだけじゃないな、ということはかすかにわかるのだけど。ずっと後で「あーそういうことか」というのがわかったんだけど、これで改めて男女の感覚の違いというのを感じた。僕を含めるだいたいの男は、"繁"を読んで、「女って本能では実は…」みたいなことしか想像しないと思う。本気でそう思うのか、一般的にそういう俗っぽい言われ方をしているだけで、それは違う、と認識しているかは別として。僕はもちろん、そんなこと思ってないけど、この作品を書いたのが女性というところがまた混乱させられた。性欲を人間の本能的な部分であり、通常は抑圧しているだけだ、だから開放することは圧倒的に絶対的に是なんだ、とすぐに考えるのが男な気がするけど、この話の結末は、女の人にとっては、セックスなんて生活上の他のことと同じくらいの重みのパーツの1つ、と思わされると同時に、とてつもなく大切なことである、という、矛盾する考え、それを両立させているのが女性なんだなあ、と、圧倒されてしまった。

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2008/12/07

『まぼろしハワイ』/よしもとばなな

4344013859 まぼろしハワイ
よしもと ばなな
幻冬舎  2007-09-26

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 読んでいる最中、そして読み終わった後も感じたことが2つあって、ひとつは、「このストーリーはハワイでなければ起こり得ないようでいて実はどこでも起こり得ること、とかすかに感じさせるようなところがあるけど、もっとはっきりそう伝えてほしい」ということ、もうひとつは、「これは生の喜びを描いているようで実は”いかに死ぬか”を書いているのではないか」ということだった。

 オハナもコーちゃんもコホラも、(例によって)特殊な家族事情を抱えているが、それらを解き解くのが
ハワイの自然・生命の力のように描かれている。でも確かにハワイの気候や自然は特殊かも知れないけれど、そうじゃなきゃ何かがよくならないとしたら、それほど不幸なこともない。『まぼろしハワイ』は、ハワイならではのようで、ハワイならではない何かが詰まっている。でも、あまり目立ってない気がする。そこを目立たせるのかどうかは悩みどころだったのだと思う。

 もう一つの思ったことというのは、これはあとがきを読んで更に思いを強くした。『まぼろしハワイ』の「生の喜び」というのは、「今を生きる」というような、日々の日常生活をきちんとするといったことではなくて、「先を見据えている」芯の強さが滲んでいるし、あとがきには何度も別れについてかかれている。別れというのは恋人と別れるだけじゃない。「いつか終わる」ことを想像していないと何にも感謝できないというのは恥ずかしいことだけど、今に「やらないよりはマシ」という気持ちになってるのだろう。

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2007/01/02

『グレート・ギャツビー』/スコット・フィッツジェラルド 村上春樹訳

4124035047 グレート・ギャツビー
スコット フィッツジェラルド Francis Scott Fitzgerald 村上 春樹
中央公論新社  2006-11

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 裕福な階級の娘デイジーに恋をした貧しい育ちのギャツビーが、戦争で離れ離れになった後デイジーを取り戻すためにあらんばかりの贅を尽くして彼女の前に現れようとする。

 ギャツビーのやっていることは滑稽としかいいようがなくて、好きな人のためにこんなにも一生懸命になれるなんて!と酔えるかどうかは人それぞれじゃないかと思います。何より、…

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2006/05/21

『さよならみどりちゃん』/南Q太

4396761678 さよならみどりちゃん
南 Q太
祥伝社  1997-07

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 地方出身の新人OLゆうこは、居酒屋店員で軽薄なユタカを好きになるが、ユタカにはみどりという恋人がいる。どうしようもなくだらしないユタカにずるずると引きずられる日々を送るが・・・。

 最後のシーン、ゆうこが「あんたがめちゃくちゃ好きなの」と叫ぶのにユタカは振り返らない、あれがすっごいよくわかる。たろーがゆうこに迫ってたとこに現れてゆうこを引き連 れて帰ったり、みどりちゃんのこととか優希のこととか「なんか なんでも話しちゃうんだよ おまえには」とベラベラ喋ったり、・・・

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2006/05/17

『ヴァイブレータ』/赤坂真理

4062735806 ヴァイブレータ
赤坂 真理
講談社  2003-01

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 震えているのは、衝動からか、それとも恐怖からか?「ヴァイブレータ」で思い出すモノとかその語感とかから、なんとなく「初原的な衝動」をイメージして 読んでいたけど、これはそういうことだけじゃなかった、かつて「言葉」を失った主人公の、「言葉」を失ったときからずっと続いていた恐怖心、それも「ヴァ イブレータ」。

・・・

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2006/05/16

『春のいそぎ』/立原正秋

4062753731 春のいそぎ
立原 正秋
講談社  2006-04-14

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 不破篤子・保江・数馬の兄弟のそれぞれの不倫愛憎劇。数馬は自分を捨てて資産家と結婚した敏江と、篤子は両家に嫁いでいながら起源寺の茶会で知り合った中畑と、保江は同じテレビ局に勤めている既婚のプロデューサーの高遠と。数馬は更に、資産家の妾の加代子とも関係を持っている。その発端となっているのは、昭和二十年、終戦の日の彼らの父の自決。
 終戦の自決と言っても、殊更にその意味を重く描かれてはいない。国に殉ずる思想に完全に囚われていた戦中の人であるという範囲を超えない。この事件が兄弟に破滅の思想を強く植えつけたというほどに色濃く言葉を重ねられてはないと思う。・・・

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2006/04/19

『欲しいのは、あなただけ』/小手鞠るい

欲しいのは、あなただけ 欲しいのは、あなただけ
小手鞠 るい


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 驚いた。文句なしにおもしろかった。今年いちばんおもしろかった小説を年末振り返ったとき、たぶんいちばんにあげるんじゃないかと今時点で思うくらいおもしろかった。相当純度の高い恋愛小説なのに、「文学的価値は・・・」などと小難しいことを一切考えずにただただおもしろいと思って読み進め続けた。もし、僕ではない誰かの気持ちがすっかり手に取るように分かったとしても、その人の気持ちをここまで克明に書ききることは僕にはできないと思った。すっかり手に取るようにわかってしまったら、そしてその相手がこの「かもめ」だとしたら、ここまで言葉にしようとしたらあまりの苦しさに胸が潰れてしまうと思う。それほどまでにひしひしと伝わってくる。文句なしにオススメ。

 ・・・

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2006/04/14

『イルカ』/よしもとばなな

イルカ イルカ
よしもと ばなな


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 子供を生むことの「当たり前」の側面と、現代において子供を生むことの「新しい」側面とが両方出てくる。家族の形に注目して読むと、「新しい」家族の形が書かれている。新しいと言っても、昔からこういうのは普通にあったんだろうな、とキミコが言う通り、特別「新しい」形ではないんだと思う。未婚で妊娠し、相手の男性には内縁の妻がおり、相手の男性と結婚する訳ではないが認知はする。つまりどこにも結婚は存在しない。こういうのがどんどん普通になっていくのかな、なっていくんだろうな、と今まで漠然と思っていたので、・・・

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2006/04/09

『その日のまえに』/重松清

その日のまえに その日のまえに
重松 清


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 愛する人が近く死んでしまう、というモチーフは、あんまりにも安易過ぎて(昔は「お涙頂戴モノ」と言って揶揄したものだ)好きじゃない。『その日のまえに』の帯を本屋で見たとき、重松清もこのモチーフを持ち出したか、とちょっとがっかりしたけれど、読んでみると「さすが重松清」と思わずにはおれなかった。重松清の、誠実で丁寧な筆致が、あまりにも有り勝ちなモチーフを、有り勝ちではあるけれど誰にとっても身近で真摯なモチーフなんだと胸に訴えかけてくる。

 ・・・

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2006/04/02

『ヌルイコイ』/井上荒野

ヌルイコイ ヌルイコイ
井上 荒野


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 藤田香織の解説が、あまりに型通りな解説だけれども大きな役に立った解説だった。ここ暫く響く解説に出会わなかったが、この解説は役に立つことがあった。
  それは、どうしてなつ恵が浜見に呼び出されるだけの不倫を続け、しかもそれが惰性ではなくはっきり好きだというのかということだ。理不尽でも、一方的で も、セックスだけでも、・・・

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2005/05/04

『体は全部知っている』(吉本ばなな/文春文庫)

体は全部知っている
吉本 ばなな

文芸春秋 2002-12
売り上げランキング : 24,568

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『幸福な朝食』(乃南アサ/新潮文庫)

幸福な朝食
乃南 アサ

新潮社  1996-09
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『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治/角川文庫)

銀河鉄道の夜
宮沢 賢治

角川書店 1996-05
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『上海ベイビー』(衛慧/文芸春秋)

上海ベイビー
衛 慧 桑島 道夫

文芸春秋 2001-03
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『パイロットフィッシュ』(大崎善生/角川書店)

パイロットフィッシュ
大崎 善生

角川書店 2001-10
売り上げランキング : 61,690

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 主人公は小さい出版会社に勤める四十代の男、山崎。年齢を重ねていくことに漠然とした不安を抱いている僕には、それだけで十分読み進めたくなる。四十歳の人間は、どんなことを思い日々を生きるのか。しかしこの小説が描写するのは、「今」ではなくて「記憶」、つまり「過去」にフォーカスされている。
 山崎の学生時代の記憶、小出版会社に勤めてからの記憶と、四十代の山崎の現在の身辺とがクロスして描かれる。学生時代の恋人との思い出や過ちの記憶、社会人になったばかりの頃の意気揚々とした青い言動の記憶、若い時代の様々な記憶が、登場人物達を苦しめている。
 例えば、新人サラリーマンだった頃、オッサン達を時代遅れと笑い飛ばしてガンガンやってきた山崎の友人森本は、その勢いで得た成功が、年齢とともに衰える勢いと共に失われつつあることに怯えて暮らしている。彼を苦しめるのは、かつてオッサンを笑い飛ばした自分の言動という記憶。その記憶が今オッサンとなった自分を苦しめるのだ。
 こういったタイプの、「弱い」人々が登場するのだが、数年前の僕なら彼らを「弱い」と一刀両断にしたことだろう。しかし、二十代に別れを告げようとしている今、もちろんこの種の「弱さ」を弁護する気はないものの、だからといって×印をつけようとは思わなくなっていた。程度の差はあれ、人は本来弱いものだ。それを
是とする訳でもないし、それを克服するのがあるべき姿だというつもりもない。単に、本来弱いもんだってことを、受け入れるようになったというべきか。
 この小説は、「人は記憶からは逃れることができない」という視点に立つと、確かに悲観的な小説かもしれない。人生には取り消せないことのほうが遥かに多いし、ありえない無駄だと判りきってることばかりだったりもする。ただ主人公・山崎は、表面的には失ったり別れたりしたことでも、記憶から消し去ることはできないのだから、ずっと一緒にいるのと同じことなのだと言う。安っぽい慰めかも知れないが、そういうものが信じられなければ、人生の最期の最期に残るのはただ深い悲しみだけのような気がする。ちなみにパイロットフィッシュとは、後に水槽に入る本命の観賞魚のために水質を整える役割を与えられる(実際にうまく循環サイクルにのって整うかどうかはわからない、そして整わなければ通常その水槽の水質は二度と循環サイクルには乗らない)魚のことである。

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『インストール』(綿矢りさ/河出書房新社)

インストール
綿矢 りさ

河出書房新社 2001-11
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 女子高生で受験生の主人公が、学校に行くのがイヤになり、たまたま数日前に自分の壊れたパソコンをあげた同じマンションの小学生のウチで、 エロチャットでバイトをし始める、という物語。
 ストーリーテリングはとてもうまくて、読んでる時間を感じさせないんですが、まず違和感があったのは、主人公と行動を共にする小学生のセリフ。風俗嬢のメル友がいるこの小学生、めっちゃくちゃしっかりした口調で喋るんですが、どうしても浮いてる。確かに、子供の頃から携帯とかパソコンとか情報量の多い時代の子供って、ましてメールなんてざらのこのご時世、幼い頃から妙に大人びた口調というのはわかりやすい表現かも知れませんが、同じ画一的丁寧口調と言ってもあんなふうには喋らんだろうという違和感を抱いてしまいます。 どんな時代でも子供はその時代の大人の子供時代よりも圧倒的に大量の情報のもとで生きていくけれど、やっぱり子供ってわかる口調なんですよ。そういう口調に書かれてなかったね。
 それからもうひとつ、これは小説としては致命的かなと思うんですが、この主人公がどうしても作者のことのように読めて仕方がないんです。本当はどうかわからないし、主人公全然違ってエロチャットでもなんでもござれって人かも知れませんが、読んでる限りはそう思ってしまう。物語は最後、主人公も小学生も、現実と向き合う力を湧き上がらせようとして終わるんですが、その物語で語られるすべてが作者の意思というか意見で固められてるように感じるんです。それと対立する、作者の本意ではない意見を持つ筋も登場人物も出てこない。だからあんまり深みがない。文藝賞の選考委員も、主人公を作者のことと思って「かわいいなあエヘヘ」ってくらいで選考してるんじゃないの?
 私小説ってのもあるけどさ。

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『日蝕』(平野啓一郎/新潮文庫)

日蝕
平野 啓一郎

新潮社 2002-01
売り上げランキング : 87,857

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 近代文学好きには嬉しい文体。やはり表現方法は大切だということを思い知らされました。十五世紀のヨーロッパという舞台設定を考えてもそうだし、過去の文学的モチーフをなぞると言う主題からいってもそうだし。
 宗教的背景を援用した小説はあまり読んだことがなかったので、「魔女狩り」「錬金術」といったシンボルも見慣れてはないはずなのに、それが指し示すところや、歴史上文学史上どのように扱われてきたのかといったところは、自然と理解できた。というよりも、知ってるはずのない知識なのに、既に知っている知識であるようなある種のデジャ・ビュだった。これは、この宗教背景に対する作者の深い理解の賜物か、それとも「宗教」という舞台装置のかぶせ方が甘くて、覆い隠しているはずのモチーフが透けて見えたからか?
 文学的価値はあると思うし映画にしたりするとおもしろいだろうなあと思いますが、つまりドラマはありますが後にはあんまり残りません。毎日の暮らしが文学という「学問」とくっついてないフツウの人には。僕はくっついてないので。まあでもこの小説は、過去の文学をリメイクするのが主題ですから。

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『N・P』(吉本ばなな/角川文庫)

N・P
吉本 ばなな

角川書店 1992-11
売り上げランキング : 125,764

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 正直、何を言っていいのか・・・。吉本ばななはお気に入りの作家の一人で、ほとんどの作品を読んでいる。読んでいたのは24,5歳くらいまでだから5年ほど前のことで、つまり5年間は作品を読んでいない。読んでいないまま、「好きな作家」「よかった小説」という印象を抱いていた。
 そして今回『N・P』を再読してみたけれど・・・当たり前かも知れないけど、これは「当時」おもしろかった小説、という感想がひとつある。異母兄弟や近親相姦やオカルトというテーマは、あの当時おもしろさを引き起こすテーマだった。再読だから新味を感じないのか、はたまた今では新味を感じないテーマだからなのか難しいとこだけど、たぶん世間一般の読者をそれほど強く惹きつけることのできる題材じゃないと思う。その分、「当時」おもしろかった小説、という感想になってしまう。
 もうひとつの感想は、なんというかえも言われぬ読後感がやっぱり残るということ。自分が最も好きな物語は、誰でも何度読み返しても何度も感動する と思うけど、『N・P』は心象の記憶にはっきり残っていたのと同じ感動をもう一度味わうことはなかった。けれど、感動ではないけれど不思議な読後感ー爽やかでもないし、明るいわけでもないし、前向きになれるわけでもないけれど、けして嫌な感じではない不思議な読後感は残ってる。
 小説は時代の気分を反映したいわゆる「はやりモノ」だという一方で、時代を超えて読み継がれる普遍の物語も確かに存在するわけで、その理由は「感動」にあると思ってたんだけど・・・本を読んで「よかったー」と言ってしまうその源を、「感動」って一個の言葉に括ってたのが間違いってことか。『N・P』は、人は思うがまま生きればいいという単純なことを静かにそれと気づかないように語りかけてくる。それと気づかないまま、不思議な読後感に漂ってる。そういうのもアリかと。

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『僕のプレミア・ライフ』(Nick Honrnby/新潮文庫) 『スローカーブを、もう一球』(山際淳司/角川文庫)

ぼくのプレミア・ライフ
ニック ホーンビィ Nick Hornby 森田 義信

新潮社 2000-02
売り上げランキング : 10,539

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スローカーブを、もう一球
山際 淳司

角川書店 1985-02
売り上げランキング : 20,096

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 『スローカーブ...』を再読しようとしてたとき、たまたま手にしたのが『僕のプレミア・ライフ』だった。イギリスでよっぽど売れた小説のように書かれていたので、ただのフットボール話じゃないのだろうと思って買ったらびっくりするくらいただのフットボール話だった。それも実話。作者の幼少時代から三十歳を超える現在までの、生活すべての中心に フットボールを持ってくるフットボールバカぶりを一冊かけて捲くし立てている。
 ただし、これは”小説”だ。 エッセイやルポではない。大きなドラマがある訳でもなく、組み立てられた物語がある訳ではない。作者はフットボールのお陰で文筆家になれたようなことは書いているが、あるのはその程度のドラマであって、フットボールのせいで女の子にふられたとか結婚したとか、そういったものは全くない。だけど、数十年つきあい続けたフットボールを通じて何かが見えてきて、それが読者に伝わるのだから、これはれっきとした小説だと思う。
 翻って『スローカーブ...』。初めて読んだのは確か大学生の頃で、スポーツ、それも高校野球が題材であるにも関わらず、努力とか根性とかとは無縁の内容で、シニカルな投手が主人公というところが新鮮で随分好きだった。しかし、今考えてみればこれはやはり”ルポ”であって”小説”ではない。何かが伝わってきた、とそう感じるその何かは、結局のところそれまでのスポ根モノが植え付けてきた「スポーツ精神論」ではない内容という新鮮味だったのだ。何が小説か、というのは難しいし僕がどうこう言えることではないけれど、少なくとも「前とは違う」ということが小説ではないはずだ。ましてそれが「新しい」ということではない。事実、『僕のプレミア・ライフ』は徹底してフットボール話なのにこれほど新しいではないか。
 ありきたりな意見かも知れないが、ここには「スポーツ」に対する歴史の違いが浮き彫りになっているように見える。もちろん、日本発祥のスポーツとあわせて考えなければいけないが、この違いは「スポーツ」だけでは済まないだろう。そこで自分の人生そのものを生きる『僕のプレミア・ライフ』と、単に自分の人生のある一面を投影するだけの『スローカーブ...』。その気になってみるだけと、本気になってしまうのとの差異はあまりにも大きい。

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.『愛より速く』(斎藤綾子/新潮文庫)

愛より速く
斎藤 綾子

新潮社 1998-09
売り上げランキング : 40,523

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 「いつの話やねん!?」というのが読んでる最中の感想。だって、シンナーとかスケバンとか出てくるし。こないだ、東京で暴走族が人を殺したってニュース聞いて「そんなんまだおったんか東京にも!」ってびっくりしたけど、まさかスケバンはいるまい。
 スケバンはともかく、いろんな意味で事実であってほしい小説。あるいは、それ以上のことはないかも。
  1980年前後が舞台らしく、小学生の頃から自分のカラダに(どうもセックスではないらしい)興味があるところから始まって、ガンガン突っ走っていく物語。主に中学生時代の話と、大学生時代の話で、高校生時代は記憶に残ってないけど、中学生の妊娠・中絶とか、援助交際とか、コギャルだのなんだの言われたけど、その昔からそういうことはあったのねって感じで、ある意味ほっとする材料。文中にも、深読みすれば、女子大生ブームも女子高生ブームも援交もコギャルも、セックス目当てのオヤジたちが何かと捻り出して「ほらほら当たり前なんだよ、ほらほら乗り遅れるとだめだよ、キミタチ」と嗾けているようにも思ったりして。
 オンナが本当にこういう生き物だったら随分気が楽になるのでは。僕が過ごした中学高校という時間は、セックスとは無縁の世界だった。セックスと無縁の恋愛ができるのはあの時までだから、貴重な時間だったに違いない。この小説のすっ飛び振りを読んでそう思う。なのに、この本の主人公は、中絶の相談に来た女子中学生に対し、一箇所だけありきたりなセリフを吐いて白けさせてくれるのだ。

 ”そう言うと、彼女は隣のテーブルに移って、テレビゲームをやり始めた。何というか、もう私には全く理解できん世代が誕生していたんだ。”

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『流しのしたの骨』(江國香織/新潮文庫)

流しのしたの骨
江國 香織

新潮社 1999-09
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 この本を買いに行ったときは、TVドラマのラブストーリーのような、平和で安心感のある小説が読みたかった頃で、背表紙のあらすじを片っ端から読み漁って、いちばん平和そうなヤツを買ったつもりだった。
 "そよちゃん"の離婚の理由がまったく語られない。語られないまま、両親も他の姉妹・弟も受け入れる。もちろん、この家族の中では、なんとなくかちゃんとか、判っているんだろう。僕は家族を、こんなふうにいつでも味方してくれると信頼してただろうか?どうも僕は身内に辛い。
 雑煮の作り方とか、朝食はパンかご飯かとか、100の家庭があれば100のルールがある。だから家族が何をやっても、家族は味方してくれる。その信頼は自分の胸のうちにある。"そよちゃん"を見ながら、そう自戒してみた。ああ、早く子供が欲しい。家庭が欲しい。

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