2017/08/19

『みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―』/川上未映子 村上春樹

B071D3TBYT みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―
川上未映子 村上春樹
新潮社  2017-04-27


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  • 「無意識」と「意識」という言葉の使い方が、混乱しているというか揺れているというか、そういう場面がいくつかあって、そこがいちばん印象に残った。p159の「そういう無意識中心の世界で、人々は個人ではなくむしろ集合的に判断を行って生きていた」のところなんかは、『道徳性の起源』で、社会的な判断は人間に特有ではなく、また、「知性」によってもたらされるものではなくある種の動物(たち)には元来備わっている「本能」だ、という説を知った直後だったので、無意識中心の世界で「善き」判断が行われるのが「集合的」に行われる、というところは詳しく考えたいなと思った。
  • 近代的自我を取り扱うのに興味がない、というのは、「実は僕はほんとはこんな悪い人間なんです」みたいなのを仰々しく開陳することに何の意味もない、みたいに解釈した。
  • p248の問答は、かなり苦しく感じた。たまたま、というのは無理があるんじゃないかなあ。それに、ここの「無意識」がかなり象徴的。
  • 神話や歴史の重みそれ自体が無効になってないか、という問いかけは凄いなあと思った。そしてそれが無効になっているのではと感じてしまう状況になっているのは、言葉を使う側になったときの言葉を使う姿勢にそれぞれみんな課題があるのだと思った。

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2017/07/23

『法人営業 利益の法則』/グロービス

グロービスの実感するMBA 法人営業 利益の法則 (ビヨンドブックス)
グロービスの実感するMBA 法人営業 利益の法則 (ビヨンドブックス) グロービス

ブックビヨンド  2015-04-10
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「法人営業」とは何か?社会人になって以来、それしか関わっておらず、体系だって学ぶこともなかったので、一度「法人営業」について知ってみようと幾つか書籍をピックアップしてみた。昨今、中古や電子書籍で安価に入手できるので非常に便利。

利益を意識しないと、企業活動として成り立たない。利益をKPIの中心に置くと、売価で勝負できないため、顧客に選択してもらうための「理由づくり」がより重要になる。この観点で、セールスサイクルを捉え直し、理解することが要点。カスタム品と標準品のストーリーも常に認識する。

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2017/02/04

『<インターネット>の次に来るものー未来を決める12の法則』/ケヴィン・ケリー

4140817046 〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則
ケヴィン・ケリー 服部 桂
NHK出版  2016-07-23


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  • 一番印象に残ったのは"FILTERING"。少し他の章と混同しているかもしれないけれど、情報は複製容易ということもあり今以上にどんどん流れるようになり、もはやストック仕切れないものとなり、今眼前に現れた情報だけが知覚の対象となるようになる。そうなると、何を選ぶかというより何を選ばないか(FILTER)が重要となり、そのフィルタが個人の個性そのものとして認識されるようになるだろう、という説。
  • ACCESSINGは、デジタル・トランスフォーメーションと業界で言われていることの具体的な理解ができるようになったと思う。
  • 情報が圧倒的な量になりその希少性がなくなったとき、価値があがるのが人間が注意を払っているという情報。
  • 答えの質量ともに飽和した世界では、質問の仕方ーQuestioningが最大のちからを持つ。

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2017/01/08

『テロルの真犯人』/加藤紘一

4062137380 テロルの真犯人
加藤 紘一
講談社  2006-12-19

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改憲・安保法制に始まり日本会議周辺の読書を続ける中で知った一冊。2006年ということは10年前で、10年前の時点ですでにこんなにも状況は悪くなっていたということに驚くとともに自分の意識の低さを恥じる。

一番のポイントだったのは、2006年7月20日付けの日経新聞の昭和天皇発言メモに関する部分。これは私もよく覚えている。元宮内庁長官・富田朝彦氏のメモで、昭和天皇が東條英機らA級戦犯の靖国神社合祀に明確に不快感を示し、そのあとで、「それが私の心だ」と述べられたというメモ。まず、実際にそれ以降昭和天皇は靖国神社を参拝していないことからメモの内容は正しいと思えるので、これを捏造と言う側のほうが何らかの意図を持っていると考えるのが自然。次に、靖国神社そのものの性格で、靖国神社を擁護するポジションの人々は、日本人の国民性には亡くなった方はその立場の違いや考えの違いに関わらず「英霊」として崇敬する精神があるというが、”靖国神社は政府軍、官軍、与党軍のための神社である。つまり、同じ日本人の戦死者でありながら、時の政府側すなわち天皇陛下の側に敵対した戦死者は排除されている”(p208)のであり、決してすべての戦死者を均しく扱っていない。むしろ、「太平洋戦争での犠牲戦死者」を祀っていることを言わば「人質」にとり、強硬にA級戦犯を合祀して話を混濁させているだけだと思う。おまけに、その「敵味方の線を引く」基準である天皇陛下の意向は無視する。

ニクソン訪中の際、事前にその情報を伝えられなかった理由を「日本は機密を守れない国である」と言われたトラウマが、特定秘密保護法の遠因なのかもしれないが、日本の政治のおよそ汚いところは、そういう切実な要件を利用して国民の権利をなんとか制限しようと働くところ。「日本の価値の混迷をもたらしたのは、明治維新そのもの」(p231)という観点は思った以上に重要。

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2016/07/21

『日本会議の研究』/菅野完

4594074766 日本会議の研究 (扶桑社新書)
菅野 完
扶桑社  2016-04-30

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 一番判らないのは、日本会議はなぜ天皇統治を実現する憲法改正を掲げないのか、ということだった。彼らの情熱が、(あるのかないのか判らない)「古来伝統の日本」の復活を目指すというなら、その姿は天皇による統治でしかないと思う。それもちょっとよく考えてみると、実際に天皇が政治を行っていたのって何時代までだっけ・・・?となるのだけど、それでも「古来伝統の日本」と言い、神道の世界観を持ち出すなら、やはりその「古来伝統の日本」の姿は天皇による統治国家で間違っていないと思う。

 だけど、日本会議が執心しているのは優先度から順に、緊急事態条項の追加、家族条項の追加、自衛隊の国軍化となっていて、基本的人権の制限等々重大な問題があるにせよ、天皇主権は見当たらない。つまり、「古来伝統の日本」とか神道とかを担ぎ出すけれども、目指したいのは天皇の権威だけを利用した明治の統治体系であり、大日本帝国憲法の復活で、彼らが目指しているのは「古来伝統の日本の復元」でも何でもなく、大日本帝国憲法の復活による独裁政権体制なのだ。

 安東巌のように、「谷口雅治先生はこう言っている・・・」と他人の権威を間接話法で利用するスタンスは、直接自分の言葉で語らないその理由を考えるとわかるように、必ず悪意を伴っている。自分の言葉で語らないのは、責任を負いたくないからであり、自分の言葉では他人を動かすことのできない卑小な言葉しか持ち合わせないからだ。摂関政治から始まる、天皇の威を利用する政治のように、誰かの言葉を利用するスタンスは悪意に満ちている。正面切って行動できない目的を達成するために他人の権威を借りるのだ。だから日本会議も、天皇を元首に留めて、天皇を主権とせず「権威を利用できる対象」に留めて独裁体制を実現したいのだ。第一、他人の言葉の借用は、その解釈はどうにでもできるから絶対に単純肯定してはいけないものなのだ。ちょうど、日本会議の支援を受けている現内閣が解釈改憲という手段を実際に行使したじゃないか。

 しかし、安東巌しかり伊藤哲夫しかり百地章しかり椛島有三しかり、家族家族というけれど自分たちは家族をどれだけ大切にしているのだろう。そもそも、天皇主権なのかどうなのかに考えが及んだけれど、彼らの改憲への情熱はそんな高尚なものではなくて、学生運動の時代に日陰を歩んだ怨恨、日本国憲法が定める自由を謳歌できなかった、いわばイケてるグループに入り込めなかったイケてない連中が、その悔しさやるせなさを晴らしたくて、自分たちが慣れ親しんでいてシンパシーを感じる大日本帝国憲法を復活させたい、と思っているだけだと思う。

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2015/02/08

『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』/カレン・フェラン

4479794336 申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
カレン・フェラン 神崎 朗子
大和書房  2014-03-26

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 木を見て森を見ずというのか、判らないことや未来のことを少しでも判ろうと精緻に精緻に分析し問題を定義し解決策を生み出し、というサイクルを回し続けた結果、トータルで恐ろしく失敗してました、ということをコンサルタントが詳細に具体的に語る一冊。

 自分の勤める会社が株主資本主義とコンサルタントを活用した経営の権化のような会社なので、最初から最後まで興味深く面白く読みました。インセンティブ制度とか、肌感覚的になんかおかしいよな、と思いつつも「成果主義」「実力主義」と言われると反論のロジックを組み立てられずもどかしくなるところを、明瞭に批判を加えられているところ等々、読みどころは数多いです。

 最もクリティカルだったのは、「現在、広く一般にはびこっている誤った考え方ー「数値データで計れないものは管理できない」(もちろん、できる!)」。肌感覚的になんかおかしいよな、と思いながらも既にすっかり洗脳されてしまっていた自分に気づいた瞬間。メトリックが必須、と言い切ってしまうと、その厳然たる姿勢、冷徹な響き、仮に数値が到達しなかった場合は己の責と受け止めると宣言しているような暗黙の了解、そういったものが入り混じって「プロフェッショナリズム」と錯覚してしまうが、数値は計測できるのは当たり前の話で、数値化できないものにどうトライしていくかのほうが遥かに困難で「プロフェッショナル」なのだ。

 本著も『仕事をつくる全技術』同様、具体策への落とし込みがきちんとあって、概念論で終わってません。特に「実験結果を見定める」と「結論を出す」と「ステップを繰り返す」の考え方は自分にとって重要と思った。PDCAサイクルとの差異を意識。実験結果と結論は違うものだということをよくよく理解する。ベストプラクティスの無効性にも繋がる。もう一つ興味深かったのはフランクリン・コヴィは無批判に登場したこと。全く触れていないので、一度読まないといけない。

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2014/08/09

『ヤバい日本経済』/山口正洋・山崎元・吉崎達彦

4492396047 ヤバい日本経済
山口 正洋 山崎 元 吉崎 達彦
東洋経済新報社  2014-08-01


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東洋経済ONLINEの「やっぱり、アベノミクスは蜃気楼?」を読んだ流れで購入。アベノミクスは成果を上げているのか、という話題が最近あまり見なくなっていたところに新鮮だったので。

やっぱり、アベノミクスは蜃気楼?」でポイントと思ったのは:

  • 消費支出が前年同月比5月がマイナス8.0%、6月もマイナス3.0%
  • 機械受注が前月比5月マイナス19.5%
  • 日経平均が15,000円を維持している資産効果が全体を底上げ
  • 公共投資4兆円の恩恵を受ける業種だけ好調
  • 消費税上げの前は社会保障がままならないと言っておいて増税後は公共投資にばらまいている

これらを直裁に書かれていたので本著を読もうと思ったのですが、出だしは「予想を覆したアベノミクスの脱デフレ効果」でした。ただ、高額消費が増えた理由として、団塊世代の投資信託の価格回復が挙げられていて、上記の「日経平均が15,000円を維持している資産効果が全体を底上げ」と一貫していて納得しました。

しかしながら、日本経済全体が回復を実感できるのは、地価が上昇したとき、つまり、バブル前に購入してローンがまだ残っているような不動産の価値が今は「元本割れ」状態だけど、これが回復したら、皆お金を使うようになる、と解説されていて、理屈は理解できるけれどどうしてもこの理屈に素直に首を縦に振れない。その理屈だと、先の投資信託の話も併せて、消費の主役は団塊世代初め高齢者ということになる。高齢者は日本のボリュームゾーンだからそれは一面仕方がないとしても、資産効果によって高齢者の消費が好調になることが、20代~30代の若者世代の経済に波及するだろうか?地価の上昇によって経済を上向きにするシナリオよりも、下落した地価をコスト減と評価するほうが、今後の日本経済にとって望ましい方向ではないか、という疑問が持ち上がる。これは成長を是とするか非とするかという根本的なところに関わってくるので簡単に考えを纏められないが、地価が上昇しなければ日本経済は復活できないというロジックは、実は乗り越えなければいけない課題のような気がする。


そこへグッドタイミングというべきか、今日の日経朝刊にこんな記事。やはり、日本経済のマクロ指標が悪いというのは周知の事実なのだ。


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他に面白かったのは、ロシアが付加価値が分からない、希少価値しか分からない、という下り。なるほどね、と納得。

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2013/08/10

『夏の入り口、模様の出口』/川上未映子

4103256214 夏の入り口、模様の出口
川上 未映子
新潮社  2010-06

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さすがだな、と思ったのは『おめでたい人』、土浦市の連続無差別殺傷事件の犯人が語る「哲学的思考」のその「哲学的センスのなさ」を明快な文章で説明してみせるとこ。そして、「なぜ人を殺せる考えの持ち主が現れるのか?」という思考方法の限界を定義して、「我々はなぜ殺せないか」を語る必要がある、というところ。理解できないからとその言葉に耳を傾けない姿勢は批判されるべきではあるけれども、哲学的思考が世に有益な作用を及ぼすためには、これ以上耳を傾けても仕方のない事柄を見抜く力と、それに対抗しうる視点で思考するセンスが必要ということかな?目から鱗です。

p13「こんな気持ちに負けないためには更なる希望を見つけて育てるしかないのかも知れないけれど、当然とされているものには逆の価値観で挑むのも一つの方法」
p25「言うべきは言ったほうがいいんですか問題」
p28「彼はなぜ殺したか、ではなく、我々はなぜ殺せないか、という側面から語られる言葉もおなじように準備するべき」
p35「「いつか絶対に死んでしまう!」という身もふたもないあまりにも絶対的な事実」「どばっと飛び起き、部屋の電気をつけて、自分に身体があることを確かめて恐ろしい興奮を逃がす、でもまだこわい」
p60「こうしたある種の感動には批評も目論見も追いつけない、という事実をマイケルの踊るのを精読ならく精観して知り、またため息をつく」
p133「世間は手を替え品を替え物語を用意して、最近は「言い切る」形で捏造して煽ってくるけど、お待ちください。この人生の主導権はいつだってこっちにあるのだからそういった物言いはすべて堂々と無視する力を持ちたいものだ。自立なんてのはお金を持つことでも独立して新しい家族をもつことでも世間の感情に自分の感情をすり寄せることでもなくて自分で考えた価値観を自分の責任において遂行するだけのことなのだった」

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2013/04/25

『WIRED VOL.7 GQ JAPAN.2013年4月号増刊」/コンデナスト・ジャパン

WIRED VOL.7 GQ JAPAN.2013年4月号増刊
WIRED VOL.7 GQ JAPAN.2013年4月号増刊
コンデナスト・ジャパン  2013-03-11
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「未来の会社」目当てで買ったけど、「Googleの挑戦」と「Facebookの進化」という、二大検索についての記事が大変面白かった。Google以前を知っている僕は、「検索と言って、これ以上何が必要なのか」と考えるけれど、Google以後の、Google既存の世界から見ると、今の検索はまったくまだ「検索」ではないのだ。「僕が好きなものを好きな人」を、どうすれば検索できるだろうか?
個人的な感覚では、「検索」は「思い出し」のプロセスと重複し始めている。何かを思い出そうとするとき、思い出そうとするよりも先に検索しているようなケースがある。実際に検索していなくても、検索しようとまず頭が考えていることがある。これはよくないことだと常々思っているけれど、Google既存の世界では大した問題ではないのだろうか?いや、そんなことはないはずだ。Googleによる検索のほうが遅いケースが多いから。

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2013/01/14

『速習!ハーバード流インテリジェンス仕事術 問題解決力を高める情報分析のノウハウ』/北岡元

B0079A3GX2 [速習!]ハーバード流インテリジェンス仕事術 問題解決力を高める情報分析のノウハウ
北岡元
PHP研究所  2011-01-31

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kindleストアの日本版がオープンしたので、何か1冊買ってみようと思い、選んだのがこれ。よく言われるように、日本のkindleストアは紙書籍に比べて大きく安価な訳でもないし、新刊が多くある訳でもないので、「kindleでなければ」という本を選ぶのは結構難しかった。敢えて「kindleで読む」ということを想定すると、僕の場合、kindleで読むのは概ね通勤時間が最適と言える。なぜかというと、特に行きの通勤時間は混んでいるので、鞄から本の出し入れをするのが大変だから。そして、30分弱の時間は、長めの小説を読むのには不適と経験上判っているので、ビジネス本等が向いている。そこで、少し古めで、1,000円前後のビジネス本を買うのがよかろう、という結論に。
ところが盲点がひとつあった。僕の持っているkindle 3は、日本のkindleストアで買った書籍をダウンロードできない。日本のアカウントに、kindle 3を紐付できないのだ。アカウント結合したら解決なのかも知れないけど、洋書は洋書で入手できる道を残しておきたいので、androidにkindleアプリを入れてそちらで読むことにした。

結果を言うと、「ビジネス本」をケータイkindleで通勤時に読む、というのは悪くない。ビジネス本は基本的にはノウハウを吸収するものなので、机に向かうような状況じゃないところで読むほうが頭に残ったりする。読み直したいときに、片手ですぐ読み直せる。小説は、小さい画面でページあたりの文字数が少ない状態で読むとストレスがあるが、ビジネス本はフィットすると思う。

ところで本の内容自体についてですが、意思決定に関するノウハウの基本が非常にコンパクトにまとまっています。しかもそれらがすべて、「エピソード」という例を元に解説されるので、理解が早いです。個人的には「盲点分析」が知っているようで知らないということが判り、使いこなせるよう読み込みました。

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2012/12/08

『読書人の雑誌 本』/講談社

出版社のPR小冊子を初めて手に取ってみて、こういう冊子ってこんなに充実してると初めて知った。これからなるべくチェックしようと思う。

たまたま立ち読みしたのが『』で、目次に梨田昌孝とあったので思わず(近鉄ファンだったので)パラパラっと捲って読んでみた。近鉄がリーグ優勝した2001年の「いてまえ打線」は、もともと監督が志向したものではなく、その前年に機動力野球を掲げたものの、あまりにも盗塁失敗率が高いため、チームにあった戦術に転向した結果だと梨田氏が語っていたのが印象に残る。集団をゴールに導くためには、自分が当初これだと掲げた錦の御旗を取り換えることも時には必要で、それには明瞭なロジックを経て判断しなければいけない、ということを学んだ。

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2012/10/27

『プラハ冗談党レポート: 法の枠内における穏健なる進歩の党の政治的・社会的歴史』/ヤロスラフ ハシェク

4798701246 プラハ冗談党レポート: 法の枠内における穏健なる進歩の党の政治的・社会的歴史
ヤロスラフ ハシェク Jaroslav Ha〓sek
トランスビュー  2012-06-05

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第一次大戦前の1911年、ボヘミア王国プラハに、人気作家ヤロスラフ・ハシェクが新党を設立して選挙戦に挑んだ。その名も「法の枠内における穏健なる進歩の党」!

つまりは「冗談党」な訳だけど、実際に立候補して選挙戦を戦って、その活動っぷりの記録を一冊の本にしたのが本作。もうめちゃくちゃに面白いです。帝国という国家権力、その国家権力の維持の仕組と成り下がっている政党政治、それらを、外野ではなく実際に政党を作って立候補して選挙戦を戦って、スキャンダル告発やらなんやら、無茶苦茶にやりこめていく。でもその政党の政治活動と言ったら、プラハの居酒屋に集まって飲んだくれて、これまた滅茶苦茶な弁舌を捲し立てる、という具合。そのビールの金にも事欠くような集団が、体裁は整っているけれど、スタンスは冗談みたいな選挙戦を繰り広げるのです。

居酒屋でビール飲みに集まることが政治活動なのかどうなのか?知識としては持っている、ヨーロッパの「サロン文化」に似たようなことか、と合点してしまうこともできるし、そもそも冗談なんだから酒飲みながらやってんじゃないの、と言う気もする。でも、「広場のないところに政治はない」というように、政治って、政策とか投票とか、実行内容や仕組から考えがちだけど、原点は「人と人がどんな話をするか」というところだと思う、ので、この「口達者」な新党党員たちの八面六臂ぶりが眩しく見えます。

そう、帝国という危なっかしい体制だから、私服刑事とか密告者とか、現代の日本では考えられないような危険な相手が普通にいるというのに、彼らはその口八丁ぶりで、そんな「当局」側の攻撃さえ、逆に返り討ちにしてしまう。その鮮やかさにびっくりするとともに、そんな弁舌を持ちながら、まともに選挙をやる訳ではないところに、不思議よりは面白さを強烈に感じてしまう。

僕らはいつの間にか、「望みがあるなら、直線的に、直接的に、行動して結果を出さなければ、意味がない」と思い込まされていたと思う。確かに、成果の出ない行動は、やってるのかやってないのか分からないことには違いない。でも、何かを変えるために、しゃかりきになって青筋立てて「あいつが悪い」とやるのが果たして正解なんだろうか?そこまでやっても変わらないのだからよりもっと強力に、となってしまうのもわかるし、正面切ってやらずにコネとかなんとかで裏から手を回してネゴして、みたいな日本的なやり方がとんでもない数の弊害を招いてきた歴史も知っているから、どうしても、しゃかりきにならないと正々堂々としていないと思ってしまう。でも、第一次対戦前のボヘミア王国、今の僕らよりももっと閉塞していたに違いない政治状況で、こんな風に打って出たハシェクの行動を粒さに読むと、「維新」のなんたるか、その神髄を教えられた気になったのだ。

日に日に困難な政治状況になっていくような今こそ読むに相応しいと思います。

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2012/08/12

『Think Simple-アップルを生みだす熱狂的哲学』/ケン・シーガル

4140815450 Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学
ケン・シーガル 林 信行
NHK出版  2012-05-23

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 個人的に微妙な状況下で読み切ったこともあり、ビジネス書と思えないくらい感じ入ることが多かった。その上、自分が勤めている会社のことが、落ち着いた筆致で批判的に書かれていることもあり、それに対して腹立ちとか憂鬱とかではなく、深く考え込んでしまうことになった。

 「シンプルであること」が強力なスタンスということは、誰しも認めることだと思う。なのに、なぜ、単に「シンプル」でいられなくなるのだろう?ひとつ根底にあるのは、「孤独に対する恐怖に打ち勝てない弱さ」だと思う。人は必ず組織したい。群れたい。友達なら、多いほうがいい。そうやって輪を広げていった結果、収集がつかなくなることはよくあるし、収集がつかなくなっている集団もたくさんある。多くの人が関連した中でも、自分の意見をきっぱり貫き通せる程、どの人も強い訳ではない。かくして、「シンプルさの親友は、有能な少人数のグループだ」という結論が導かれる。
 僕にとってこの命題は、『来たるべき蜂起』を読んだ時にある程度解消されている-コミューンは分割されなければいけないのだ。一定数以上になったコミューンは、メンバーの誰しもがリーダーシップを発揮できる程度の規模にまで、分割されなければならない。これこそが、人が再び人として生命を取り戻す術なのだ。ただ、それが怖くてできないから、人は甘んじて複雑性を受け入れ、シンプルがいいことを判っていながら、複雑の存在理由をあれやこれや捻りだしては受け入れている顔をしているのだ。

 製品面で見た場合、「カスタマイズ」がひとつのブランドになっていた企業は少なくない。個人個人の趣味嗜好に応じた製品を提供できる、多品種少量生産が製造業の進むべき道だと30年前には確かに言われていたと思う。ところが事態はそうは進まなかった。個人個人はそれほど「個性」を持たなくなったのだろうか?それとも、より他と「峻別」できる、決定的な差異だけで事足りるようになってしまったのだろうか?僕はそうは思わない。時代は、状況は、より、微細な差異で差別化を図り、微細な差異を感じ取れることが、美意識に繋がるようになっていると思う。ではなぜ、スマートフォンはiPhoneだけで事足りそうに状況は進んでいるのだろうか?iPhoneは、個人個人が欲する差異の実現方法を、ユーザにとってより簡素なオペレーションである「アプリのインストール」というやり方で実装した、つまり、複雑性の実現方法をシンプル化したところに、ポイントがあったということだろうか?

 アップルのやり方は、どんな組織でもどんな状況でも使えるようなメソッドではもちろんない。その中心には「有能な人の集団」という大前提があるからだ。そして、「有能な少人数の集団」があるカテゴリでそのカテゴリを牛耳れるとしたら、その他大多数は職にあぶれることになる。だから、このメソッドは、けして人々を明るい未来に導くメソッドではない。それでもこの本の主張が悲壮な響きを持たないのは、やりたいことの規模が地球規模であれ町内会規模であれ、やりたいことにストレートに進むことの正当性に自信を持たせてくれるからだ。

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2012/05/05

『反哲学入門』/木田元

4101320810 反哲学入門 (新潮文庫)
木田 元
新潮社  2010-05-28

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解説で三浦雅士氏が「若い時期にこの本に出会える人がまったく羨ましい限りです」と書いているが本当に心底そう思う。「哲学」という「ものの考え方」がどんな道のりを歩んできたのか、その要諦を余さず教わることができる凄い一冊だと思います。それだけではなく、これまで日本で流布してきた哲学にまつわる様々な言葉や解釈の誤りを、鮮やかな切り口で正してくれるので、僕のように趣味で哲学書を読んで理解を深めようとしている人にとっても必読だと思います。

「反哲学」というのは、「哲学なんかクソくらえだ!」というスタンスを指しているのではなく、「それまで哲学と呼ばれていたものに対して、それを根底から転覆する」ことを企てている哲学、という意味で、具体的にはニーチェ以前と以後は、同じ「哲学」と呼びならわすのはおかしい、ニーチェ以降は「反哲学」だ、ということで、その説明が非常に理解しやすい。それと共に、これまで読んできた哲学書の言葉の難解さ具合とか、「なんで”脱”構築なんだ?」とか、そういうところがみな理解できるよう、用語のレベルは落とさずに、分かりやすく解説してくれてます。

哲学というのは非常に馴染みが悪いですし、直接的に何かの役に立つようなものでは決してないし、生半可にかじられて「あの高名なナントカがこんなふうに言っているのだ」的に使われることほど害悪なことはないのだけれど、ニーチェが最終的に「美」をもち出しているところだとか、哲学ということは経済に限らず芸術の領域だったり、実は生活全般に深く浸透してくる「考え方」なので、少しでも触れておくことは悪くないと思います。

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2012/03/18

『乳と卵』/川上未映子

4163270108 乳と卵
川上 未映子
文藝春秋  2008-02-22

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 豊胸手術をもくろむ母・緑子と、自分の性を受け入れられない娘・緑子。緑子は言葉を話さず、日記には精子と卵子と乳。世の中の辛いこと悲しいことは生まれてくるからだから、自分は子どもは絶対産まない。お母さんは私を産んだから大変でも当然だと思ったけれどそんなお母さんも自分で生まれた訳じゃないんだからそれもお母さんのせいではないというところまで突き詰める緑子。そんな緑子は声を発さず筆談し、言葉で表せない言葉はないのか、言葉を言葉で表すと一周するんじゃないのかと電子辞書を繰る…。

 生命の輪廻と言葉の輪廻。ほんとのことはどこかにあるのかないのか。そんな根源的な話題をぎっしり詰め込みながら、母と娘が遂にぶつかり合うクライマックスでお互いではなく自分にぶつけあうのは生卵。もう徹底していて清々しい!

 この事の重大さは、「ほんとのとこ」は女性でないとわからないのだろうなと思ってはいますが、それを見透かしてか「言葉」という要素を哲学的に入れ込んでいるあたりがあざといくらい見事で、最後まで面白かったです。

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2011/12/31

『あたまの底のさびしい歌』/宮沢賢治・川原真由美

488008347X あたまの底のさびしい歌
宮沢 賢治 川原 真由美
港の人  2005-12-01

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 自分の死後、手紙というものが公にされるのって、どんな気持ちなんだろうか?と少し胸が苦しくなる。自分だったら相当厭なことだなあと思うけれど、本著は敬愛する宮沢賢治の、作品から知る人物像ではない、作品を作らんとする人間である宮沢賢治を知れて、作家とは作品だけで向き合うのがよいのか、作家という人間全体を知ろうと様々な資料に当たるほうがよいのか、考えは巡る。けれどとにかく、この本を手にしたことは最高によいアクションだったと思う。

 幾つかの手紙で、賢治は相反する概念を並列にする。「恋してもよいかも知れない。また悪いかもしれない。」「だまって殺されるなり生きているなりしよう。」「すべては善にあらず悪にあらず」等々。こういう賢治の言い回しでわかるのは、世の中のどんなことも一義的ではないと肝に銘じる賢治の意志の強さ。どう考えたってそれは善いことでしょう(または悪いことでしょう)という行為でも、それは悪いことだ(もしくは正義だ)と訴える、それも自分にとっての都合・利得で言うのではなくそう信じて訴える人がいて然るべきなのだということを、賢治は強く肝に銘じようと努めていたのだと思う。もしくは、善とか悪とかを決めるのは、自分でもなければ誰か別の人でもない。そういう価値判断は、人間が下すべきものではない、と。
 そうやって、諸々様々の視点が入り乱れることを賢治は許容し、その結果当然に混濁させてしまうことになる世界の中で、「しっかりやりましょう。」とただひたすらに繰り返す手紙を賢治は書く。この「しっかりやりましょう」の反復に、僕は胸を打たれる。すべてを認めてしまったら、後は「しっかりやりましょう」とお互いに声を掛け合うのみなのだ。

 賢治が生きた時代は日本にも資本主義が定着していく明治後半~昭和初期なので、どれだけ賢治が崇高な理念を持っていてそれを語れたとしても、勤労に励むことが社会の通念に沿っている時代で、賢治自身も「働いていない自分、こんなんじゃダメだ」と苦悩したことが、手紙の端々から読み取れる。最近、仕事に関する書籍を二冊読み、その歴史、経済の仕組に応じたことが倫理観となって普及させられていくことを学んだところなので、その重さを痛感する。作家の側面を知るということの意義は、こういうことなのだと思う。

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2011/02/25

『先端で、さすわさされるわそらええわ』/川上未映子

4791763890 先端で、さすわさされるわそらええわ
川上 未映子
青土社  2007-12

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 川上未映子は先日の『ヘヴン』が初読みで、関西人の人はたぶん同じように思った人多いような気がするんだけど、川上未映子が芥川賞取って紹介されて、その紹介文で引用されてる彼女の独特突飛な文章が関西弁混じりなのを見て、「あ、なんか予想つくな」と思って手を伸ばすのを躊躇ってました。特にこの『先端で、さすわさされるわそらええわ』なんかは、もう、スピード感とか支離滅裂感とか、たぶん、関西弁ネイティブじゃない人が感じるソレとは絶対違う、「アンダスタンダブル?な支離滅裂感」って言えばいいのか、そんなカンジだろうなと思ってた訳です。それにしても、「先端ってたぶんアレのことだろうなアレ、まさかアレ」と思ってたらほんとにアレだったのでニンマリ。ニンマリ?違うな。

 貼った付箋んとこをメモに取る前に返却期限が来ちゃって(正確には過ぎちゃって)返却したので引用しながら書けないんだけど、読み取りが難しい章と分かりやすい章がはっきり分かれた本でした。「先端で、さすわさされるわそらええわ」がやっぱりいちばんしっくりきた。スピード感も支離滅裂感も完全シンクロ。すいすい読めました。後は『彼女は四時の性交にうっとり、うっとりよ』と『告白室の保存』がすいすい。なんだエロい系ばっかりか。

 一方でたまらんかったのが『ちょっきん、なー』で、難しい以上に生理的にかなり気持ち悪かった。グロいことを書いてる訳でもなんでもないんだけど、なんというか血が流れるということのリアルに感じられるさ加減というか、おんなじことを描写したとしても、読んでて「かんべんしてー」と思うようなことになる人とならない人がいる。『ちょっきん、なー』は、もう一行一行からこっち側に体をいじくってくるような気持ち悪さがあって、あれはやっぱり女性ならではなカンジなんだろうか? 

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2011/01/23

『ヘヴン』/川上未映子

4062157721 ヘヴン
川上 未映子
講談社  2009-09-02

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初「川上未映子」。

どうして女性というのは、自分は忘れられたくないのだろう。自分のことを覚えていてほしいのだろう。一般的には男のほうが、いつまでも過去を覚えていると非難めいて言われるのに。でもその疑問の答えは常に出ている。女性は、自分以外はすべて他人なのだ。

読み終えて思ったのは、主人公の「僕」と、コジマを入れ替えて書いてほしかったなということ。入れ替えるってのは、主人公を女の子で、コジマを男の子で書いてほしかった。コジマを主人公にするって意味じゃなくて。川上未映子が女性であるだけに、主人公を男性ではなく女性にしてほしかった。

読み終えてなんでそんなことを思ったかというと、途中でひとつだけ違和感を覚えたところがあったから。それは、「僕」が斜視は手術で簡単に治るんだということを話した際のコジマの振る舞いに始まる。男性はどうだとか女性はどうだとかの決めつけはあんまり褒められたものではないけれど、「しるし」を大事にするコジマの気持ちというのは僕にはとても分かりやすく「女性」だった。シンボルに拘る、シンボルを大事にする女性。それに対して「僕」はそこには本質はないと感じていて、だからラストで、「誰に伝えることも、誰に知ってもらうこともできない、それはただの美しさだった」と嘆息する。でも「僕」のその本質感を、彼を苛めていた百瀬の「斜視が理由なんかじゃないんだよ」という嘯きが補強している面もあり、それがコジマに微かに伝わってしまっている感もある。

だから、主人公を「私」で書いてほしかった。主人公が「私」だったとき、こういう普遍的なラストを作り上げることができただろうか?コジマはくっきりと強く、自分自身の理論を持って、そして「しるし」に縋りながら、強烈な力を発揮する。それが、男の子に出来ただろうか?自分以外はすべて他人、お互いの立場を入れ替えることなど露程も頭になく、あなたはあなたわたしはわたしを貫き通す女の子と、より一般化しようとする男の子。このループを揺り動かすような構造を見てみたかった気がする。

コジマは言う。「わたしが、お母さんをぜったいに許せないのは」「お父さんを」「最後まで、可哀想だって思い続けなかったことよ」。女性は、続かないことを許さない。男性は、そこに孤独が横たわるとしても前に進もうとする。誰とも分かり合えない悲しみを、あらかじめ胸に抱いている。  

Check

p87「太陽のおまじない」
p115「僕はそのふちに立たされてしまうといつも絶望的な気持ちになった」
p136「自分の手だけは汚れていないって思い込んでるかもしれないけど、」
p151「自殺という言葉が連れてくるのは「どこかの、知らない誰かの死にかた」以上のものではなかった。けれど」
p170「意味なんてなにもないよ。みんなただ、したいことをやってるだけなんじゃないの」
p175「『自分がされたらいやなことは、他人にしてはいけません』っていうのはあれ、インチキだよ」
p193「自分がなにについてどう考えてゆくのが正しい筋なのかがわからなくなっていった。」
p203「最後まで、可哀想だって思いつづけなかったことよ」
p210「返事がないのに手紙をつづけて書いてそれをだすのはこわいことだった」
p224「僕がしつこく手紙を書いたりしたから、こんなことが起きてしまったのだ」
p234「わたしたちは従ってるんじゃないの。受け入れてるんだよ」
p235「想像力もなにも必要じゃない、ただここにある事実なのよ」
p241「僕は自分の本当の母親のことも話した」
p248「そしてどこにも立っていなかった。音をたてて涙はこぼれつづけていた」

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2010/07/19

『ミーツへの道』/江弘毅

4860112059 ミーツへの道 「街的雑誌」の時代
江 弘毅
本の雑誌社  2010-06-02

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 『ミーツ』が神戸新聞社生まれということも知りませんでした。僕は1995年に大阪に出てきたんですが、『ミーツ』が市民権を得だしたのは1990年代からと判って、意外と最近のことなんだなあと思いました。自分が大阪に来た時既にあったものは、大阪の人なら誰でも知っているものだという思いこみがあったので、『ミーツ』に関しては、「大阪のちょっと感度の高い人なら誰でも知ってる雑誌」と思ってたのが、実はまさに浸透現在進行形の時代に自分もいたんだなあと思った。歴史は正しく知らなければほんとにわからない。
 その『ミーツ』と神戸新聞社との確執が赤裸々に語られて興味がぐいぐいそっちに引っ張られるけれど、敢えて言えば、子会社である以上当たり前のことのような気もする。とは言え、あの『ミーツ』の編集長としての感性を残したまま、財務諸表や費用対効果やキャッシュフローやと行った会議に出られるというのはかなりのキャパシティだと僕でもわかるし、そういう懐を持った仕事のできる男になりたいと思う。

 『ミーツ』を知ってる人なら誰が読んでも絶対に面白いと思う。読んで損はないし、自分の仕事のスタンスに少なからず影響を与える。『ミーツ』を知らない人にも読んでほしいなと思うし、「あの『ミーツ』の」という関西人特有の権威付けから自由に読める人がどんな感想を持つのかにも興味があるのでぜひ関西人ではない人の感想を読んでみたいです。

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2010/06/26

『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』/楠木健

4492532706 ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
楠木 建
東洋経済新報社  2010-04-23

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p490「個人のレベルでどんなに精緻にインセンティブ・システムを整えても、戦略を駆動する力は生まれないのです。」
p490「自分の仕事がストーリーの中でどこを担当しており、他の人々の仕事とどのようにかみ合って、成果とどのようにつながっているのか、そうしたストーリー全体についての実感がなければ、人々は戦略の実行にコミットできません。」

このことは、『39歳までに組織のリーダーになる』にも書かれていた。個人レベルでインセンティブ・システムを整えて戦略遂行が成功するのは、守銭奴だけをばっちり揃えた組織だろう。『ザ・タートル』 のような組織でさえ、自分の意思を試そうという人間が現れたというのだから。

自分が日々行っている「業務」に対して、「戦略」の考え方をあてはめるのは難しいことが多い。難しいというより、「業務」は「戦略」レベルではないから。自分の日々の業務というのはつまるところ「提案」だが、「提案先のお客様にどうやって自社の提案を採用してもらうか」を考えるのは、戦略のようで「戦略」レベルでないことが多い。これは自分だけが整理していればいいものではなく、関連するチーム全員がしっかり共有できていないといけないが、コミュニケーションが分断されがちな自社の組織編成ではここがひとつ大きなネックになっている。

戦略を展開する際に、それぞれが「個人商店」的な組織になっていると、ほとんど展開ができない。対象とするお客様の特性が大きく異なり、かつ、戦略で展開したい「商材」がどうすれば成功するかという部分の理解に大きなレベルの違いがある場合、展開される側の人間が求める「メリット」というのは「省力化」、もっと簡単に言えば「簡単に売れるポイント」や「一撃必殺技」を求めるだけに陥る。

---

pⅷ「このところの戦略論の「テンプレート偏重」や「ベストプラクティス偏重」には、むしろストーリーのある戦略づくりを阻害している面があります」
p8「無意味と嘘の間に位置するのが論理」
p13「違いをつくって、つなげる」、…これが戦略の本質
p31「実務家に影響力のあった戦略論に「ブルー・オーシャン戦略」があります」
p45「「プロフェッショナル経営者」という幻想」「経営者の戦略スタッフ化」「テンプレートやベストプラクティスは過度に心地よく響きます」
p46「情報(information)の豊かさは注意(attention)の貧困をもたらす」
p50「戦略ストーリーは、…環境決定的なものではない」
p57「徹底した機能分化は、…協力なリーダーを必要とします」
p58「機能と価値の違い」「機能のお客さんは組織」「価値のお客さんは…組織の外にいる顧客」
p76「ソフトバンクは「時価総額極大化経営」を標榜」
p102「「目標を設定する」という仕事が「戦略を立てる」という仕事とすり替わってしまいがち」
p113「シェフのレシピに注目するのがポジショニング(SP:Strategic Positioning)の戦略論」「厨房の中に注目するのが組織能力(OC:Organizational Capability)に注目した戦略」
p117「実際に画面を横から見て、『きれいに見えてイイね!』と喜んで仕事をしているユーザはいるのでしょうか」
p128「ルーティンとは、あっさりいえば「物事のやり方(ways of doing things)です」「その会社に固有の「やり方」がOCの正体」
p160「我慢して鍛えていれば、(今はそうでなくても)そのうちきっといいことがある」
p173「戦略ストーリーの5C」

  • 競争優位(Competitive Advantage)
  • コンセプト(Concept)
  • 構成要素(Components)
  • クリティカル・コア(Critical Core)
  • 一貫性(Consistency)

p178「要するに「売れるだけ売らない」ということです。」フェラーリの例
p218「ごく粗い脚本で、暫定的なキャスティングで、舞台装置の準備もそこそこに、まずはやってみよう…」
p232「売れない店から売れる店に商品を移すことによる平準化」
p238「コンセプトとは、その製品(サービス)の「本質的な顧客価値の定義」を意味しています」「本当のところ、誰に何を売っているのか」
p264「すべてはコンセプトから始まる」
p268「1980年代に入って、アメリカは価値観の断片化が進んだ結果、過剰なハイテンション社会になりました。」
p274「「誰に嫌われるか」をはっきりさせる、これがコンセプトの構想にとって大切なことの二つ目
p276「大切なことの三つ目、…「コンセプトは人間の本性を捉えるものでなくてはならない」
 『LEON』や『GOETHE』は「人間の本性」を捉えているけれどそれは一部の人間の本性の一部でしかなかった そしてそれは大多数にならなければ魅力の本質を失ってしまうような、自立性の弱い「群れ」のようなものだった
p325「468店に相当する規模のオペレーションを構えるというアグレッシブ極まりない計画」「1999年には1500万ドルを投じて最先端のサプライチェーンのシステムを構築」
p346「「バカな」と「なるほど」」吉原英樹
p363「B社がA社の戦略を模倣しようとすることそれ自体がB社の戦略の有効性を低下させ、結果的にA社とB社の差異が増幅する」
p423「「なぜ」を突き詰める」
p437「「人間のコミュニケーションや社会のありようが革命的に変わる!」という大げさな話をする人が決まって出てくるのですが、私は全くそうは思いません。」(Twitterについて)
p443「営業スタッフがその店の良いところを発見し、それを限られた広告スペースの中で表現して、ターゲットである二十代の女性読者に伝える。」
p446「日本テレビのプロデューサーとして、テレビの創成期を引っ張った人物」井原高忠
p450「一撃で勝負がつくような「飛び道具」や「必殺技」がどこかにあるはずだ、それをなんとか手に入れよう、という発想がそもそも間違っている」
p458「そろそろ成長の限界にさしかかっているのかもしれません」
p464「ごく個人的な活動は別にしても、ビジネスのような高度に組織的な営みの場合、失敗したとしてもそれが失敗だとわからないことのほうがずっと多い」
p482「ビジネススクールの戦略論の講義がしばしばケース・ディスカッションの形をとるのは、それが過去のストーリーの読解として有効な方法だから」
p493「一人ひとりがその念仏を唱え、自分の行動がその行動基準から外れていないかを毎日の中で確認できる。」
p499「小林三郎さんがこう言いました。「それは個人の『欲』です。『夢』という言葉を使わないでください」
p13「平尾」

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2010/05/15

『モバイル・コンピューティング』/小林雅一

4569775691 モバイル・コンピューティング
PHP研究所  2010-02-06

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 「モバイルったって、パソコンが小さくなるだけだろう?」程度の認識しかなかったところを、インターフェースの変化・進化をたどって根本的なところを理解させてくれた良書。モバイル・プラットフォームで始まっている主導権争いの構図は概ねこれまでのIT業界で起きてきた主導権争いの構図で理解できるけど、「モバイル・コンピューティング」の本質的なところは、インターフェース抜きでは理解できないところだった。「モバイルだからキーボードをつける余裕がない」程度の話じゃなかったのだ。

 モバイル・コンピューティングは、「モバイル」だから、いつでもどこでも「情報処理」ができる、もしくはそれを実現する、ということ。古くはホストコンピュータの時代は情報処理ができる場所は「ホストコンピュータの設置場所」で、それがパーソナルコンピュータとなって「パーソナルコンピュータのある場所」となり、パーソナルコンピュータがノートブックになって「ノートブックが置ける場所」になった。そして「モバイル」になると、もはや置く場所も問わなくなる。いつでも「持っている」。その代り、どうやってコンピュータに情報処理を「させるのか」というインターフェースの問題が現れる。だから、インターフェースを理解しない訳にはいかなかった。
 実用的な情報処理、例えばアドレス帳管理とか写真管理とかは、処理のバリエーションはそれほど多くなく、従ってそれほど多様なサービス提供者も求められないと思う。写真管理で言うとPicasaかFlickrとあと1種類くらいが世界で提供されてば十分。それは裏を返すと、この分野での仕事に従事できる人間がそれだけ少なくて済むということで、それだけ仕事がなくなることを意味する。これまでは、ローカルマシンで処理するが故に、ローカルマシンで動作するアプリケーションを選択することになり、それだけ開発の仕事があった。iPhoneとAndroidというプラットフォーム/マーケットが新たに現れたけど、本質的にはアプリケーションの規模と寿命はどんどん短くなると思う。小規模な開発体制で開発できる環境ということは、1つのアプリケーションはそれだけ短期間しか収益を上げられないということだ。矢継ぎ早にアプリケーションを提供し続けない限り、その開発団体は事業継続できなくなる。でも、ゲーム以外にそんなにバリエーションのあるアプリケーションカテゴリがあるか?ゲームですら、出尽くした感があるというのに。
 この「仕事が無くなる」漠然とした問いへの解の道は、第6章「キンドルと出版産業の未来」にかすかに提示されているように思う。

 モバイルはワイヤレスだ。当たり前だけど常に意識しないといけないことだ。この先、必要であり重要なのはワイヤレス。改めて言うとバカみたいだけど、意外と当たり前でないのだ。

 

p9「HTC DreamのCPUの処理速度は初代クレイの6.5倍、メモリーの容量は実に48倍」
p12「携帯電話端末の売上は2008年に3589万台と、前年よりも29.3%減少、また2009年上期には前年同期比で14%も減少」
p20「2種類のモバイル端末向けチップ ムーアズタウン メッドフィールド」
p46「ABC(Activity Based Computing)」
p70「1984年」
p71「キャリアを中心とするモバイル産業の構図は、少なくとも、つい最近まで、日本と米国とで驚くほど似通っていた」
p78「2007年7月31日に採択された」「無線インフラのオープン・アクセス規制」「700MHz帯の電波」
p82「契約利用者を獲得するには、一人当たり50~100ポンド(7500~15000円)もかかる。
p100「コンピュータがユーザの置かれた状況(コンテクスト)を感知し、そこで必要な仕事を自動的にこなしてくれる。」
p127「AR」
p131「ビジュアル・マーカーARに向けて、ARToolKit」「奈良先端科学技術大学院大学の加藤博一教授が開発」
p139「恐らくモバイル・コンピューティングに適しているのは、」「音声を中心とするコマンドだろう」「アンディ・ルービン氏が自ら開発した携帯OSにアンドロイドという名称をつけたのは、モバイル・コンピューティングの未来に対する、そのようなビジョンに基づいていたのだろう」
p147「結局、これまでのアクセル要因が、全部逆転する」「新機能を搭載するのはもう止めて、むしろ昨日の利用率を高める方向に舵を切るべきだ」
p162「キャリアにとってアイフォーン・ビジネスは非常に利益率が高い」
p163「マイクロペイメントの仕組みをもっていること」
p173「NFC Near Field Communication」「RFID(電波による個体識別技術)
p182「いちいちダウンロードするよりは、ウエブ上の共通アプリを使用した方が効率的で処理も早くなる」
p183「モバイル・サービスは遅かれ早かれ、必ずクラウド・コンピューティングに向かう」
p209「2009年前期における電子ブックの売上は前年同期比で136.2%増の1400万ドルを記録」
p225「ひたすら情報機器の高性能化や多機能化に向かって突っ走るよりも、ペンやインクのように我々の生活に馴染んだ使い易さを優先する、という姿勢」
p232「たとえば教育があまり行き届いていない地域でも、ワイヤレス・インフラは存在する」

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2010/01/10

『設計事務所のためのマーケティングマニュアル』/建築資料研究社

4863580290 設計事務所のためのマーケティングマニュアル
建築資料研究社  2009-09

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 お客様に大手設計事務所様を持つので、自分の中で長年燻っていた「マーケティングの実際とは」という興味と、お客様業界の実際を知るという興味がクロスしてこの本を手に取った。内容的には設計事務所専門に偏った内容ではなく、一般的なマーケティング方法的なところも多くて読みやすいし参考になる。

 ハウスメーカーや工務店、ゼネコンが建築士を雇用して業務をパターン化し設計事務所の業務を圧迫している、というくだりは、設計事務所の置かれている状況を理解できるとともに、様々な業界で起きている「他業種との競争」「業界の垣根がなくなる」という現状を実感できる。
 自分の業務との絡みでは、「模型・パースは必ず作る」がいちばん。提案は初回から行えないといけない。「ヒアリング」というステップ1枚かませることで、他社より一歩遅れるかもしれない。十分なヒアリングなしに使いまわしの提案をするのはいけないが、出遅れても取り返しがつかなくなる。一方で、我々の業界では、中小規模案件に対して手厚いケア・十全なカスタマイズを実施することの非採算性がさけばれて久しい。このあたりは、個々人の範囲と会社の範囲を分けて考える必要がある。

p18「いわゆる「良質なお客様」と付き合いたいのであれば、それ相当の「企業家」は必須になるはずです」
p24「ライフサイクルに則った経営をしていないと業績を上げていくのは極めて困難」
p26「彼らにとって重要なことは建物を建てることであって、設計業務を請け負うことではありません」
p28「クライアントが聞きたいのは一般的な設計の知識ではなく、その設計のあり方を自社にあてはめたらどうなるの?という、あくまでも自分ゴトなのです」
p40「「行動力」。しかも「即時行動力」」
p44「成功の三条件 ①勉強好き②素直になる③プラス発想をする
p48「情報は自分で探す時代になった」
・・・言葉にする力を
p67「逆に小さな事務所でも何名も抱えている「格」のある事務所にも見えます」
p70「所詮真似ですから実際に経験したノウハウとは深さが違います」
p89「「落としどころを明確にするための三つのステップ」①このセミナーで伝えたいことを一文で表現すると?②そのためにわたしたちがお手伝いできる商品は何?(バックエンド商品)③第一歩としてお客様は何をしたらいいの?(フロントエンド商品)
p126「注意をしてもらいたいのが、「電話口での相談には答えない」」
・・・電話口しかない場合は?
p132「なんでこの時期の受注が多いのだろう?」「伸びる時期により伸ばす」
p136「紹介が発生する出あろう相手を選ぶ」→「先にこちらから紹介案件を提供する」
p142「経営計画を作る」
p154「プロセスの「見える化」
p158「あなたが書いて発信するからこそ、情報の価値が出る」
p162「模型・パースは必ず作る」
・1回目から作る
・1回目から作れるようにするためにはどうすればよいか?を考える

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2009/08/15

『FRaU (フラウ) 2009年 09月号』

B002ISQL0A FRaU (フラウ) 2009年 09月号 [雑誌]
講談社  2009-08-11

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 女性向け雑誌ではどんな本が紹介されるのかな~と、軽い興味で買ってみたら、『1Q84』の一般読者?レビューが掲載されてたので読んでみた。男女3人ずつ、男女に分かれて討論するかたち。

 なによりもびっくりしたのが、「宗教」のテーマについて、ほとんど関心が払われていなかったこと。「また”宗教”を持ち出している」と、明らかに嫌忌したような発言もあった。神話の再構築といったような、どう読んでもそりゃ自明のことでは?という読みもあった。『1Q84』がベースとしている書籍の大半を読んでなくて、自分の教養不足を嘆いたところだったけど、人の振り見て我が振り直せ、と言ったろころ。めんどくさがるクセを直さないと。 

 どんな本が紹介されてるか?研究は、もうちょっと後で。

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2009/08/08

『GOOD ROCKS! Vol.09』

4401633164 GOOD ROCKS! Vol.09 (シンコー・ミュージックMOOK)
シンコーミュージック  2009-06-24

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 吉井和哉のびわ湖ホール・大阪城ホールのライブレポがあるってことで『Talking Rock!』を買いにいったんだけど見つからず、探してるうちに『GOOD ROCKS!』が見つかってさわおが表紙だったので購入。インタビュー記事出てるって知らなかった(笑)。

 髭(HiGE)について喋ってるのが、Zepp OsakaのMC通りでおかしかった。そして、若いバンドがいいプレイすると頭に来るって言ってるのも、podcastでテナーのホリエが来たときに言ってたのと同じでおかしかった。もちろん、ほんとに頭に来たりとか潰しにかかったりするんじゃなくて、自分の中で「負けちゃられない」という情熱を掻き立ててるところを、きれいなふうに言うんじゃないとこがいいと思う。『1989』について語ってるとこなんかでもそれがよく分かる。

 武道館に向けて期待は高まるばかり。もうちょい近所のイベントとかライブとかがあったら、追加で行きたいくらいの勢い。 

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2009/07/22

『この1冊ですべてわかる ITコンサルティングの基本』/克元 亮

4534045336 この1冊ですべてわかる ITコンサルティングの基本
克元亮
日本実業出版社  2009-03-26

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p108 ビジネスモデリング

  1. ユースケース図 … UML(ISO標準化された仕様記述方法) サブジェクト・アクター・ユースケース・関連
  2. BPMN(Business Process Modeling Notation)
  3. DMM(Diamond Mandara Matrix)
  4. ERD(Entity-Relationship Diagram)
  5. DFD(Data Flow Diagram) … 機能・外部環境・データ・情報

p114 APQCのPCF → DFD
p108 ①経営者 ②業務担当者 ③SE と話をする

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2009/06/28

『時を刻む砂の最後のひとつぶ』/小手鞠るい

4163282106 時を刻む砂の最後のひとつぶ
小手鞠 るい
文藝春秋  2009-05

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 惜しい感じ。「最後のひとつぶ」という通り、「残された時間」を意識しなければならない立場の人々が現れる連作短編集なんだけど、繋がっている感じがちょっとぎこちない。あれとこれが繋がってるんだよな、これはさっきのあれで出てきた人だよな、と印象はあるんだけど、うまく繋がらない感じ。なので、大事なテーマである、「残された時間」を意識しないといけない人の感情の起伏みたいなものが、短編それぞれで濃淡が違い過ぎてる。どうしても小手鞠るいというと激烈な感情の凄みを読ませてくれる、という期待感があるので、「ショックを受けていない私がいた」と、とてつもない出来事を前にしたときの放心状態を描かれても、文字通りで、切迫感みたいのがいまいちない。「残された時間」という、人生にとって重要なテーマを据えながら、教義めいてないストーリーでおもしろいだけに、ぎこちない感じだけがちょっと残念。
 あと、登場人物が作家というのも、個人的にはあんまり。作家が作家を登場させるというのは、どうにも好きになれない。 

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『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』/小宮一慶

4887596219 ビジネスマンのための「数字力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
小宮 一慶
ディスカヴァー・トゥエンティワン  2008-02-27

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 既に『サイエンス脳のためのフェルミ推定力養成ドリル 』をやってるので、同じような内容かなーと思ったら、やっぱり同じような内容でした。フェルミ推定力養成ドリルで触れられていないこととしては、数字の定点観測。これは、『ザ・タートル 投資家たちの士官学校』のトレンドフォロワーの手法紹介で学んだことと同じ。数字力を鍛えるためには、基準を持つことが大切で、その基準に対して、時系列で数字がどう変化しているかを感じる鍛錬が大事。
 ひとつ、自分の数字力の弱さの原因ではないかと気にしているのは、何かと数字通りにいかないことの多い世界に身を置いているので、そもそも数字に対して懐疑的すぎるのではないか、ということ。もちろん、条件をきちんと整理してテストすれば、予想通りの数値が得られることは分かっているけれども、カタログスペックと実感の違いを説明する際、ファクターが多過ぎて、つい端折ってしまうクセがついている。これが、数字感を損ねている原因かもしれない。建前・理屈は建前・理屈として、きちんと理解・吸収する癖をつけないといけない。 

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2009/05/31

『顧客はサービスを買っている』/北城恪太郎  諏訪良武

4478006679 顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント
北城 恪太郎
ダイヤモンド社  2009-01-17

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 北城恪太郎氏監修ということで期待して読んだが、概ね既知の内容だった。

  • サービスサイエンスの視点。モデル化。
  • ”事前期待”の可視化・顕在化と、マネジメント
  • マネジメントとは、「管理」ではない。

 このタイプの本を読むと、直に「自分はどう行動すればよいか?」という視点になる。そして、会社全体のことを考え、会社全体を改善するためにまず自分が働きかけられる部分はどこか、という発想になる。この思索には「マネジメント層」「フィールド」という2つの役割しかない。しかし、膨大なフィールド情報を読み込めるだけのスキルやシステムを持っているマネジメント層は稀で、フィルタリングするための役割が必要なはずである。それがない企業に勤めている間は、「自分はどう行動すればよいか?」と自分のフィールドの役割にあった行動を考えるのは無駄で、一足飛びに「マネジメント層」視点でモノを言うほうがよいのではないかと思う。

 オムロンフィールドエンジニアリング社の情報システムやコールセンター見学の話が、「サービスの見える化」として紹介されている。こういうのを見聞きして、自社のコールセンター見学ツアーなどを企画しているのだなあ、と初めて謎が解けた思いだった。もう何年も前から、「いくらシステムが素晴らしくても、それがお客様に価値を提供できているかどうかは別問題」という問題意識が、少なくとも僕の周りにはあった。それなのに、よく嬉々としてコールセンター見学ツアーなどやるもんだと思っていたが、こういう「古い成功事例」を追いかけていたのだ。オムロンフィールドエンジニアリング社のコールセンター見学が説得力を持ち(今でも)成功するのは、①先駆者であるから②当時はシステム自体が他にないものだったから に尽きると思う。今じゃどこにでもあるような二番煎じのシステムを見せて、感動するようなお客様はいないだろうし、そんなものを見てサービスが素晴らしいと納得されるお客様なら、実際に提供したあとにトラブルが起きるだろう。「納得」が大事なのだ。

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2009/05/05

小手鞠るい

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2009/05/04

『広告批評 No.336 2009.4 最終号』

4944079729 広告批評 336号(2009年4月号) (336)
マドラ出版  2009-04

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p014『アートとデザインのあいだ』
p020「話を聞いて掴めたときが一番クリエイティブな瞬間なんですか。」
→”デザイン”という行為のひとつの本質。クライアントとアートディレクターの関係。オーダーメイドの本質。ソリューションはオーダーメイドであり、そうである以上、「ソリューション営業」など成り立たない。「ソリューション営業」は欺瞞、というのは僕の現職でのひとつの信念。
p020「50年後のアートヒストリーが何を求めているかまでを考えて」(村上隆)
p021「アートのコンテクストにおいて現在なすべきことを僕が知っているからなんです」(村上隆)

p054『テレビとインターネットの未来』
p057「ちゃんと計れるから面白いものがきちんと評価されるのかっていうと、一概にそうだとは言えないんですよ」
p067「でも、上岡さんが引退されたのって2000年ですよね?」

p212『広告夫婦がゆく!!』
p213「初めてそういう物件に出会ったのが72年ですね。」(赤瀬川原平/トマソンについて)
p217「僕が作っている、サントリーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」シリーズというCMがありまして」
p216「利休のことを勉強したのも、まったくそこからですね。歴史の勉強ってやったことなかったから。」(赤瀬川原平)

p220『ものをつくる、こころ。』
p222「大体気になる人に会うようにできてない?」(杉山恒太郎・電通常務取締役)
p223「そのためには歴史を知らないと絶対ダメ。新しいものは伝統の中からしか生まれないものなんです」(杉山恒太郎・電通常務取締役)

  

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2009/04/11

『別れのあと』/小手鞠るい

4104371041 別れのあと
小手鞠 るい
新潮社  2009-01

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 「別れ」がテーマとなった短編集。長編だと思って買ったら、『別れのあと』『静かな湖畔の森の影』『婚約指輪』『この河の向こう岸』『はなむけの言葉』の5編の短編集だった。

 『別れのあと』の浜田修司の男っぽい嫉妬深さというのもよく理解できるけれど、この本で最も体に(頭というよりも体に)取り込まれていったのは『婚約指輪』と『この河の向こう岸』だった。『静かな湖畔の森の影』にもその要素はあるのだけれど、途中から方向が微妙に変わってるので、それほど印象に残ってない。それに対して『婚約指輪』と『この河の向こう岸』は、はっきりと印象に残る。誰かに遠慮してはいけないしする必要もないのだということ、わかってもらえないのは自分が悪い訳ではないのだということ、そして何よりも、僕は先を急いだほうがいいのだということを、不意に悟らされるような内容だった。そういう方法があるのだ、と。別れのあとには何も残らないのか?何も残らないのが別れということなのか?そういうことを結論に性急にならず前に進んでいかないといけない。

 小手鞠るいの作品は、登場人物が外国を行き来する話が比較的多い。この短編集もそうだが、これもまた僕に先を急がせる奇妙なセレンディピティだったように思う。わかってもらえなければ、それでいいのだ。

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2009/01/11

『わたしのマトカ』/片桐はいり

434401135X わたしのマトカ
片桐 はいり
幻冬舎  2006-03

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 『かもめ食堂』撮影のため滞在したフィンランドでの1カ月+αを綴った、片桐はいりのエッセイ。

 これが初分筆とは思えないおもしろさ。最初のほうで、片桐はいりが、父親が割とエリートでいいところの出身だということが簡潔ながら読みとれ、やはり幼少時代の経験と教育は大きいものだと改めて感じるが、それはさておき、やはり人生を豊かにするのは行動力だなあとほとほと痛感する。僕は、危ないとわかってる橋を敢えて渡って怪我するのは阿呆と思って生きてきたので、それなりに順調にはこれたけれどもその代りに厚みのない、誠に薄っぺらい経験しかない薄っぺらい人間になってしまった。今からでも遅くはないのかなあ、と、このエッセイは思わせてくれた。
 なんでフィンランド人はこんなに木訥なのか?フィンランドに2度訪問した僕も確かにそう思う。その理由を頭でいろいろ考えるほうに興味がわくか、木訥なフィンランド人と触れ合うことに楽しさを感じるか。僕はそのどちらも手を出すような、よくどしい生き方をしてみようと思う。

 エッセイの内容とは全然関係ないけれど、「外国の劇場に行くと、そこに集まる観客の年齢層や、人種の多様さに驚くことがままある」とあるが、B'zのライブに行くと同じようなことを思うことがある。規模が全然違うとは思うけれど、ある一定の歴史を積み重ねることでしか、そういう多様性を実現することはできないような気がする。無理に多様性を求める必要はないけれど、無理にセグメンテーションするやり方も、そろそろどうなんだろうか?と思ったりした。

 あと、なぜか途中まで作者がもたいまさこだと思ってた。それにしても幻冬舎はほんとにやり手。

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2008/11/09

『メモリー・キーパーの娘』/キム・エドワーズ

4140055375 メモリー・キーパーの娘
キム・エドワーズ
日本放送出版協会  2008-02-26

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 1964年。デイヴィッドとノラは男女の双子を授かるが、娘はダウン症だった。デイヴィッドはノラを悲しませないようにと思い、ノラには死産と偽り、施設に預けることにしたが…。1964年から1989年に至る、ディヴィッドとノラ、その家族と周囲の物語。

 デイヴィッドが娘フィービを施設に預けることにしたのには訳がある。ダウン症だったから、ダウン症は寿命が相対的に短いから、といった理由だけではない。しかし、もし自分がその立場だったら、死産と偽って施設に預けるという決断ができるだろうか?反対に、ダウン症で生まれてきた子どもを育てていくことに、なんら悲嘆や不安を感じずにいられるだろうか?あるいはダウン症をどれほどのことか把握できるだろうか?何もかもわからないことだらけだった。そして、そのわからないことだらけのまま人生を生きていかなければならないという命の重みを静かに味あわせてくれたのは、この小説が25年という年月を描き切っている長編であるからに他ならない。

 デイヴィッドは妻ノラと息子ポールに秘密を打ち明けることができず、その後起きる辛い出来事はすべて、自分のその決断の報いだとして絶えて生きていくことに徹する。その秘密を隠し通したことで、彼と家族のすれ違いは解かれないまま彼は生涯を終えてしまう。その秘密を打ち明けたほうが正しかったのかどうか?デイヴィッドがどこまでそのすれ違いに自覚的なのかは判らないけれど、自分の行いの報いだとしてそれを受け入れて生きていこうとする姿勢は、例えそれが独り善がりでも間違いでも、なぜか共感するところはある。

 ポールの「アメリカ人にはうんざりだ」や、ポールの恋人ミシェルの「犠牲を払うのはいつも女」など、しばしば「日本人の習性」といって嘲笑される行動や、欧米ではこんなに男女平等が進んでいるなどと取り上げられる知識が、いかに受け売りで胡散臭いものなのかを知らされる部分があった。一方で、会話で出てきた事柄を真実として前に進んでいくところ、これはやっぱり日本とアメリカで違うところなのかも知れないとこれも改めて思った。日本は、いくら会話をしたとしても、「本当のところはどこか違うところにある。隠されているものが真実である」という感覚を胸に持って生きている感じがどうしてもするから。 

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2008/08/31

『私を見つけて』/小手鞠るい

4344411692 私を見つけて (幻冬舎文庫 (こ-22-1))
小手鞠 るい
幻冬舎  2008-08

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 日本人とアメリカ人のカップルを主人公とした5篇の短編集。「アメリカ的」な価値観や「日本的」な価値観の、ステレオタイプなものがいいもの悪いものひっくるめてたくさん登場して、ありきたりな「イブンカコミュニケーション」的な話かといえばそんな安直なものではない。読めば読むほど、価値観にいいとか悪いとかがないってことを切々と感じる。
 腑に落ちないというか、わかるけれど完全にわかることはできないだろうと思ったのが『出口のない森』。そこまで思いつめないといけないことだったのだろうか?もちろん、真剣に考えれば考えるほど、ことはここまで突き詰めないといけないことだというのは頭ではわかるけれど、実際にそこまで行動に出てしまうものだろうか?ここに、男女間の違いが浮き彫りになってる気がする。

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2008/05/18

『貸し込み』/黒木亮

4048738070 貸し込み 上
黒木 亮
角川書店  2007-09-26

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4048738089 貸し込み 下
黒木 亮
角川書店  2007-09-26

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 銀行が酷い融資を平然とやっていることよりも、日本の裁判というのはなんて杜撰なものなんだという印象のほうが強く残る。繰り返し、米国のディスクロージャーについて触れられ、それと対比するように、日本では情報を出す出さないは銀行の都合で決められる実態が描写される。要は、どうしても出さざるを得なくなるまで出し渋ればいい訳で、こんなんじゃあ悪いことやったほうがいいに決まってるよなあと思う。悪いことを10やっても、そのうち5くらいしか罰せられなければ、しかも罰せられるにしても上限が悪事で儲けた金額ならば、悪いことやるほうがどう考えても経済的には正しい。なんでこの国はこんなに杜撰なんだ?
 あともうひとつ、原告の宮下治を見て、本当に付き合う相手というのは選ばなければならないなと思う次第。確かに、銀行に食い物にされた一面はあるものの、あまりに臆面もなく自分の都合でものを言える人間とは、深く関わっても利用されるだけで何もいいことがない。

 全般的には、銀行の「貸し込み」の手口を暴き、そこに至る銀行のどうしようもない内情を深く描写する、というよりは、裁判小説といったほうがよいと思う。

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2008/01/27

『おめでとう』/川上弘美

4101292329 おめでとう (新潮文庫)
川上 弘美
新潮社  2003-06

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 恋のせつない気持ちがテーマの12の短編集。

 僕はどちらかというと人付き合いが苦手なほうで、だからといって人が嫌いという訳でもなく、人と交流したいけれども面倒と思う気持ちもあれば、交流自体が上手くできなくて苦手というところもある、矛盾だらけで勝手極まりない性格なんだけど、本著のような作品を読むと、世の中ではほんとにたやすく人と人とが触れ合っているもんなんだなあと軽く絶望してしまう。ちょっとしたきっかけで言葉を交わすなんて、僕は同じ会社の中でさえ、同じマンションでさえなかなか大変だというのに。それでいったい何故かと考えると、僕は世間話が大の苦手なのだ。どうでもいいことを話すことが苦手なのだ。目的があったり、有益な情報があったり、オチがあったりしないと上手く話せない。
 人と人との交流はたくさんあったほうがいい。だからそんなふうになりたいと思いつつそうなれないで来てしまったのは、結局待ってるだけで自分から話せないからだ。よりいっそう絶望的になるけれど、この期に及んで腹をくくることができたのは感謝だ。だから、『ぽたん』と『天上台風』が好きだ。

 そんなに人は正しく強くいなければならないのだろうか?と疑問が沸いてくる。正しくなかったり、強くなかったりすると、もちろんその結果たいへんな苦難を背負うことが多いには違いないけれど、そもそもどうやったって正しくも強くもなりきれない部分が残るのが人間で、自分が絶対正しいということも強いということもないのだ、とわかって努力をするのとしないのとではずいぶん感じられるところが変わってくるように思うし、年を取るごとに確信に変わってきている。

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2007/10/07

『カラ売り屋』/黒木亮

4062820374 カラ売り屋
黒木 亮
講談社  2007-02-21

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 「カラ売り」というと、もうそれだけで「株の売買操作だけで楽して儲けるけしからんヤツ」みたいなイメージが浮かんできてしまって、『カラ売り屋』というタイトルからは、そういうけしからんヤツが暗躍する、ダークであるがゆえにちょっと胸躍るカンジのストーリーか、はたまたそういうけしからんヤツが最後に人情に絆されて更正する、みたいな感動ストーリーか、と予想するんだけどそのどっちでもない。
 カラ売り屋は株が下がらないと儲からない訳だから、…

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2007/07/23

『SEのためのシステムコンサルティング入門』/黒岩暎一

4822215725 SEのためのシステムコンサルティング入門―システムコンサルタントになるための実践ガイド
黒岩 暎一
日経BP社  2006-10

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  • これは「大企業向けのコンサルティングビジネス」の指南書であることを踏まえて理解する。
  • 「礼状を書く」というビジネスマナーを再認識。
  • こういう仕事をしたい、という気持ちがあるが、現実の自分のロールと照らし合わせ、求められる結果との折り合いを考える必要がある。
  • ヒアリングと即答性によるビジネスの創出は、現実のロールでも有用。

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2007/07/22

『好き、だからこそ』/小手鞠るい

4104371033 好き、だからこそ
小手鞠 るい
新潮社  2007-06

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 画廊の受付で働いていた19歳の風子が、高校から退学処分になった後独学で猛勉強しコックになった大岸豪介-ゴンちゃん-と出会う。『その時、心の中に浮かんだのは、そんな言葉だった。「まぶし過ぎて、痛い」』。

 小手鞠るいの小説は、時間軸の長いものが多いです。まず若い頃の危なっかしい恋愛があり、その主人公が年を取り分別を弁えて、そういった突っ走る感情をコントロールできるようになった頃にもう一度若かった頃の恋愛をなぞるような事件が起こる。そこで、長い時間をかけてこそ理解できる、人の心の優しさといったものに触れることになる。と、纏めたくなるくらい、この『好き、だからこそ』はそのパターンに嵌ってますが、今までと違うのは、時間軸を流れるのが2つではないこと。これまでは、主人公の若い頃と年を取った頃、とか、女性主人公と男性主人公、とか、軸が2つのことがほとんどだったと思うんですが、今回はかなり複数の軸が持ち込まれています。
 そのため、冷静に振り返ると、結構ご都合主義なストーリー展開にも思えるのですが、…

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2007/06/23

『SEのための法律入門』/北岡弘章

482222127X SEのための法律入門―事件とQ&Aに学ぶ基本知識と対策
北岡 弘章
日経BP社  2005-07

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p129 仕様確定の仕方
・仕様書=契約で履行すべき内容そのもの
・仕様確定は受託者だけの責任ではない
・当初仕様は何か、仕様変更の合意はあったのか

p155 システム障害時の損害賠償
・免責の有効性は、契約金額の大小にも依存する
・約款の免責条項は、精査される可能性があるが、契約書は相対であるため守る必要がある

JISAモデル契約
http://www.jisa.or.jp/legal/contract_model2002.html

p123 バグ(瑕疵)に関する条項について
瑕疵担保責任(検収前)
・6ヶ月~1年
・保守契約

p153 検収後のバグ(隠れたる瑕疵)
・必ずしも損害賠償(契約解除)できない

瑕疵あり
・システムの機能に軽微とはいえない支障を生じさせる
・遅滞なく補修できないもの
・バグの数が著しく多いもの
・通常予定された使用をする際に合意された機能に支障を生じさせる

瑕疵なし
・バグ発見時に速やかにベンダーが補修を終えた
・補修できないバグについては、ユーザと協議の上相当と認められる代替措置をとっている

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2007/03/11

『恋愛小説』/川上弘美・小池真理子・篠田節子・乃南アサ・よしもとばなな

4101208069 恋愛小説
川上 弘美 新潮社
新潮社  2007-02

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 『天頂より少し下って』/川上弘美
 「あたしがこの世に生んじゃったせいで、あんたも恋愛とか失恋とかいろいろ厄介なことを始める羽目になったんだよね。ごめん。」この一文にびっくり。最近、『僕のなかの壊れていない部分』を読んで、「女性は、いずれ不幸になる運命を背負わせて新たな生を産むことに何の罪悪感も感じていない」というようなことが書かれているのを、「これは男でしか考えないことだろう」と思っていたから。

 『夏の吐息』/小池真理子
 「どちらか一つが本当のあなたで、もう一つはあなたという男の仮面をかぶった別の人間だったのではないか、などと考えてしまうのです。」これは反対に、女性でしか考えないことだろうなあ。人は辻褄のあうことばかりじゃない。特に男は。どうしていくつもの人間性を持つことをそのまま受け入れてはもらえないのだろう?

 『夜のジンファンデル』/篠田節子
 大人の物語、と言ってしまえばそれまでだけれど、踏み込まない切なさは上品。上品だけれど、その相手が俗物だったことに失望して、失望したのに…という展開がちょっとばたばたしてる気がします。そこはあんまり胸に響かなかった。

 『アンバランス』/乃南アサ
 このすれ違いはあるでしょう!あるある!!この手の話がハッピーエンドで終わることの是非はあると思うけれど、このすれ違いの苦々しさを感じるためだけでも読む価値あり。

 『アーティチョーク』/よしもとばなな
 よしもとばなならしい作品。前半、直接的な「恋愛」ではない物語-祖父への回顧-が面々と続き、途中から恋人との別れの話に展開する。そこに、今この一瞬は二度と戻ってはこないから一瞬を大切にしようというよしもとばななの哲学が入って、恋人との別れをどう決着するのかというラストシーンに流れ込む。これをハッピーエンドというのかどうか判らないけれど、恋愛の複雑で豊穣な余韻をいちばん残してくれると思います。

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2007/03/05

『欲しいのは、あなただけ』文庫版/小手鞠 るい

410130971X 欲しいのは、あなただけ
小手鞠 るい
新潮社  2007-02

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 超名作『欲しいのは、あなただけ』の文庫版が出ました!!

 現代作家の恋愛小説では五本の指に入ると思います!!

 文庫本でより多くの人に読んでほしい!!

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2007/03/04

『空と海のであう場所』/小手鞠るい

4591094375 空と海のであう場所
小手鞠 るい
ポプラ社  2006-10

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 中一の夏休みに施設で出会ったアラシと葉っぱの、別れと邂逅の物語。

 僕は『欲しいのは、あなただけ』で小手鞠るいにハマったので、この『空と海のであう場所』のようなタイプの作品は、温くてで少し食い足りない感じ。小説の中で作家や物語が扱われるのもあまり好きではなくて、少し冷めたりもしたんですが、そこはリアルな描写が持ち味で、この一節は痛かったです。

 …

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2007/02/24

『センセイの鞄』/川上弘美

4582829619 センセイの鞄
川上 弘美
平凡社  2001-06

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 38歳独身のツキコと70代のセンセイとの恋。飲み屋で見かけて以来なんとなく言葉を交わすようになり、距離を少しずつ近づけていく。
 ツキコがセンセイに惹かれていくのは判り過ぎるくらい判る。38歳という、一頻り分別を持った成人女性は、センセイのように何事にも分別を持った男性に惹かれるものだ。見た目がかっこいいとか、高価なプレゼントやお店に連れていってくれるとか、そういうことで惹かれるのは大抵若いうち。だから、ツキコがセンセイに惹かれるのは判り過ぎるくらいよく判るんだけど、男として納得いかないのはセンセイが…

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2006/10/06

小手鞠るいファン発見

一通り仕事が終わって、岡山駅地下の書店を覗いてたら、
平積みの棚に近づいてきたいかにも今時の女子高生と思しき
女の子が、一緒にいた彼氏と思しき男の子に、
『エンキョリレンアイ』を指差しながら

「わたし、この人の本好きーコデマリルイー」

彼氏は「ふーん」くらいで行っちゃったけど、
小手鞠るい、結構若い世代にも読まれてるのかなー。

小手鞠るい、今お気に入りの作家なので嬉しかったです。

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2006/08/27

『空中庭園』/角田光代

4167672030 空中庭園
角田 光代
文藝春秋  2005-07-08

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 夫婦娘一人息子一人にその周りの人々というそれぞれの視点で語られるストーリーそのものは面白かったけれど、これが『家族』をテーマとした小説だということを考えるとき、「確かに現代の多くの家族はこんなふうになっちゃってるんだろうなあ」という、問題を丁寧に書き取ってる凄さと、「問題の姿形や所在は分かるけれど、問題提起にはなってないよなあ」という、多少の物足りなさが残る。

 家族って、いつからこんな偏狭なモノになってしまったんだろう。いつでもどこでも清く正しくというのが家族なんだろうか?…

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2006/07/02

『愛を海に還して』/小手鞠るい

4309017649 愛を海に還して
小手鞠 るい
河出書房新社  2006-06-13

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 「愛するということは、愛を軽んじるということ。」 この言葉の言おうとするところを感じられない人は、この小説は読まないほうがいいと思うし、この言葉に何かのひっかかりを感じるのだとしたら、是非読んでほしいなあと思います。
 離婚経験のあるなずなとハワイ育ちのワタルの間の深い愛と、フリーライターだったなずなが仕事で出会った早瀬と堕ちる愛。どちらの愛も理屈抜きにどんどん進んでいく。それが「愛」じゃないなんて全然思うところがない。 要約してしまえばしまうほど、… 

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2006/04/19

『欲しいのは、あなただけ』/小手鞠るい

欲しいのは、あなただけ 欲しいのは、あなただけ
小手鞠 るい


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 驚いた。文句なしにおもしろかった。今年いちばんおもしろかった小説を年末振り返ったとき、たぶんいちばんにあげるんじゃないかと今時点で思うくらいおもしろかった。相当純度の高い恋愛小説なのに、「文学的価値は・・・」などと小難しいことを一切考えずにただただおもしろいと思って読み進め続けた。もし、僕ではない誰かの気持ちがすっかり手に取るように分かったとしても、その人の気持ちをここまで克明に書ききることは僕にはできないと思った。すっかり手に取るようにわかってしまったら、そしてその相手がこの「かもめ」だとしたら、ここまで言葉にしようとしたらあまりの苦しさに胸が潰れてしまうと思う。それほどまでにひしひしと伝わってくる。文句なしにオススメ。

 ・・・

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2005/05/04

.『いちばん初めにあった海』(加納朋子/角川文庫)

いちばん初めにあった海
加納 朋子

角川書店 2000-05
売り上げランキング : 17,073

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 自分だけで本を選ぶと、どうしても趣味で偏ってしまう。偏ってしまうとなんだか偏頭痛を伴う辛気臭さでどんよりとしてしまう。もともと、読書をあまり一般的なものじゃないって自覚はあるので、せめていろんな分野を幅広く読もうと心がけるようにしている。
 なぜこんな前書きかと言うと、この本は嫁の推薦で読んだ本だからだ。現代女性作家、ミステリー、そしてテーマが「癒し・再生」-多分、人に勧められない限り一生手を出さない本だったに違いない。
 更になぜ「読書の姿勢」みたいなことを長々書いているかというと、読後、ストーリーがほとんど記憶に残ってないからだ。嫁には申し訳ないが、どうもあまり印象に残らなかった。読んでる途中で、大凡の展開や「言わんとしてること」が察せられてしまったのだ。
 殊にミステリーという分野で、「言わんとしてること」が見えてしまうのは致命傷だ。古典文学、純文学と言われる分野で、表現の背景を読み取る鍛錬を割とストイックに積み重ねてきた、古風な僕にとっては、現代文学の、「推理小説」というジャンルじゃない小説の「ミステリー」なんて、取るに足らない謎々のようなものだった。
 しかし、読書を愉しんでいるのに、読後にストーリーも思い出せないというのは、反省しなきゃいけない。仮に先が読めたところで、そんなこと読書の優劣を決める何の足しにもならないから。ストーリーを愉しめるのか?それだけが、読書をいい力にしてくれるものだから。

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